交通事故の被害に遭い、その相手が未成年であった場合、刑事処分や補償の行方がどうなるのか不安を抱える方は多いでしょう。特に過失割合が明確で、かつ被害が重大なケースでは、相手の処分や補償の状況が非常に気になるところです。この記事では、未成年によるひき逃げと過失運転致傷事件について、家庭裁判所に送致された場合の流れや、相手に与えられる可能性のある罰、警察調書の影響について詳しく解説します。
未成年がひき逃げ・過失運転致傷で書類送検された場合の流れ
19歳の加害者が過失運転致傷およびひき逃げで書類送検された場合、成人とは異なり、事件は家庭裁判所へ送致されます。これは少年法に基づく手続きで、刑罰ではなく保護処分を中心とした対応が検討されます。
家庭裁判所では、本人の反省の有無、被害の大きさ、家庭環境、前科前歴などを総合的に判断し、観護措置(鑑別所への送致)や保護観察、少年院送致などの処分が決定されます。
どのような処分が科される可能性があるか
本件のように、ひき逃げを伴い、被害者に重度の後遺障害(5〜7級相当)が残るような重大な事故では、通常よりも重い処分が下される可能性があります。
たとえば以下のような処分が考えられます。
- 保護観察:自宅に戻って生活しながら定期的に指導を受ける。
- 児童自立支援施設や教護院への送致。
- 少年院送致:特に重い非行や反省の色が見られない場合。
特に「気づかず行ってしまった」としても、被害の重大さや逃げた事実が悪質と判断されれば、短期〜中期の少年院送致が現実的な選択肢になります。
警察での供述調書の「罰則意見」の位置づけ
警察で取られる供述調書には、事件に対する警察官の「処分意見」も記されることがあります。しかし、これはあくまで検察が判断を下す際の参考資料のひとつにすぎません。
つまり、検察官が独自に証拠を精査し、家庭裁判所への送致・起訴(逆送)などを判断するため、警察の意見がそのまま反映されるとは限りません。とはいえ、事故の重大性や被害者の供述が詳細に記録されていれば、検察や裁判所の判断に影響を与える可能性は高いです。
後遺障害と損害賠償についての注意点
事故によって後遺障害が残る場合は、刑事責任と別に、民事上の賠償問題も発生します。等級に応じて自賠責保険からの補償金額が決まり、加害者側が任意保険に加入していれば、追加で賠償がなされる可能性があります。
しかし、加害者が未成年であるため、支払い能力の問題もあり、保護者に対する責任追及(監督責任)や、保険会社との交渉が重要になります。後遺障害等級認定は、損害賠償金の算定にも直接関係してくるため、医師や弁護士と相談しながら慎重に進めましょう。
今後の流れと被害者としてできること
家庭裁判所での処分が決まるまでには数ヶ月かかることが一般的です。被害者としては、必要に応じて検察や裁判所に被害者参加制度の利用や、意見書の提出を検討することも可能です。
また、刑事処分とは別に、民事での賠償請求を弁護士を通じて進めることで、将来的な補償を確実に得ることができます。精神的にも身体的にも大きな負担を背負う状況だからこそ、信頼できる法的支援や専門家のアドバイスを受けることが、回復への大きな支えとなります。
まとめ
未成年によるひき逃げ・過失運転致傷事件では、家庭裁判所での処分が下されるまで一定の時間がかかります。事故の重大性や被害の深刻さに応じて、少年院送致などの重い処分が科されることもあります。また、警察での供述調書の罰則意見は検察の判断に直接影響するものではありませんが、参考資料としての価値は持ちます。
被害者としては、刑事と民事の両面で適切な対応をとることが重要です。後遺障害の認定や損害賠償の請求を通じて、自らの権利をしっかりと主張し、心身の回復につなげていきましょう。