訪問マッサージの現場では、施術者が歩行訓練などリハビリに近い業務を求められるケースがあります。しかし、これが本来の資格の範囲外であった場合、万一事故が発生した際に保険が適用されるかどうか心配する声も少なくありません。本記事では、損害賠償保険の適用範囲やリスク回避のためのポイントについて詳しく解説します。
損害賠償保険の基本とは
損害賠償保険は、業務中に第三者に損害を与えた際、その賠償責任をカバーするための保険です。ただし、保険の適用には以下のような条件があります。
- 業務が適法かつ契約書に基づいていること
- 免責事項に該当しないこと
- 被保険者の過失が認められる場合
例えば、施術中の過失により利用者が怪我をした場合、通常は保険が適用されます。しかし、資格外の業務に該当する場合、適用されない可能性があります。
資格外業務のリスク
マッサージ師は、あん摩マッサージ指圧師法によって資格の範囲が定められています。歩行訓練などは通常、理学療法士（PT）や作業療法士（OT）の専門領域とされています。そのため、以下のリスクが考えられます。
- 保険適用外：資格外業務での事故は保険の免責事項に該当する可能性があります。
- 法的トラブル：無資格でのリハビリ業務は法的な問題を引き起こすリスクがあります。
- 利用者への信頼喪失：事故が発生した場合、利用者やその家族からの信頼を失う恐れがあります。
勤務先に確認すべきポイント
勤務先から「保険で補償される」と指示された場合でも、以下の点を確認することが重要です。
- 加入している保険の契約内容（適用範囲と免責事項）
- リハビリ業務を行う正当性や必要性
- リスク回避のためのマニュアルや研修の有無
具体的な保険の契約書やポリシーを確認し、疑問点を解消しましょう。
リスク回避のための対応策
資格外業務を避け、リスクを最小限に抑えるためには以下の方法を検討してください。
- 勤務先への改善提案：資格外業務を依頼されるリスクについて勤務先に相談し、業務範囲を明確化します。
- 法的な助言の取得：弁護士や労働組合などに相談して、法的なリスクを確認します。
- 補足保険への加入：必要に応じて個人で追加の保険に加入し、リスクをカバーします。
まとめ
訪問マッサージの施術者がリハビリ業務を求められる場合、損害賠償保険の適用範囲や免責事項を事前に確認することが重要です。資格外業務には法的リスクや信頼喪失の可能性があるため、勤務先にしっかりと状況を説明し、業務内容を調整するよう働きかけましょう。また、必要に応じて専門家の意見を求めることで安心して業務を遂行できます。