会社からお金を借りた状態で退職を考える場合、『今になって借用書を書いてほしいと言われた』『退職を理由に突然返済条件を決められた』など、対応に迷うケースがあります。
会社からの借入は、金額や返済の約束がどのようになっていたかによって扱いが変わります。特に口頭だけの約束でお金を受け取っていた場合でも、借金そのものがなくなるわけではありません。
この記事では、会社や社長個人から借りたお金がある場合に退職するときの注意点、借用書を求められた場合に確認すべきこと、トラブルを避けるための対応方法について解説します。
会社から借りたお金は退職しても返済義務が残る
会社や社長から借りたお金は、退職するからといって自動的になくなるものではありません。
例えば、社員が社長から60万円を借り、返済期限や方法を明確に決めていなかった場合でも、お金を借りた事実があれば返済について話し合う必要があります。
重要なのは、『借用書がないから返さなくてよい』ということではない点です。振込記録やメール、会話の内容などから貸し借りの事実が確認されることもあります。
退職時に突然借用書を求められた場合の考え方
借用書は、お金を貸した側と借りた側の認識を明確にするための書類です。そのため、会社から提出を求められること自体は珍しいことではありません。
ただし、内容を確認せずに急いで署名することは避けるべきです。
例えば、実際には返済期限を決めていなかったのに、借用書に『退職時に一括返済する』などの条件が追加されている場合、以前の話と違う内容になる可能性があります。
借用書を書く場合は、金額、借入日、返済方法、利息の有無、返済期限などを確認し、納得できる内容にすることが大切です。
他の社員が借用書を書いていなかった場合でも注意が必要
同じ会社で他の社員も借りていて借用書を書いていなかったとしても、それだけで自分も書く必要がないとは限りません。
会社側が過去の管理方法を改め、現在になって書面化しようとしている可能性もあります。
一方で、退職を伝えたタイミングだけで突然条件を変更するような場合は、なぜ今になって借用書が必要なのか理由を確認した方がよいでしょう。
例えば、『退職するなら全額すぐ返せ』『給料から勝手に差し引く』などと言われた場合は、法律上問題がないか確認する必要があります。
給料から借金を一方的に天引きすることはできるのか
会社から借りたお金がある場合でも、会社が自由に給与から返済分を差し引けるとは限りません。
労働基準法では、賃金は原則として全額を労働者に支払う必要があり、会社が一方的に給与と借金を相殺することには制限があります。
例えば、退職時の最後の給料から会社が勝手に60万円全額を引くような対応は、状況によって問題になる可能性があります。
返済方法については、本人と会社の間で合意したうえで決めることが重要です。
借用書を書く前に確認しておきたい項目
借用書を作成する場合は、最低限以下の内容を確認しましょう。
- 借入金額が実際の金額と一致しているか
- 借入日が正しいか
- 返済期限が無理のない内容か
- 利息や遅延損害金の記載があるか
- 退職時の一括返済などの条件が追加されていないか
特に注意したいのは、後から追加された条件です。以前の合意内容と違う場合は、その場ですぐ署名せず確認することが大切です。
退職を円満に進めるための対応方法
会社との関係を悪化させずに退職したい場合は、借入金の問題と退職手続きを分けて考えることが重要です。
まず退職の意思を明確に伝え、そのうえで借入金について返済方法を相談するという流れが望ましいでしょう。
例えば、『借りた60万円については返済する意思があります。ただし返済方法について相談させてください』という姿勢を示すことで、不要な対立を避けられる場合があります。
もし会社から不当な条件を提示されたり、強い圧力を受けたりした場合は、労働問題に詳しい弁護士や相談窓口に確認することも選択肢になります。
まとめ|会社からの借入があっても冷静に内容を確認することが大切
会社や社長から借りたお金がある状態で退職する場合、借用書の有無に関係なく返済について整理する必要があります。
ただし、退職をきっかけに突然不利な条件を追加された場合や、内容に納得できない借用書への署名を求められた場合は、慎重な対応が必要です。
借用書を書く場合は内容を十分確認し、返済方法について会社と話し合ったうえで進めることが、退職後のトラブルを防ぐポイントになります。