自己破産を検討している方にとって、申立後の給与や賞与が自由に使える財産なのか、それとも破産手続で処分対象になるのかは非常に重要な問題です。特に、法律事務所へ破産申立を依頼した後から裁判所による破産手続開始決定までには一定の期間があるため、その間の収入の扱いについて不安を感じる方も少なくありません。この記事では、自己破産における新得財産の考え方と、給与・賞与がどの時点から処分対象外となるのかについて解説します。
自己破産における新得財産とは何か
自己破産では、破産手続開始決定時点で破産者が所有している財産が基本的に破産財団となり、一定の場合には換価されて債権者への配当に充てられます。
一方で、破産手続開始決定後に新たに取得した財産は「新得財産」と呼ばれ、原則として破産手続による処分の対象にはなりません。
例えば、破産手続開始決定後に勤務先から支給された給与は、通常は破産財団には含まれず、生活費として利用することができます。
給与や賞与が新得財産になる基準は申立日ではなく開始決定日
自己破産において重要なのは、弁護士が裁判所へ申立をした日ではなく、裁判所が「破産手続開始決定」を出した日です。
法律事務所から「裁判所へ破産申立をしました」と連絡があった時点では、まだ破産手続開始決定が出ていないため、その時点以降に受け取った給与や賞与が必ず新得財産になるとは限りません。
つまり、申立後から開始決定までの期間に発生・取得した財産については、原則として開始決定時点で存在する財産かどうかによって判断されます。
申立後から破産手続開始決定までの給与の扱い
給与の場合、毎月の生活費として必要になることが多いため、実務上は給与全額が問題になるわけではありません。しかし、破産手続開始決定前に発生した給与債権については、状況によって破産財団に含まれる可能性があります。
例えば、4月1日に破産申立を行い、4月20日に破産手続開始決定が出た場合、4月分給与のうちどの部分が開始決定前の財産に該当するかという点が問題になることがあります。
そのため、申立後に給与を受け取った場合でも、自己判断で「すべて自由に使える」と考えるのではなく、依頼している弁護士へ確認することが大切です。
賞与の場合は特に注意が必要
給与と比較して、賞与は金額が大きくなることが多いため、自己破産手続では特に確認が必要な財産です。
賞与の支給日が破産手続開始決定の前後どちらになるかだけでなく、賞与請求権がいつ発生したものなのかによって扱いが変わる場合があります。
例えば、夏の賞与が6月に査定され7月に支給される会社の場合、破産手続開始決定の日によっては、その賞与が破産財団に関係する可能性があります。
破産申立から開始決定までに気を付けること
自己破産を申し立てた後は、財産状況に変化があった場合、裁判所や代理人弁護士へ正確に報告する必要があります。
給与や賞与だけでなく、退職金、保険の解約返戻金、臨時収入なども財産として確認される場合があります。
例えば、申立後にまとまった賞与を受け取ったにもかかわらず報告しなかった場合、手続上の問題になる可能性があるため注意が必要です。
弁護士へ確認すべき具体的なポイント
自己破産の財産判断は、申立日、開始決定日、給与の締日、支給日など複数の事情によって変わります。そのため、一般的な説明だけでは個別のケースに完全には当てはまりません。
確認する際は、「申立後に支給された給与は自由財産として扱われるか」「次回賞与は報告が必要か」「開始決定までの給与管理方法はどうすればよいか」といった具体的な点を弁護士へ相談するとよいでしょう。
代理人弁護士は依頼者の収支や財産状況を把握した上で、裁判所への対応方法を案内してくれます。
まとめ
自己破産における給与や賞与の扱いは、「破産申立をした日」ではなく「裁判所が破産手続開始決定をした日」が大きな基準になります。
開始決定後に得た給与などは新得財産として原則的に処分対象外となりますが、申立後から開始決定までの収入については個別判断が必要です。
破産手続中の収入や賞与について不安がある場合は、依頼している法律事務所へ具体的な支給日や金額を伝えて確認することが、トラブルを避ける最も確実な方法です。