SNSやインターネット上では、容姿や体型に関する言葉が書き込まれることがあります。「太ももむちむち」「ぽっちゃり」といった表現は、単なる感想や褒め言葉として使われる場合もあれば、本人が不快に感じる表現になる場合もあります。
この記事では、体型に関する書き込みが開示請求の対象になる可能性、誹謗中傷と判断される基準、実際に損害賠償請求を行う場合の考え方について、法律上のポイントを分かりやすく解説します。
開示請求とは何か
インターネット上で匿名の投稿者を特定したい場合、一般的には発信者情報開示請求という手続きを利用します。
これは、SNS運営会社やプロバイダなどに対して、投稿者の氏名や住所などの情報開示を求める制度です。ただし、単に不快に感じたという理由だけで必ず認められるわけではありません。
開示請求が認められるためには、投稿によって権利が侵害されたと認められる必要があります。代表的なものとして、名誉権侵害、名誉感情侵害、プライバシー侵害などがあります。
「太ももむちむち」という表現だけで開示請求は認められるのか
「太ももむちむち」「ぽっちゃり」といった言葉は、状況によって判断が変わります。これらの言葉自体は必ずしも違法な表現とは限りません。
例えば、本人が投稿した写真に対して「健康的で魅力的」「かわいい」という意味で使われている場合、一般的には誹謗中傷とは評価されにくいです。
一方で、相手を傷つける目的で、繰り返し体型をからかったり、侮辱的な文脈で使用したりした場合には、名誉感情を侵害する可能性があります。
誹謗中傷と判断されるポイント
裁判などで問題になるのは、その言葉が単独で存在するかではなく、投稿全体の内容や状況です。
例えば、「太っていて醜い」「見苦しい体型」など、相手の人格や価値を否定するような表現が加わる場合は、単なる体型への感想を超えて侮辱と判断される可能性があります。
また、本人が特定できる状態で投稿されているか、不特定多数の人が閲覧できる場所で公開されたか、投稿の回数や悪質性なども考慮されます。
名誉感情の侵害になる可能性について
体型に関する表現では、名誉毀損よりも名誉感情侵害が問題になるケースがあります。
名誉感情とは、人が自分自身の人格や尊厳について持つ感情のことです。社会的評価を低下させる内容ではなくても、社会通念上許される限度を超えた侮辱であれば、違法と判断される可能性があります。
例えば、本人が強く嫌がっていることを知りながら、執拗に体型を指摘するような行為は問題になる場合があります。
開示請求にかかる費用や流れ
発信者情報開示請求を行う場合、通常は投稿内容の保存、証拠収集、裁判所への申立てなどの手続きが必要になります。
投稿が削除される前に、スクリーンショットやURL、投稿日時などを記録しておくことが重要です。
また、弁護士へ依頼する場合には、着手金や成功報酬などの費用が発生します。事案によって異なりますが、簡単な手続きではなく、時間や費用を考慮する必要があります。
損害賠償請求で認められる金額の目安
開示請求によって投稿者が特定できた場合、その後に損害賠償請求を行うことがあります。
体型に関する侮辱的な投稿だけの場合、認められる慰謝料額はケースによって異なりますが、一般的には数万円から数十万円程度となることが多いです。
ただし、悪質な継続投稿、精神的な被害、社会的な影響、投稿内容の重大性などによって金額は変わります。大きな損害が発生している場合には、より高額になる可能性もあります。
投稿する側が注意すべき体型表現
インターネットでは、軽い冗談や感想のつもりでも、相手にとっては傷つく表現になることがあります。
特に本人が望んでいない体型への言及や、外見を評価する表現は、相手との関係や状況によって受け取られ方が大きく変わります。
「褒めているつもり」でも、相手が不快に感じる可能性があることを意識して投稿することが大切です。
まとめ
「太ももむちむち」「ぽっちゃり」という言葉だけで、必ず開示請求が認められるわけではありません。判断されるのは、その言葉が使われた状況や投稿全体の内容です。
単なる感想や好意的な表現であれば問題になりにくい一方、相手を傷つける目的で繰り返し侮辱した場合には、名誉感情侵害などが成立する可能性があります。
インターネット上の発言では、表現の自由がある一方で、他人の人格や尊厳を不当に傷つけない配慮も必要です。