交際相手から暴行を受けて傷害事件の被害者になった場合、「相手が起訴されるのか」「証拠が少ない密室事件でも処罰されるのか」「示談に応じるべきなのか」と不安になる方は少なくありません。
傷害事件では、第三者の目撃証言や動画がなくても、診断書、被害者の供述、LINEなどの通信記録、過去の相談履歴など複数の事情を総合して判断されます。この記事では、交際相手からの暴行事件において、起訴判断に影響するポイントや被害者が知っておきたい対応について解説します。
傷害事件で起訴されるかどうかは何で決まるのか
刑事事件で起訴されるかどうかは、警察が捜査した内容をもとに検察官が判断します。検察官は、犯人とされる人物が罪を犯したと認められる十分な証拠があるか、裁判で有罪を立証できる可能性があるかを検討します。
そのため、「第三者の目撃者がいない」「暴行の動画がない」という理由だけで、必ず不起訴になるわけではありません。傷害事件では、被害者の供述や医師の診断結果なども重要な証拠になります。
例えば、顔面への暴行による歯の脱臼や骨折など、明確な外傷がある場合には、どのような経緯でその怪我が発生したのかを含めて捜査が行われます。
密室で起きた暴行事件でも証拠は認められるのか
家庭内暴力や恋人間の暴行事件は、二人きりの場所で発生することが多く、第三者の証言が得られないケースもあります。しかし、そのような事件でも捜査は行われます。
証拠として考慮されるものには、医師の診断書、怪我の状態、事件直後の行動、周囲への相談内容、LINEやメールの履歴、過去の暴力に関する記録などがあります。
特に事件直後に病院を受診している場合や、警察へ相談した履歴が残っている場合は、被害申告の信用性を判断する材料になることがあります。
加害者が正当防衛を主張した場合の考え方
暴行事件では、加害者側が「先に相手が手を出した」「防御するためだった」と主張することがあります。しかし、正当防衛が成立するには、急迫不正の侵害に対して必要な範囲で防衛行為をしたことなど、法律上の条件を満たす必要があります。
仮に最初に何らかの口論や接触があったとしても、一方的に激しい暴行を加えたり、相手の反撃能力を大きく超える攻撃を行った場合には、正当防衛として認められない可能性があります。
例えば、体格差が大きく、相手に重大な怪我を負わせるほどの暴行を続けた場合には、具体的な状況を踏まえて判断されます。
過去の暴力歴や執行猶予中の再犯は影響するのか
加害者に過去の犯罪歴がある場合や、執行猶予期間中に再び事件を起こした場合は、刑事処分を判断する際の重要な事情になります。
特に執行猶予中の再犯では、以前の事件から改善していなかったと評価される可能性があり、処分を決める際に不利な事情として考慮されることがあります。
また、同じ相手から過去にも暴力を受けていた場合、その内容や警察への相談記録などは、事件の背景を判断する材料になる場合があります。
示談を求められた場合に考えるべきこと
加害者側の弁護士から示談の申し入れがあった場合、被害者は必ず応じなければならないわけではありません。示談するかどうかは被害者自身が判断できます。
示談には、治療費や慰謝料などの補償を受けられる可能性がある一方で、刑事処分への希望や気持ちとの間で悩むこともあります。
示談を検討する場合でも、金額だけで判断せず、謝罪の有無、再発防止への対応、今後の安全確保なども含めて考えることが大切です。
被害者が今後できる対応
刑事手続きでは、被害者の協力が重要になることがあります。検察官から事情を聞かれたり、処罰感情について確認されたりする場合があります。
その際には、事実関係を時系列で整理して伝えることが大切です。いつ、どこで、どのような暴行を受け、どのような怪我をしたのかを記録しておくと役立ちます。
また、相手方との直接のやり取りに不安がある場合は、弁護士や警察、支援機関に相談しながら対応することも検討できます。
まとめ
交際相手による傷害事件では、第三者の目撃証言や動画がなくても、診断書や供述、通信記録、過去の相談履歴などを総合して起訴判断が行われます。
加害者が正当防衛を主張している場合でも、暴行の程度や怪我の内容、当時の状況によって判断されます。また、執行猶予中の再犯や過去の暴力歴は、処分を決めるうえで重要な事情になる可能性があります。
示談については、被害者が納得できる形を慎重に検討することが大切です。不安が大きい場合は、刑事事件や被害者支援に詳しい専門家へ相談し、自分の安全と権利を守る対応を取ることが重要です。