交通事故後に痛みを感じていたにもかかわらず、カルテへの記載が遅れていた場合、相手方の保険会社から治療費が認められるのか不安になることがあります。特にMRIなどで後からけん板損傷のような明確な異常が見つかった場合は、事故との因果関係をどのように説明するかが重要になります。この記事では、交通事故による症状の記録、カルテの修正、保険会社との対応、万が一争いになった場合の請求方法について解説します。
交通事故後の痛みがカルテに記載されていない場合の考え方
交通事故による治療費が相手方の任意保険から支払われるためには、その症状が事故によって発生したものなのか、事故との因果関係があるのかが重要になります。
そのため、事故直後の診察時にどのような症状を訴えていたかは大切な判断材料になります。カルテに肩の痛みについて記載がない場合でも、必ずしも直ちに補償対象外になるわけではありません。
例えば、事故直後は首や腰の痛みを強く感じていて肩の症状が軽かった、医師への伝達が十分でなかったなどの事情があれば、後日の診察記録や検査結果などを総合して判断されることがあります。
MRIでけん板損傷が見つかった場合に重要になること
肩のけん板損傷は、画像検査によって確認できる身体的な異常です。ただし、MRIで損傷が確認されたからといって、自動的にすべてが交通事故によるものと認められるわけではありません。
保険会社が確認するポイントとして、事故の衝撃の大きさ、事故直後から症状があったか、治療経過に不自然な空白がないか、年齢や既往症などがあります。
例えば20代で、それまで肩の痛みや運動制限がなく、事故直後から肩の痛みを訴え、その後MRIで損傷が確認された場合は、事故との関連性を主張しやすい事情になります。
カルテに事故当初の症状を追加してもらうことは可能か
診療録は医療機関が作成する正式な記録であるため、患者自身が自由に書き換えることはできません。しかし、当時から症状があったことを医師に伝え、補足説明として記録してもらうことは可能な場合があります。
例えば「初診時から肩の痛みがあったが記録されていなかった」「後日になって痛みが強くなった」という経緯を医師に説明し、現在の診察記録に経過として残してもらう方法があります。
また、診療報酬明細書、診断書、検査結果、本人のメモ、事故直後の家族や職場への相談記録なども、症状の経過を説明する資料になる場合があります。
保険会社から治療費が認められない場合の対応
相手方保険会社が「事故との関係が認められない」と判断した場合、治療費の支払いを拒否される可能性があります。その場合でも、すぐに請求できなくなるわけではありません。
健康保険を利用して治療を継続しながら、最終的に損害賠償請求の中で治療費を主張する方法もあります。ただし、裁判や示談交渉では、事故と症状との関係を証明する資料が重要になります。
具体的には、事故状況を示す資料、医師の診断書、MRI画像、通院記録、症状の経過をまとめた資料などを準備しておくことで、請求の根拠を示しやすくなります。
交通事故後の症状で注意したい記録の残し方
交通事故では、時間が経過すると「本当に事故直後から症状があったのか」という点が争われやすくなります。そのため、自分でも症状の記録を残しておくことが大切です。
例えば、痛みが出た日時、痛みの場所、日常生活への影響、病院で医師に伝えた内容などをメモしておくと、後から経緯を説明するときに役立ちます。
また、保険会社との電話内容や提出した書類についても記録しておくことで、認識の違いによるトラブルを防ぐことができます。
まとめ
交通事故後の肩の痛みがカルテに記載されていなかった場合でも、それだけで治療費請求が不可能になるとは限りません。事故直後からの症状、MRIなどの検査結果、医師の判断、治療経過などを総合的に判断することになります。
大切なのは、現在の症状と事故とのつながりを示せる資料をできるだけ残すことです。保険会社との話し合いで解決しない場合は、交通事故に詳しい弁護士へ相談することで、適切な請求方法を検討できます。