重大犯罪が発生した場合、その犯行を直接行った人物だけでなく、周囲で関わった人がどのような責任を負うのかは重要な問題です。特に、犯行後の行動に関与した場合、「実際に殺していなくても罪になるのか」と疑問に感じる人もいるでしょう。
この記事では、殺人事件後に遺体の処理や隠蔽に関わった人物が問われる可能性のある犯罪や、共犯になる条件について、刑法上の考え方をわかりやすく解説します。
殺人を実行していない人でも犯罪になる場合がある
刑法では、犯罪行為を直接実行した人だけが処罰されるわけではありません。犯罪の計画や手助け、犯行後の隠蔽など、関わり方によって別の犯罪が成立する場合があります。
例えば、ある人物が殺人を計画し、別の人物がその計画を知った上で協力した場合、その協力内容によっては殺人罪の共犯として扱われる可能性があります。
一方で、犯罪が起きた後に初めて事情を知り、何らかの行動をした場合は、殺人の共犯ではなく別の犯罪として判断されることがあります。
犯行後に遺体を処理した場合に問われる可能性がある罪
殺人後に遺体を隠したり、処分したりする行為は、殺人そのものとは別に犯罪となる可能性があります。
代表的なものとして、刑法第190条の死体損壊・遺棄罪があります。遺体を切断する、隠す、捨てるなどの行為は、たとえ殺害行為に関わっていなくても処罰対象になる可能性があります。
例えば、友人が殺人の事実を知らずに食事に参加しただけであれば犯罪成立は難しいですが、遺体を使ったものだと知りながら処理や隠蔽に協力した場合は、犯罪に関与したと判断される可能性があります。
殺人の共犯になるかどうかは「知っていたか」が重要
殺人罪の共犯が成立するためには、基本的に殺人行為への関与や意思の共有が必要になります。
つまり、友人が「殺人が行われることを知っていた」「遺体を利用する目的を理解していた」「その行為を手助けした」といった事情があれば、殺人への関与が問題になります。
反対に、何も知らずに普通の食事だと思って参加した場合は、通常、殺人罪の共犯として扱われることはありません。ただし、後から事情を知った後の対応によっては別の問題が発生します。
犯罪を知った後に黙っていることの問題
重大犯罪を知った後に、犯人をかくまったり、証拠を隠したりする行為は、犯罪となる場合があります。
例えば、犯人が殺人をしたことを知った上で、警察に発覚しないよう協力した場合、犯人隠避罪や証拠隠滅に関する犯罪が成立する可能性があります。
ただし、具体的にどの犯罪が成立するかは、知った時期、行った行為、犯人との関係などによって変わります。
犯罪への関与は状況によって判断される
刑事事件では、「その場にいたから犯罪者」「知らなかったから絶対に無関係」と単純に判断されるわけではありません。
捜査では、本人が何を知っていたのか、どのような目的で行動したのか、どの程度協力したのかなどが詳しく調べられます。
例えば、同じ食事への参加でも、通常の料理だと思っていた場合と、犯罪の証拠隠滅目的だと知って参加した場合では、法的な評価は大きく異なります。
まとめ
殺人事件に関わる場合、実際に手を下していない人物でも、関与の内容によって罪に問われる可能性があります。
犯行を事前に知って協力した場合は殺人罪の共犯となる可能性があり、犯行後に遺体処理や隠蔽に関わった場合でも、死体損壊・遺棄罪や証拠隠滅に関する犯罪が成立する場合があります。
刑事責任は、単にその場にいたかどうかではなく、「何を知っていて、どのような意思で、どのような行動をしたか」によって判断されます。