飲食店を経営している方が借入金や売上減少によって返済が難しくなった場合、自己破産を含めた債務整理を検討することがあります。しかし、店舗を営業している状態では「店を先に閉めるべきなのか」「店舗を手放してから破産申立てをするべきなのか」など、多くの判断が必要になります。
特に事業者の自己破産は、個人の借金だけを整理する場合とは異なり、店舗設備、賃貸契約、従業員、取引先など様々な問題を同時に整理しなければなりません。
この記事では、飲食店経営者が自己破産を考えた場合の店舗の扱い、閉店時の注意点、弁護士に相談する際に知っておきたいポイントについて解説します。
飲食店経営者の自己破産は一般的な自己破産と何が違うのか
個人の自己破産では、主に借金を整理して生活を立て直すことが目的になります。一方で、飲食店などの事業を営んでいる場合は、事業に関係する債務や資産の整理が必要になります。
例えば、店舗の家賃、仕入先への未払い、金融機関からの借入、リース契約、従業員への給与など、確認すべき項目が多くなります。
そのため、営業を継続したまま自己破産を進める場合、個人破産よりも手続きが複雑になりやすく、弁護士側の負担も大きくなる傾向があります。
自己破産前に店舗を手放すことを考える場合の注意点
「店舗を閉めてから自己破産した方が簡単なのでは」と考える方もいますが、店舗の処分方法には注意が必要です。
自己破産では、破産申立て前の財産処分や支払いについて、裁判所から確認されることがあります。不当に財産を減少させたり、特定の相手だけを優先して支払ったりすると、問題になる可能性があります。
例えば、親族や知人に安い価格で店舗設備を譲る、特定の借入先だけに返済するなどの行為は、状況によっては偏頗弁済や財産隠しと判断されるリスクがあります。
店舗を閉店する場合はどのような準備が必要か
飲食店を閉店する場合、単純に営業を停止するだけでは終わりません。賃貸店舗であれば、貸主との契約解除や原状回復の問題があります。
また、厨房設備、什器、在庫などについても整理が必要です。設備を売却できる場合もありますが、処分方法によっては破産手続きに影響することがあります。
例えば、閉店を決めた段階で大量に仕入れを行ったり、売却した売上金を特定の支払いに充てたりすると、後から説明が必要になる場合があります。
営業中でも自己破産の相談は可能なのか
店舗営業を続けている状態でも、自己破産の相談や準備を進めることは可能です。むしろ、資金が完全になくなる前に専門家へ相談することが重要です。
早い段階で相談することで、閉店のタイミング、店舗設備の処理方法、債権者への対応などを計画的に進めることができます。
例えば、売上はあるものの借入返済で資金繰りが苦しい場合、営業を続けながら整理方法を検討できるケースもあります。
法テラスで弁護士が見つからない場合に考えられる理由
法テラスを利用した場合でも、必ず弁護士が受任してくれるとは限りません。特に事業者の自己破産は、書類作成や財産確認などの作業量が多く、通常の自己破産より時間がかかることがあります。
弁護士が断る理由は、依頼者に問題があるという意味ではなく、事務所の対応状況や案件の複雑さ、費用面など様々な事情があります。
事業者破産を多く扱っている弁護士や法律事務所へ直接相談することで、別の選択肢が見つかる場合もあります。
自己破産を検討するときに避けるべき行動
自己破産を考え始めた時期は、不安から焦った行動をしてしまいやすい時期です。しかし、破産手続きでは申立て前の行動も確認されます。
避けるべき行動として、財産を隠す、特定の人だけに返済する、価値のある財産を不自然に安く処分するなどがあります。
一方で、通常の生活費の支払い、事業整理に必要な対応、専門家への相談などは、状況に応じて適切に行う必要があります。
飲食店経営者が自己破産を考えた時に取るべき行動
まず大切なのは、店舗をどうするかを一人で決める前に、事業者破産の経験がある専門家へ相談することです。
店舗を閉めるタイミングや設備の処分方法によって、自己破産手続きの進み方や費用負担が変わる可能性があります。
また、借金が増え続けている場合は、問題を先送りするほど選択肢が少なくなることがあります。早めに現状を整理することで、より適切な解決方法を検討できます。
まとめ:飲食店の自己破産は店舗処分のタイミングが重要
飲食店経営者が自己破産を検討する場合、店舗を先に手放すべきか、営業を続けながら準備するべきかは、個別の状況によって判断が変わります。
重要なのは、自己判断で店舗や財産を処分するのではなく、破産手続きへの影響を確認しながら進めることです。
借入返済や資金繰りで悩んでいる場合、早い段階で事業者破産に詳しい専門家へ相談することで、店舗や取引先への影響を抑えながら再スタートへの道を検討できます。