「今使っているスマホ料金が安くなる」「無料でポケットWiFiが使える」などの電話をきっかけに、よく内容を理解しないままモバイルWiFiを契約してしまうケースがあります。契約後に毎月の請求や長期契約、端末代金の分割払いに気付き、解約すると高額な費用を請求されるのではないかと不安になる人もいるでしょう。
特に電話で勧誘され、その後SMSで送られてきたURLから契約者情報やクレジットカード情報を入力した場合、単純な「自分からネット通販で申し込んだ契約」と同じとは限りません。電話勧誘の内容、契約書面の内容、事業者から何を説明されたかによって利用できる制度や解決方法が変わる可能性があります。
この記事では、Liyl WiFiなどのモバイルWiFiを電話勧誘で契約した場合を念頭に、クーリングオフ、契約書面、不実告知、解約金・端末残債、消費生活センターへの相談など、確認しておきたいポイントを整理します。個別の契約について最終的な法的判断をするものではないため、実際にトラブルになっている場合は消費生活センターや法律専門家にも相談してください。
Liyl WiFiの契約内容はまず書面で確認する
Liyl WiFiを運営する株式会社Liylは、公式サイトの特定商取引法に基づく表記でサービスの料金や契約条件などを掲載しています。掲載内容によると、プランによって月額料金のほか、端末代の分割払い、契約期間、解約時の違約金などが設定されています。契約した時期やプランによって条件が異なる可能性があるため、自分が受け取った契約書面を優先して確認する必要があります。
たとえば、月額料金だけを聞いて契約したつもりでも、実際には端末代の割賦、事務手数料、オプションサービスなどが加算されている場合があります。「毎月約1万円請求されている」という場合には、請求額だけを見るのではなく、何の料金が組み合わされているのかを明細と契約書面で照合しましょう。
公式サイトでは契約条件やクーリングオフについても案内されています。契約時の条件を確認する際には、株式会社Liylの会社概要・特定商取引法に基づく表記[参照]も確認できます。ただし、現在のウェブサイト上の条件と自分が契約した時点の条件が同一とは限らない点には注意してください。
電話から始まった契約は「ネットで入力したから通信販売」とは限らない
重要なのが契約に至った経緯です。消費者庁によれば、事業者が消費者に電話をかけて勧誘し、申込みを受ける取引は「電話勧誘販売」に該当する場合があります。また、電話をいったん切った後に申込みをしたケースでも電話勧誘販売に該当する場合があります。
つまり、最初に事業者から勧誘電話があり、その電話をきっかけとしてSMSのURLから契約した場合、「ウェブフォームから入力したのだから単なる通信販売」と即断できるわけではありません。どのような勧誘があり、どのような流れで申込みに至ったのかが重要です。
電話勧誘販売については消費者庁の特定商取引法ガイド・電話勧誘販売[参照]で制度を確認できます。電話の日時、電話番号、説明内容、SMS、申込画面、契約書面などは削除せず保存しておきましょう。
クーリングオフの8日を過ぎたら絶対に解約できないのか
電話勧誘販売に該当する場合、原則として法律で定められた書面を受け取った日から8日以内であれば、クーリングオフを利用できる場合があります。クーリングオフは通常の「自己都合による中途解約」とは性質が異なる制度です。
一方、契約から1か月以上経過している場合などは「8日を過ぎたからもう何もできない」と考えてしまいがちです。しかし、単純に日数だけを数えて結論を出すのは早計です。法定書面が適切に交付されていたか、必要事項が記載されていたか、勧誘時に事実と異なる説明がなかったかなど、契約経緯を確認する余地があります。
消費者庁は、電話勧誘販売について、事業者がクーリングオフに関して事実と異なることを告げたり、威迫したりしたことで消費者が誤認・困惑してクーリングオフを行わなかった場合には、期間経過後でもクーリングオフできる場合があると説明しています。したがって、期間を過ぎているケースほど自己判断だけで諦めず、契約書類を持って専門窓口に相談することが大切です。
「auのプランが安くなる」「無料でWiFiが使える」と説明された場合の確認ポイント
電話勧誘トラブルでは、契約書面だけでなく勧誘時に何を言われたかが非常に重要です。「現在利用中の通信会社の料金プラン変更だと思った」「今のスマホ契約に無料でWiFiが付くと思った」「別会社との新規契約だとは理解していなかった」といったケースでは、その認識に至った具体的な説明内容を整理する必要があります。
特定商取引法には、事業者が重要事項について事実と異なる説明をした結果、消費者が誤認して契約した場合などに関する規定があります。そのため、「説明と実際の契約内容が違う」と感じる場合には、単に「聞き間違えたかもしれない」で終わらせず、客観的な資料を集めることが重要です。
たとえば、電話で「無料」と説明されたのに実際には端末代が36回払いになっていた、「auの料金プランが安くなる」と理解していたのに実際にはauとは別の事業者との契約だった、月額料金について重要な費用が説明されていなかった、といった事情があれば、いつ、どの番号から、どのような言葉で説明されたのかをメモにしてください。
モバイルWiFiの電話勧誘トラブルは公的機関も注意喚起している
消費者庁は2026年3月、「自宅のインターネット料金が安くなる」などと電話勧誘され、後日モバイルWiFi機器や契約書類が送られ、料金を請求されるといったトラブルについて注意喚起しています。
この注意喚起は個別のLiyl WiFi契約について違法性などを判断したものではありません。そのため、特定の事業者について根拠なく「詐欺」と断定することは適切ではありません。しかし、「通信料金が安くなる」という電話からモバイルWiFi契約につながるトラブル自体は、公的機関が注意を促している類型です。
同種のトラブルについては消費者庁の注意喚起[参照]も確認しておくとよいでしょう。自分のケースと似ている場合には、その点も消費生活センターへ伝える材料になります。
端末を未開封・未使用で保管している場合にやっておきたいこと
届いたWiFi端末をまだ開封・使用していないのであれば、相談が終わるまで不用意に開封したり使用したりせず、そのまま保管しておくのが無難です。外箱、送り状、同封書類、契約書、説明書などもまとめて保管してください。
端末を返送する場合も、事業者と話がまとまる前に自己判断で送り返すのではなく、返送先、返送期限、追跡可能な配送方法、付属品の範囲などを確認した方が安全です。返送することになった場合には、梱包前の端末・付属品の写真や配送伝票も残しておくとトラブル防止につながります。
また、クレジットカードの利用明細については、最初に請求された月から現在まで保存しておきましょう。請求名義、金額、請求日を一覧にすると、消費生活センターなどへ相談するときにも説明しやすくなります。
約9万円の端末残債をすぐ支払う前に契約内容を確認する
長期契約のWiFiを途中解約すると、違約金だけでなく端末代金の未払い分が一括請求されることがあります。そのため「解約したいけれど、9万円近く払わなければならない」と考えてしまうケースがあります。
ただし、ここでも通常の中途解約として処理するのか、それとも契約成立までの勧誘方法や説明に問題がなかったかを確認するのかによって話が変わります。電話勧誘の内容に疑問があるのに、内容を確認しないまま高額な請求を支払って終了させる必要があるとは限りません。
一方で、「使っていないから端末代を払わなくてよい」とも一概には言えません。端末が未使用でも有効な契約が成立していれば契約上の支払義務が問題になります。だからこそ、契約書面と勧誘経緯の確認が先になります。
消費生活センターへ相談するときに準備するもの
電話勧誘で契約したWiFiについて「説明と契約内容が違う」「解約費用が高額」「クーリングオフ期間を過ぎてしまった」といった問題がある場合には、消費生活センターへの相談が有力な選択肢です。全国共通の消費者ホットライン188に電話すると、原則として最寄りの消費生活相談窓口につながります。
相談時には、契約書一式、申込み時のSMS、申込みページのスクリーンショット、クレジットカード明細、届いた端末と送り状、事業者とのメール・SMS、電話を受けた日時と番号などを用意しましょう。
さらに、「何を言われたから契約したのか」を時系列でまとめます。たとえば「7月○日に050番号から電話→auの料金が安くなりWiFiが無料で使えるという説明→SMSのURLから個人情報とカード情報を入力→数日後に端末到着→8月のカード明細で別料金に気付いた」という形です。事実関係が整理されているほど相談員も状況を把握しやすくなります。
クレジットカード会社にも相談した方がよいケース
契約先との間で請求内容そのものについて争いがある場合には、消費生活センターへの相談と並行してカード会社へ事情を伝える方法もあります。ただし、カード会社へ連絡しただけで必ず請求を停止・返金してもらえるわけではありません。
「身に覚えのない不正利用」と、本人が契約手続きを行ったものの勧誘内容について争いがあるケースは性質が異なります。そのため、カード会社には事実を正確に説明してください。「電話勧誘を受け、自分でカード情報を入力したが、説明されていた内容と実際の契約内容に相違があると考えている」といった形で伝える方が適切です。
カードを単純に停止しても契約自体が自動的に解除されるわけではありません。支払い方法の停止と契約の解除・取消しは別問題として扱う必要があります。
「詐欺かどうか」より契約時の具体的な事実を整理することが重要
インターネットで会社名を検索すると、「怪しい」「詐欺ではないか」といった口コミが見つかることがあります。しかし、口コミだけを根拠に特定企業を詐欺と断定することはできません。
契約トラブルを解決するうえでは口コミよりも、実際の勧誘内容、契約書面、料金、申込経緯、事業者とのやり取りの方がはるかに重要です。特に「既存の通信会社のプラン変更だと思わせるような説明だったのか」「別会社との新規契約だと明確に説明されたのか」「端末代や契約期間について説明されたのか」は整理しておきたいポイントです。
記憶が薄れる前に、電話での会話を可能な限り文章にしておきましょう。通話録音が残っている場合は削除せず保存します。SMSやメールも同様です。
まとめ:クーリングオフ期間を過ぎても自己判断だけで諦めない
Liyl WiFiなどのモバイルWiFiを電話勧誘で契約し、後から想定していなかった料金や長期契約、端末残債に気付いた場合には、まず契約書面と勧誘経緯を確認することが重要です。電話がきっかけとなった契約は、申込みをウェブ上で行っていても電話勧誘販売に該当する可能性があります。
クーリングオフには原則として期間がありますが、期間を過ぎているという一点だけで、あらゆる解決手段がなくなったと決めつける必要はありません。法定書面の交付状況や勧誘時の説明などによって検討すべき点が残る可能性があります。
高額な違約金や端末残債を支払う前に、契約書・SMS・カード明細・端末・勧誘内容のメモをそろえ、消費者ホットライン188を通じて消費生活センターへ相談することを検討してください。契約金額が大きい場合や事業者との見解が対立する場合には、必要に応じて弁護士など法律の専門家へ相談することも選択肢になります。