スマホ操作中の追突・玉突き事故で人身事故になったら何点?免停・罰金・刑事処分の考え方

運転中のスマートフォン操作が原因で追突事故や玉突き事故を起こし、相手がむち打ちなどのけがをして診断書を警察へ提出すると、単なる物損事故ではなく人身事故として扱われる可能性があります。この場合に気になるのが、「違反点数は何点になるのか」「罰金はいくらになるのか」「免停になるのか」という点です。

ただし、交通事故では「相手の治療期間が15日未満なら必ず○点・罰金○万円」と機械的に決まるわけではありません。事故原因となった違反、けがの程度、事故についての責任の重さ、スマートフォンをどのように操作していたかなどによって結論が変わります。特にスマホ操作が事故原因の場合は、通常の前方不注意による事故とは点数が大きく異なる可能性があるため注意が必要です。

人身事故の点数は「基礎点数+事故の付加点数」で考える

交通事故による行政処分を理解するときは、まず事故原因となった交通違反の基礎点数と、人身事故による付加点数を分けて考えることが重要です。

たとえば一般的な前方不注意による追突事故について、安全運転義務違反が認定されるケースでは基礎点数は2点です。さらに人身事故になれば、被害者のけがの程度と事故責任に応じた付加点数が加わります。

警察が公表している点数制度では、治療期間15日未満の軽傷事故について、事故が専ら違反者の不注意によって発生した場合の付加点数は3点、それ以外の場合は2点とされています。

事故の内容 専ら違反者の不注意 それ以外
死亡事故 20点 13点
治療3か月以上または後遺障害 13点 9点
治療30日以上3か月未満 9点 6点
治療15日以上30日未満 6点 4点
治療15日未満 3点 2点

したがって、単純な前方不注意による追突で、安全運転義務違反2点、治療期間15日未満、事故が専ら運転者の不注意によるものと判断されたケースなら、2点+3点=5点という計算例が考えられます。実際に警察の案内でも、脇見運転などによって2週間のけがを負わせた例として合計5点が示されています。

スマホを操作して事故を起こした場合は「5点」とは限らない

ここで特に注意したいのが、事故直前にスマートフォンを操作していた場合です。単に「前を見ていなかった」という安全運転義務違反として処理されるとは限りません。

警察庁によると、自動車運転中の「携帯電話使用等(交通の危険)」は、基礎点数6点で、反則金制度の対象ではありません。また、罰則は1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金とされています。運転中にスマートフォンなどを使用・注視することで交通の危険を生じさせた場合が問題になります。

そのため、たとえば走行中にスマートフォンの画面を見たり操作したりして音楽を再生しようとし、その行為によって前方確認ができず追突事故を起こしたのであれば、「携帯電話使用等(交通の危険)」に該当するかどうかが重要なポイントになります。

携帯電話使用等(交通の危険)が認定される場合、基礎点数自体が6点です。さらに人身事故について付加点数が問題となるため、単純な「安全運転義務違反2点+軽傷事故3点=5点」という想定だけで判断するのは危険です。実際の違反名や点数は、事故状況やスマートフォンの使用態様について警察がどのように認定するかによって決まります。

警察庁による携帯電話使用等の罰則・点数については[参照:警察庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」]で確認できます。

「スマホで音楽を再生しようとした」だけでも問題になる?

スマートフォンを使ったという事実だけで、必ず携帯電話使用等(交通の危険)が成立するわけではありません。道路交通法上は、運転中の通話や画像表示用装置の注視などについて具体的な規定が設けられているため、実際に何をしていたのかが重要になります。

たとえばスマートフォンを手に持ち、画面を見ながら音楽アプリを操作していたところ前方車両への対応が遅れて追突したケースと、車載オーディオの物理ボタンを一瞬操作したケースでは、法的評価が同じとは限りません。

警察の実況見分や事情聴取では、「スマートフォンを手に持っていたのか」「画面を見ていたのか」「どの程度の時間見ていたのか」「その操作と事故との因果関係はあるのか」といった事情が重要になります。事故後は事実と異なる説明をせず、実際の状況を正確に説明することが大切です。

相手が「治療15日未満」なら人身事故の付加点数はどうなる?

被害者がむち打ちなどで医療機関を受診し、診断書上の治療期間が15日未満の場合、行政処分上は軽傷事故の区分が問題になります。

事故が専ら違反者の不注意によって発生した場合には3点、それ以外の場合には2点の付加点数が設定されています。追突事故では後続車側の責任が重く評価されることが多いため、事故状況によっては「専ら」に該当する可能性があります。

なお、玉突き事故で車が3台関係していても、単純に「2台にぶつかったから点数が2倍になる」という仕組みではありません。複数の負傷者がいる場合には負傷の程度なども関係しますが、車両の台数だけで事故の付加点数を掛け算するわけではありません。

行政処分の付加点数については[参照:神奈川県警察「点数制度による運転免許の取消し・停止」]でも確認できます。

診断書を提出されたら必ず罰金になるわけではない

人身事故になった場合、行政処分の「点数」と刑事処分の「罰金」は別物です。ここを混同しないことが重要です。

違反点数は免許に関する行政処分であり、一定の累積点数になると免許停止や取消しの対象になります。一方、罰金は刑事処分です。そのため、「5点だから罰金○万円」のような換算表はありません。

人身事故では、事故態様によって過失運転致傷などの刑事責任が問題になることがあります。一方で、被害が軽微であること、過失の程度、被害者との示談状況、事故後の対応、前科・前歴などさまざまな事情が考慮されるため、診断書が提出されたという情報だけから実際の罰金額を断定することはできません。

さらに、スマートフォンの使用によって交通の危険を生じさせたと認定されれば、携帯電話使用等(交通の危険)自体についても罰則が定められています。この違反は交通反則通告制度の対象外であり、通常の青切符の反則金とは扱いが異なります。

免停になるかは過去の累積点数も確認する

行政処分は今回の事故だけを見るのではなく、原則として過去の違反・事故による累積点数や処分前歴も関係します。そのため、今回何点になるかと同時に、それ以前に速度違反、一時停止違反、信号無視などの点数が残っていないかを確認する必要があります。

特に携帯電話使用等(交通の危険)は基礎点数が6点と重く設定されています。警察庁も6点であることを明示しており、前歴のない一般的なケースでも免許停止につながり得る重い違反です。

一方、通常の安全運転義務違反2点と治療15日未満の付加点数3点による合計5点で、過去に他の累積点数がないケースなら、今回の5点だけを理由として直ちに通常の免停基準へ達するケースとは異なります。だからこそ、今回警察が事故原因を「安全運転義務違反」と認定するのか、「携帯電話使用等(交通の危険)」と認定するのかは非常に重要です。

事故後に確認しておきたいこと

事故を起こした後は、点数や罰金を予想するだけでなく、警察・保険会社への対応を適切に進める必要があります。任意保険に加入している場合には速やかに事故報告を行い、被害者の治療費や車両損害などについて担当者と確認します。

また、警察から事情聴取を受ける場合には、スマートフォンを操作していたことを含め、記憶している事実を正確に説明することが重要です。「罰則を軽くしたいからスマホを触っていなかったことにする」といった虚偽の説明は避けるべきです。

刑事処分や免許停止の可能性が心配な場合、とくにスマートフォン操作が事故原因として捜査されている場合には、交通事件を扱う弁護士へ早めに相談する選択肢もあります。警察から告げられた違反名、診断書上の治療期間、過去の違反歴などが分かれば、より具体的な見通しを確認できます。

まとめ|スマホが原因の人身事故は通常の追突事故より処分が重くなる可能性がある

治療期間15日未満の人身事故では、専ら事故を起こした側の不注意であれば3点の事故付加点数が基本となります。一般的な前方不注意で安全運転義務違反2点が原因なら、合計5点というケースが代表例です。

しかし、運転中にスマートフォンの画面を操作・注視し、それによって追突事故を起こした場合には話が変わります。「携帯電話使用等(交通の危険)」に該当すると判断されれば基礎点数は6点で、反則金制度も適用されず、刑事手続の対象となる可能性があります。

したがって、事故後に「相手が全治15日未満だから5点程度だろう」と自己判断するのではなく、警察がどの違反を事故原因として認定しているのかを確認することが重要です。点数と罰金は別制度であり、最終的な刑事処分も事故態様や被害状況などを踏まえて決まります。

そして何より、音楽変更やナビ設定などの短時間の操作でも、走行中は想像以上に長い距離を前方確認なしで進むことになります。スマートフォンの操作が必要になった場合は、安全な場所に停車してから操作することが、同じ事故を防ぐ最も確実な方法です。

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