スマホのながら運転で人身事故を起こすと罰金はいくら?過失運転致傷罪・刑事処分・違反点数を解説

自動車を運転しながらスマートフォンを操作し、その結果として相手にけがを負わせた場合、単なる交通違反だけではなく、人身事故として刑事責任を問われる可能性があります。特に注意したいのが、自動車運転死傷処罰法の過失運転致傷罪と、道路交通法上の携帯電話使用等に関する違反です。

ただし、人身事故を起こしたからといって一律に同じ罰金になるわけではありません。被害者のけがの程度、事故態様、運転者の過失、前科・前歴、被害弁償や示談など、さまざまな事情を踏まえて処分が決まります。ここでは、スマホのながら運転による人身事故について、法律上の刑罰と実際に処分を考える際のポイントを整理します。

スマホのながら運転で人を負傷させると過失運転致傷罪になる可能性がある

自動車の運転に必要な注意を怠った結果、人を負傷させた場合には、自動車運転死傷処罰法の過失運転致傷罪が成立する可能性があります。スマートフォンの画面を見ていて前方確認が遅れ、前の車や歩行者などに衝突したケースは、その典型的な場面の一つです。

同法では、過失運転致死傷について7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定められています。一方、傷害が軽い場合には、情状によって刑が免除される余地も法律上設けられています。したがって、軽傷事故だから必ず罰金になるとも、初犯だから必ず不起訴になるとも断定できません。[参照]

たとえば、被害者がいわゆるむち打ちで通院する事故でも、診断書が警察に提出され人身事故として扱われれば、捜査の対象となり得ます。診断名だけで最終的な処分が決まるのではなく、治療期間や事故の状況なども重要になります。

「罰金はいくら」と事故直後に確定するわけではない

過失運転致傷罪の法定刑に「100万円以下の罰金」と書かれていても、これは100万円の罰金が自動的に科されるという意味ではありません。法律上の上限と、個別事件で実際に科される刑は別の話です。

具体的な処分では、被害者のけがの程度、事故発生時の運転状況、過失の大きさ、事故後の救護・通報状況、前科や交通違反歴など、個別の事情が考慮されます。また、任意保険による損害賠償や示談の進行状況なども、事件全体を見るうえで重要な事情となり得ます。

そのため、「初めての事故で相手が軽傷なら罰金○万円」といった形で正確な金額を事前に算出することはできません。警察の捜査後に事件が検察へ送られれば、検察官が証拠や事情を確認して、起訴するか不起訴にするかなどを判断します。

ながらスマホそのものにも道路交通法上の罰則がある

人身事故とは別に、運転中のスマートフォン使用そのものが道路交通法上の問題になります。警察庁によると、自動車運転中の携帯電話使用等によって交通の危険を生じさせた場合には、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が規定され、反則金制度の対象とはならず、基礎点数は6点とされています。[参照]

一方、事故を起こしていなくても、走行中にスマートフォンを手に持って通話したり画面を注視したりする「携帯電話使用等(保持)」には、6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金が規定されています。普通車の反則金は1万8,000円、基礎点数は3点です。

つまり、ながら運転による人身事故では、「人をけがさせたこと」と「運転中にスマートフォンを使用していたこと」という複数の法律上の問題を整理する必要があります。実際の事件でどの犯罪が成立し、どのように処理されるかについては事故状況によって異なります。

刑事処分と免許の行政処分は別に考える必要がある

交通事故では、罰金などの刑事処分だけを見ていると全体像を把握できません。運転免許については、違反行為や事故の内容に応じた点数による行政処分も問題になります。

刑事処分は犯罪に対する刑罰の問題であり、行政処分は運転免許の停止や取消しなどに関する制度です。そのため、「不起訴になれば免許の点数もなくなる」「罰金を払えば免許停止にはならない」という単純な関係ではありません。

さらに、事故の被害者に対する治療費、慰謝料、休業損害などの民事上の損害賠償も別に存在します。任意保険に加入している場合には保険会社が示談交渉や賠償対応を行うケースが一般的ですが、刑事・行政・民事という3つの責任は分けて理解しておくことが重要です。

初犯・軽傷事故ではどのような事情が確認されるのか

前科や前歴がなく初めて事故を起こしたという事情は、処分を検討する際の一事情になり得ます。しかし、初犯であることだけを理由に必ず不起訴になったり、罰金にならなかったりするわけではありません。

特にながらスマホは、運転に必要な前方確認を妨げる危険な行為として罰則が強化されています。警察庁も、スマートフォンなどの注視や通話によって画面へ意識が集中すると、歩行者や他の車両を発見できず重大事故につながる危険性があると注意喚起しています。[参照]

事故後は、被害者の救護、警察への報告、保険会社への連絡など必要な対応を適切に行うことが大切です。また、被害者への連絡については、保険会社や弁護士が対応している場合に当事者から直接連絡するとかえってトラブルになることもあるため、担当者と相談しながら進めるのが安全です。

略式起訴と罰金という処理もある

刑事事件で「起訴」という言葉を聞くと、必ず公開の法廷で裁判を受けるイメージを持つかもしれません。しかし、比較的軽微な事件では、正式裁判ではなく略式手続によって罰金刑が科される場合もあります。

一方で、検察官が事件の内容を検討した結果、不起訴となる場合もあります。したがって、警察から過失運転致傷罪に該当する可能性を説明された段階では、最終的な刑事処分が確定したわけではありません。

なお、罰金刑であっても刑事罰であり、有罪判決が確定すれば一般に前科となります。「交通事故だから反則金と同じ」という理解は正確ではないため、反則金・罰金・損害賠償金を区別して考える必要があります。

処分が不安なときに確認しておきたいこと

事故後に処分の見通しを知りたい場合は、事故状況を整理しておくことが重要です。特に、スマートフォンをどのように使用していたのか、事故時の速度、衝突状況、被害者の診断・治療状況、ドライブレコーダーの有無、これまでの交通違反歴などによって評価が変わる可能性があります。

ドライブレコーダーなどの証拠が残っている場合には、自己判断で削除・編集せず保存しておきます。保険会社から届いた書類、警察から渡された書類、事故現場の写真などについても整理しておくとよいでしょう。

具体的な起訴の可能性や刑罰の見通しについて判断が必要な場合には、交通事故や刑事事件を扱う弁護士へ資料を示して相談する方法があります。ネット上の「むち打ちなら○万円」といった情報だけで自分の処分を決めつけないことが大切です。

まとめ:ながら運転の人身事故は罰金額だけでなく刑事・行政・民事を確認する

スマホのながら運転によって人を負傷させた場合、過失運転致傷罪が成立する可能性があります。同罪の法定刑は7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金ですが、実際の処分は被害の程度や事故態様など個別事情によって判断されるため、事故直後の段階で具体的な罰金額を断定することはできません。

また、ながらスマホには道路交通法上の罰則・違反点数があり、人身事故では運転免許の行政処分や被害者への民事上の損害賠償も別途問題になります。「罰金はいくらか」だけではなく、刑事処分・行政処分・民事責任を分けて確認することが重要です。

事故後は警察や保険会社からの連絡に適切に対応し、必要な資料を保存したうえで、具体的な刑事処分に不安がある場合は弁護士などの専門家へ相談するとよいでしょう。なお、法令や交通制度は改正されることがあるため、最新情報は警察庁やe-Gov法令検索などの公的情報で確認してください。

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