鎖骨骨折のプレートが3年後も痛む原因は?抜釘する・しないの判断と再受診のポイント

交通事故などによる鎖骨骨折でプレート固定術を受けたあと、骨折から数年経過しても鎖骨周辺に痛みを感じることがあります。「骨はもう付いているはずなのに、なぜ痛むのか」「プレートを抜けば治るのか」「一生このままなのか」と不安になるケースもあります。

鎖骨骨折後の長期的な痛みには複数の原因が考えられるため、3年たって痛みがあるから一生治らない、と決めつけることはできません。一方で、プレートを抜けば必ず痛みが消えるとも限らず、抜去には再手術特有のリスクがあります。

何もしていないときにも繰り返し痛む状態であれば、我慢を続けるより、現在の骨癒合やプレート・スクリューの状態、痛みの場所と原因を整形外科で改めて評価してもらうことが重要です。

鎖骨骨折ではプレートとスクリューで固定することがある

鎖骨骨折は転倒や交通事故などによって起こり、骨折部のずれが大きい場合などには手術が選択されます。日本整形外科学会も、鎖骨へ金属製の板を当て、スクリューで固定するプレート固定を手術方法の一つとして紹介しています。[参照:日本整形外科学会「鎖骨骨折」]

プレートの役割は骨折部を安定させ、骨が癒合する環境を作ることです。日本整形外科学会によれば、鎖骨骨折の骨癒合には最低でも4~12週程度を要するとされています。ただし実際の経過には骨折の形、ずれ、年齢などによる個人差があります。

骨が癒合したあともプレートを残すケースはあります。「骨が付いた=必ずプレートを抜かなければならない」というものではなく、抜去するか残すかは個々の状態から判断されます。

3年後にも鎖骨が痛むなら原因を改めて確認する

手術から数年たっているにもかかわらず痛みが続いている場合、「昔の骨折だから仕方がない」で終わらせず、現在の状態を確認する価値があります。痛みの原因が本当にプレートなのか、それとも別の問題なのかを区別する必要があるためです。

例えば、皮膚のすぐ下にあるプレート周辺への刺激、スクリュー周囲の問題、骨折部の状態、肩周囲の筋肉・腱・関節の問題、事故時に受けた別の軟部組織損傷など、いくつもの可能性があります。また鎖骨付近の違和感やしびれなど、痛み以外の症状が伴う場合もあります。

日本整形外科学会では、骨折の診断にはX線検査が基本で、必要に応じてCTやMRIなどを用いる場合があると説明しています。[参照:日本整形外科学会「骨折」] 数年前の画像だけで判断するのではなく、現在の状態を診察してもらうことが大切です。

プレートを抜けば痛みがなくなるとは限らない

プレートが皮膚や周辺組織を刺激しているなど、金属そのものが症状に関係していると判断された場合には、骨癒合後に抜釘・抜去手術が検討されることがあります。

ただし、痛みの原因が肩関節や筋肉、神経、事故による別の損傷などにある場合、プレートを抜いても症状が完全には改善しない可能性があります。そのため「痛い→プレートを抜く」という単純な判断ではなく、痛む場所や動作、画像所見などを合わせて検討します。

例えば「プレートの端を押すとそこだけ強く痛む」のと、「肩を上げると肩関節の奥が痛む」「何もしていないときにも広い範囲が痛む」では、考えるべき原因が異なります。診察時には痛む位置をできるだけ正確に伝えると判断材料になります。

プレートを残す判断にも理由がある

主治医から「強度などを考えると抜かないほうがよい」と説明されるケースでは、その判断の根拠を具体的に確認することが重要です。骨折の状態や骨の質、骨癒合の程度などは患者ごとに異なるためです。

プレートを取り外すには再び手術が必要です。皮膚を切開してスクリューとプレートを取り外すため、感染、出血、神経など周辺組織への影響、麻酔に伴うリスクなどをゼロにはできません。またスクリューを抜いた部分には一時的に穴が残るため、術後の活動について医師から制限を受けることもあります。

したがって、症状がほとんどなくプレートを残すメリットが大きい人と、プレートによる症状が疑われ抜去を検討する価値がある人では結論が異なります。何年経過したかだけで抜去の可否を決めるものではありません。

「一生この痛みが続く」と現時点で決める必要はない

慢性的な痛みは原因によって経過が大きく異なるため、「3年間痛いから、これから一生同じ」とは判断できません。原因を特定でき、それに応じた治療やリハビリテーションによって改善できる可能性もあります。

一方、プレートを抜けば必ず元通りになるとも断言できません。交通事故では鎖骨だけでなく肩、首、筋肉、神経などにも力が加わっている場合があり、痛みが複数の要因から生じていることも考えられます。

特に事故後から首・肩の痛みや手のしびれなども続いている場合には、その情報も整形外科医へ伝えましょう。日本整形外科学会も、交通事故などの外傷後には頚部痛、肩こり、手のしびれなどが長期間続くことがあると解説しています。[参照:日本整形外科学会「外傷性頚部症候群」]

再診するときに医師へ確認したいこと

以前に抜釘を予定していたものの、その後「抜かないほうがよい」という方針へ変わった場合には、現在の痛みも含めてもう一度相談することをおすすめします。その際は「抜いたほうがいいですか」だけでなく、判断理由を具体的に確認すると理解しやすくなります。

  • 現在、鎖骨は十分に骨癒合しているのか
  • レントゲン上でプレートやスクリューに問題はないか
  • 現在の痛みはプレートが原因と考えられるのか
  • プレート以外に考えられる原因はあるか
  • 抜去した場合、痛みが改善する可能性はどの程度期待できるのか
  • 抜去する場合のリスクや術後の運動制限は何か
  • 残した場合には今後どのような経過観察が必要か

「強度的に残したほうがよい」という説明についても、現在も同じ判断なのか、その根拠は何なのかを尋ねて構いません。数年前と現在では骨癒合などの状態が変化している可能性があるためです。

納得できない場合は別の整形外科で意見を聞く方法もある

主治医の説明を聞いても「なぜ抜かないのか分からない」「痛みについて十分な説明が得られない」という場合には、別の整形外科医からセカンドオピニオンを得る方法もあります。

可能であれば、事故直後の画像、手術記録、現在までのレントゲンなどを用意すると経過を判断しやすくなります。鎖骨骨折や肩周辺の外傷を多く扱う整形外科へ相談するのも選択肢です。

セカンドオピニオンは「プレートを抜いてくれる医師を探す」ことが目的ではありません。残す場合と抜く場合それぞれの利益・リスクを整理し、自分の症状に適した選択をするために利用するものです。

急な症状の変化があれば早めに受診する

数年間ほぼ同程度の痛みが続いている場合と、最近になって急激に痛みが強くなった場合では意味が異なります。新しい転倒や衝撃のあとから強く痛む場合などは、早めに整形外科を受診してください。

またプレート周辺の赤み・腫れ・熱感、傷からの排液、発熱、新たな腕や手のしびれ・脱力などがある場合にも医療機関へ相談する必要があります。

痛み止めだけで長期間しのぐのではなく、3年間続いている痛みなら一度「現在の骨折部とプレートの状態を再評価する」という発想が重要です。

まとめ:鎖骨プレートが入った状態で3年後も痛むなら再評価を

鎖骨骨折のプレート固定から3年経過しても痛みがあるからといって、その痛みが一生変わらないと決まったわけではありません。まず、骨癒合、プレートやスクリュー、肩関節や周囲組織などを含め、現在の痛みの原因を確認することが重要です。

プレート抜去によって改善が期待できるケースも考えられますが、抜けば必ず痛みが消えるわけではなく、再手術にもリスクがあります。一方、プレートを残す判断にも医学的な理由がある場合があります。

以前「強度的に抜かないほうがよい」と説明されていても、痛みが現在も頻繁にあるなら、その症状を改めて主治医へ伝え、最新の画像を含めて再評価してもらうことが第一歩です。説明に納得できない場合には、鎖骨・肩の外傷を扱う整形外科でセカンドオピニオンを受け、抜去する場合と残す場合のメリット・リスクを比較して判断するとよいでしょう。

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