ナンバーなしの車と事故をしたら保険はどうなる?ディーラー車・無登録車・自賠責・任意保険を解説

公道を走っている車にナンバープレートが付いていないと、「この車と事故になったら保険は使えるのか」「無保険車なのではないか」と不安になることがあります。特に自動車ディーラーや整備工場の近くでは、商品車や整備中の車が移動している場面を見かけることもあります。

まず押さえておきたいのは、ナンバープレートが付いていないことと、自賠責保険や任意保険が使えるかどうかは別問題だという点です。また、事故の相手が違法な状態で走行していたとしても、それだけで事故の過失割合が自動的に100対0になるわけではありません。

事故時には相手車両の登録状況、自賠責保険の有無、ディーラー等が契約している任意保険の対象になるか、自分側の保険にどのような補償があるかを個別に確認する必要があります。

原則としてナンバープレートのない登録自動車をそのまま公道で走らせることはできない

一般の登録自動車は、登録を受けてナンバープレートを表示した状態で公道を走るのが原則です。そのため、単純にナンバーを取り外しただけの車を通常の車と同じように公道走行させてよいわけではありません。

ただし、ナンバーがない車両を一定の目的で一時的に運行させるための「臨時運行許可」という制度があります。いわゆる仮ナンバーです。車検切れ車両を検査場へ運ぶ場合など、認められた目的・経路・期間について許可を受けて運行する仕組みです。

したがって、ディーラー周辺でナンバーがないように見える車を見ただけでは、その車の登録・許可・保険状況まで判断することはできません。本当にナンバー等を一切表示せず公道を走行しているのであれば、適法な運行なのかは別途確認が必要です。

ナンバーがないことと「無保険」は同じではない

ナンバープレートと保険契約は別の制度です。ナンバーが付いていないように見えるからといって、それだけで自賠責保険にも任意保険にも入っていないと断定することはできません。

国土交通省によると、自賠責保険・共済は交通事故の被害者救済を目的とした制度で、原則としてすべての自動車に加入が義務付けられています。自賠責に加入していない自動車を運行することはできません。[参照:国土交通省 自賠責保険・共済に加入していない場合]

またディーラーや整備事業者などの場合、業務で管理・使用する車両について保険契約を用意しているケースがあります。しかし、具体的な事故でその契約が適用されるかどうかは、契約内容、車両、運転者、使用目的などによって判断されます。「ディーラーの車だから必ず保険が出る」とも「ナンバーがないから絶対に出ない」とも一律には言えません。

事故相手の自賠責保険が使えるのは基本的に人身損害

自賠責保険について特に重要なのが、物損事故を補償する保険ではないという点です。自賠責は交通事故による人身損害について基本的な賠償を確保する制度です。

例えば相手車両の過失によって負傷した場合、自賠責では傷害による損害について被害者1人につき120万円が限度とされ、治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料などが対象になります。死亡の場合は被害者1人につき3,000万円、後遺障害は等級等に応じた限度額があります。[参照:国土交通省 自賠責保険の限度額と補償内容]

一方、自分の車の修理費などの物損は自賠責の対象ではありません。相手側に賠償責任があれば、通常は相手本人・事業者や、適用される任意保険の対物賠償などから賠償を受けることを検討します。

もし本当に無保険車だった場合はどうなる?

事故相手が自賠責保険にも加入していない「無保険車」だった場合、人身事故の被害者がまったく救済されないように、国には政府保障事業があります。

国土交通省は、自賠責保険・共済に加入していない自動車による事故や、ひき逃げで加害車両が分からない事故の被害者について、政府保障事業により国が自賠責保険・共済と同等の範囲で損害を塡補する制度を設けています。[参照:国土交通省 政府保障事業]

ただし、政府保障事業は相手車両の修理費などを何でも補償する制度ではありません。基本的には無保険車・ひき逃げ事故による人身被害を救済する制度です。そのため物損については、加害者本人や車両を管理する会社などへの損害賠償請求、自分の車両保険などを検討することになります。

自分の自動車保険が使える場合もある

事故相手に十分な保険がなかったとしても、自分が契約している自動車保険から補償を受けられる場合があります。代表例として車両保険、人身傷害保険、無保険車傷害などがありますが、実際の対象範囲は保険会社・契約内容によって異なります。

例えば自分の車が破損した場合、契約している車両保険の補償範囲に該当すれば、自分側の保険を利用できる可能性があります。ただし免責金額や翌年度以降の等級への影響などがあるため、利用前に保険会社へ確認することが重要です。

人身損害についても、自分の人身傷害保険が利用できるケースがあります。「相手が無保険だったら何も受け取れない」と考えるのではなく、事故発生後は相手側だけでなく自分の保険会社にも速やかに連絡しましょう。

ナンバーなしで走っていたことと事故の過失割合は別問題

事故相手がナンバーを適切に表示していなかったとしても、「違法状態だから事故の責任も100%相手」とは限りません。交通事故の過失割合は、事故が発生した具体的な状況を基に判断されます。

例えば交差点で一方が信号無視をした、追突した、右左折時に衝突したなど、事故そのものについて双方がどのような運転をしていたかが重要です。ナンバーや車検、自賠責などに別の法令上の問題があったとしても、それと事故発生についての過失は分けて考える必要があります。

もちろん車両の違法な状態が事故の発生や損害拡大に直接関係していれば、事情として問題になる可能性があります。個別事故の過失割合はドライブレコーダー映像、道路状況、信号、衝突位置などの証拠を基に判断することになります。

実際に事故になったらナンバーがなくても警察へ届ける

ナンバーのない車両と事故になった場合は、その場で相手と話し合って終わらせず、まず安全を確保し、負傷者がいれば119番、交通事故については110番して警察へ届けます。

相手にナンバーがない場合には、通常以上に車両を特定できる情報を残しておくことが重要です。安全を確保できる範囲で、車種、色、車体の特徴、運転者、会社名、事故場所、日時などを記録します。ディーラーの商品車であれば、その会社が管理している車両なのかも警察や保険会社による確認材料になります。

ドライブレコーダー映像がある場合は上書きされないよう保存します。また、事故現場や車両の損傷状態を安全な場所から写真に残しておくと、その後の事故状況確認に役立ちます。

ディーラーの車なら「会社が払うから大丈夫」と自己判断しない

相手が自動車ディーラーの従業員で、会社の商品車・管理車両を運転していた場合でも、事故現場で「会社で対応します」と言われただけで手続きを終わらせないことが大切です。

会社名、店舗名、運転者氏名、連絡先などを確認し、警察への事故届と自分の保険会社への連絡を行います。相手側の保険については、保険会社名や事故受付番号などが分かった段階で記録しておくと、その後の手続きを進めやすくなります。

ナンバーがないことが気になる場合も、事故現場で相手を問い詰める必要はありません。車両の登録・運行状況については警察や関係機関が確認できるため、まず事故処理と証拠保存を優先するのが安全です。

まとめ:ナンバーなしでも「保険が一切効かない」とは限らない

ナンバープレートのない車と事故になったからといって、直ちに「保険が一切使えない」ということにはなりません。ナンバーの表示、車両の登録・運行許可、自賠責保険、任意保険はそれぞれ確認すべき内容が異なります。

相手に有効な自賠責があれば人身損害について自賠責の対象になる可能性があり、任意保険が事故に適用されればその契約による対応も考えられます。本当に自賠責未加入の無保険車による人身事故なら、政府保障事業による被害者救済制度も用意されています。一方、車の修理費などの物損は自賠責や政府保障事業とは別に考える必要があります。

実際に事故が発生した場合は、ナンバーの有無だけで保険適用を判断せず、警察へ届け、自分の保険会社にも連絡したうえで、相手車両の所有・管理関係と保険契約を確認していくことが重要です。

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