交通事故の現場を目撃したら110番するべき?119番との使い分け・通報時に伝えること・安全な対応を解説

道路を走行中や歩いているとき、目の前で交通事故が発生した場合、「すぐ110番したほうがいいのか」「けが人がいるなら119番が先なのか」「すでに誰かが通報しているかもしれない」と迷うことがあります。

警察庁は、事件・事故など緊急の対応を必要とする場合には、ためらわず110番を利用するよう案内しています。また、交通事故の現場に居合わせた人についても、負傷者の救護などに進んで協力するよう交通の方法に関する教則で呼び掛けています。[参照] 警察庁「ご意見、各種相談・情報提供等」

交通事故を目撃し、警察や救急がまだ到着していないなら、まず自分自身の安全を確保したうえで通報することが重要です。けが人がいる、意識がない、出血しているなど救急対応が必要なら119番も必要です。ただし、事故現場へ無理に飛び出したり、高速道路上で車道を歩いたりすると二次事故につながるため、「通報より先に自分の安全確保」が大前提になります。

交通事故を目撃したら110番は重要

110番は、警察官に緊急対応を求めるための電話番号です。警察庁は「事件や事故に関する緊急通報は110番」と案内しています。交通事故が発生した直後で警察がまだ来ていないのであれば、110番する合理性があります。

110番を受理した通信指令室では、事故の状況や場所などを聞き取り、その情報を警察署や現場の警察官へ伝えて警察官を現場へ向かわせます。携帯電話からの110番では、位置情報を利用する仕組みも全国の都道府県警察で運用されています。[参照] 警察庁「令和7年警察白書」

事故の当事者が負傷していたり、動揺して通報できなかったりすることもあります。目撃者からの通報によって警察や救急が早く状況を把握できる場合があるため、「自分は当事者ではないから関係ない」と考える必要はありません。

けが人がいる場合は119番も必要

事故現場にけが人がいる場合は、警察への110番だけでなく救急車を呼ぶための119番が重要です。警察庁の自転車交通安全教育用ガイドでも、事故でけが人がいる場合は119番通報して救急車を呼び、そのうえで110番通報して警察へ連絡する対応が案内されています。[参照] 警察庁「自転車交通安全教育用ガイド」

例えば車と歩行者が衝突し、歩行者が道路上に倒れている場合は緊急性が高い状況です。安全な場所から119番し、「交通事故で人が倒れている」「意識があるか分からない」など、分かる範囲を伝えます。

どちらへ連絡するべきか迷うほど切迫した事故なら、通報時に交通事故であることと負傷者がいることを明確に伝えることが大切です。一人で対応している必要もありません。周囲に人がいれば「私は119番するので、110番をお願いします」のように役割を分担できます。

まず自分が事故に巻き込まれない場所へ移動する

事故を見た瞬間は、助けなければならないという気持ちから反射的に事故車両へ近づきたくなることがあります。しかし交通量の多い道路では、事故現場そのものが非常に危険です。

後続車が事故に気付かず突っ込んでくる、事故車から燃料が漏れる、積荷が散乱するなど、二次事故が発生する可能性があります。警察庁も高速道路上では、停止車両付近にとどまることは危険であり、ガードレール外など安全な場所へ避難したうえで通報するよう案内しています。[参照] 警察庁「高速道路」

特に高速道路では、事故車を見つけても本線上や路肩の危険な位置に安易に停車したり、車道を歩いて事故車へ近づいたりしないことが重要です。後続車の立場で事故や停止車両を発見した場合についても、警察庁は安全な場所に停車してから110番や非常電話で通報するよう案内しています。

110番では何を伝えればいい?

交通事故を目撃して110番すると、通信指令室の担当者から必要なことを順番に質問されます。全部を自分で整理してから電話する必要はありません。質問に落ち着いて答えていけば大丈夫です。

一般的には、次のような情報が重要になります。

  • 交通事故が起きたこと
  • 事故が起きた場所
  • 車・バイク・自転車・歩行者など何が衝突したか
  • けが人がいるか
  • 道路が塞がれているか
  • ひき逃げの場合は逃走車の特徴
  • 事故が起きたおおよその時刻
  • 自分が目撃者であること

住所が分からなくても、交差点名、近くの店舗、駅、学校、橋、道路名など、目印になるものを伝えられます。高速道路の場合は路線名、進行方向、キロポストなどが非常に有用です。

「誰かが通報しているだろう」と思わないほうがよい

大きな事故なら複数の人が同時に110番・119番することがあります。そのため、「自分が電話したら重複して迷惑になるのでは」と心配する人もいます。

しかし事故を目撃した時点で警察車両や救急車が到着しておらず、誰かが確実に通報したことも確認できないのであれば、「誰かがしているはず」と推測して立ち去るより通報するほうが確実です。電話口で既に通報を受けていることが分かれば、その後の対応について指示を受ければよいでしょう。

例えば交差点で車同士が激しく衝突し、一台が道路中央で停止しているのに、周囲の人が全員スマートフォンで撮影しているだけという状況なら、撮影より通報を優先することが重要です。

ひき逃げを目撃した場合は車の特徴も重要

事故を起こした車がそのまま走り去った場合、目撃者の情報が捜査上重要になる可能性があります。警察庁の「交通の方法に関する教則」でも、ひき逃げを目撃した場合は負傷者を救護するとともに、車のナンバー、車種、色などの特徴を110番などで警察官へ届け出るよう呼び掛けています。[参照] 警察庁「交通の方法に関する教則」

ナンバーを完全に覚えられなくても、「白い軽自動車」「黒いSUV」「ナンバーの末尾が12だった」「○○方面へ逃げた」といった情報が役立つ可能性があります。確信のない数字を断定せず、覚えている範囲をそのまま伝えることが大切です。

ドライブレコーダーに事故や逃走車が映っている場合は、その映像を上書きしないよう保存して警察へ申し出るとよいでしょう。SNSへ先に投稿するのではなく、まず警察への情報提供を優先するのが適切です。

負傷者を見つけたら何をすればいい?

安全を確保できる状況で負傷者に近づける場合は、声をかけて反応を確認し、119番の指令員から指示を受けます。周囲に人がいれば、救急車の誘導やAEDの手配などを分担できます。

一方、専門知識がない状態で負傷者をむやみに動かすことが適切とは限りません。後続車にひかれる、車両火災が迫っているなど、その場所にいること自体が危険な場合を除き、119番の指令員の指示を受けながら対応するのが基本です。

心停止が疑われる場合には、119番の指令員から胸骨圧迫やAEDの使用について口頭指導を受けられる場合があります。完璧な応急手当の知識がないから何もできない、と考える必要はありません。

事故車を勝手に動かしたほうがいい?

警察庁の教則では、交通事故の現場に居合わせた人に対し、負傷者の救護や事故車両の移動などについて進んで協力するよう呼び掛けています。ただし、これは自分の安全を無視して事故車へ飛び込むことを意味しません。

事故車が危険な位置にあり、交通を塞いでいるからといって、目撃者が必ず自分で運転・移動させなければならないわけではありません。負傷者の状態、車両の損傷、燃料漏れ、後続交通などによって適切な対応は変わります。

判断に迷う場合は110番・119番で現場状況を説明し、指示に従うのが安全です。特に煙や火が出ている、ガソリンらしき液体が漏れている、電柱や電線が倒れているなどの場合は不用意に近づかないようにします。

写真や動画を撮るより通報と安全確保が優先

事故を目撃すると、証拠になると思ってスマートフォンで撮影したくなることがあります。映像が警察の捜査に役立つ場合はありますが、緊急時の優先順位は自分の安全、必要な通報、負傷者への対応です。

警察には「110番映像通報システム」があり、110番を受けた警察職員が現場映像を必要と判断した場合、通報者の同意を得て専用URLを送り、スマートフォンから映像・画像を送信してもらう仕組みがあります。[参照] 警察庁「110番映像通報システム」

警察庁もこのシステムを利用する際には、周囲を確認し、自身の安全確保を最優先するよう明記しています。危険な車道へ出て「証拠映像を撮らなければ」と考える必要はありません。

事故を見たけれど既に警察がいる場合は?

すでにパトカーや警察官が現場にいて事故処理を始めているのであれば、単に「事故が起きています」と重ねて110番する必要性は通常低くなります。

ただし、自分が事故の瞬間をはっきり目撃しており、信号の色、車両の動き、衝突位置、逃走した車両など重要な情報を持っている場合には、現場の警察官へ「事故を目撃しました」と申し出る価値があります。

その場に長く残れない場合でも、警察官へ連絡先を伝えておけば、後から目撃状況を確認されることがあります。ドライブレコーダーに事故の瞬間が記録されている場合も、その旨を伝えておくとよいでしょう。

緊急ではない事故情報や相談は#9110との使い分けも

110番は緊急通報用です。警察庁は、事件・事故など緊急対応が必要な場合は110番、緊急ではない相談については警察相談専用電話「#9110」や最寄りの警察署を利用するよう案内しています。

例えば「今まさに事故が起きて負傷者がいる」「事故車が道路を塞いでいる」「ひき逃げ車が逃走した」という状況なら110番が適しています。一方、数日前に見た交通上の出来事について相談したい、といった緊急性のない内容なら#9110や警察署への相談を検討できます。

「110番していいほど重大か」を自分だけで悩み続けるより、現在進行中の交通事故で警察の緊急対応が必要と考えられるなら110番する、という区別が分かりやすいでしょう。

目撃者として覚えておくと役立つ情報

交通事故は数秒で起きるため、後から記憶が曖昧になることがあります。安全な場所へ移動した後、覚えていることをスマートフォンのメモなどへ残しておくと役立つ場合があります。

確認事項 具体例
場所 交差点名、道路名、店舗、住所、キロポスト
時刻 事故を見たおおよその時間
事故形態 車同士、車と歩行者、車と自転車など
負傷者 人数、意識の有無など分かる範囲
車両 車種、色、ナンバー
事故前の動き 進行方向、右左折、停止・走行状況
信号 自分が実際に確認できた場合のみ記録
逃走方向 ひき逃げ車が向かった方向
映像 ドライブレコーダーに記録があるか

重要なのは、見ていないことまで推測で補わないことです。「青信号だったと思うが自信はない」という場合は、そのまま自信がないことも含めて警察へ伝えます。

交通事故を目撃したときの基本的な流れ

事故現場ごとに状況は異なりますが、目撃者の対応はおおむね次の順序で考えると分かりやすくなります。

  1. 自分自身の安全を確保する
  2. 事故の状況と負傷者の有無を確認する
  3. 救急が必要なら119番する
  4. 警察の緊急対応が必要なら110番する
  5. 安全にできる範囲で負傷者の救護に協力する
  6. ひき逃げならナンバー・車種・色・逃走方向を伝える
  7. 警察から求められた場合は目撃状況やドラレコ映像を提供する

周囲に複数の人がいる場合には、一人ですべてを担当する必要はありません。「あなたは119番をお願いします」「私は110番します」「AEDをお願いします」のように具体的に頼むことで、対応を並行して進められます。

なお、現場の危険度によっては救護より避難を優先しなければならないこともあります。高速道路、車両火災、燃料漏れなどでは特に無理をしないことが重要です。

まとめ|事故を目撃したら安全を確保し、必要ならためらわず110番・119番

交通事故を目撃し、まだ警察が来ていない場合には、110番による通報が重要です。警察庁も事件・事故など緊急対応を必要とする場合には、ためらわず110番を利用するよう案内しています。

けが人がいる場合は119番による救急要請も必要です。周囲に人がいるなら110番と119番を分担し、事故の場所、負傷者の状況、事故車両など分かる範囲を伝えます。

ただし、最優先は目撃者自身が二次事故に遭わないことです。特に高速道路や交通量の多い道路では、安全な場所を確保せず事故車へ近づくことは非常に危険です。

「誰かが通報しているだろう」と推測するより、通報済みだと確認できず緊急対応が必要な事故なら110番する、と覚えておくと判断しやすくなります。ひき逃げを目撃した場合には車のナンバー、車種、色、逃走方向なども重要な情報になります。

交通事故では数分の違いが負傷者の救命や二次事故の防止につながることがあります。無理な救助や撮影をする必要はありませんが、安全な位置から警察・消防へ正確な情報を伝えることは、目撃者にできる非常に大きな協力です。

※本記事は2026年8月時点で確認できる警察庁の公開情報等をもとに一般的な対応を解説しています。実際の事故現場では道路状況、火災、負傷者の状態などによって適切な対応が異なります。緊急時は110番・119番の担当者の指示に従い、自身の安全を最優先してください。

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