身に覚えのない家庭裁判所から電話が来たら詐欺?未成年・他県からの着信で確認すべきことと安全な対処法

行ったことのない地域の家庭裁判所を名乗る番号から突然電話がかかってくると、「何か事件に巻き込まれたのでは」「未成年なのに家庭裁判所から連絡が来るのは犯罪関係なのか」と不安になるかもしれません。しかし、家庭裁判所からの電話=犯罪をしたという意味ではなく、反対に、着信表示が実在する裁判所の番号だから本物とも限りません。家庭裁判所は少年事件だけでなく、相続、親族、後見など幅広い事件を扱っています。一方、最高裁判所は実在する裁判所の電話番号を悪用した不審電話について実際に注意喚起しています。身に覚えのない電話では、その場で個人情報を答えたり、着信履歴へそのまま折り返したりせず、裁判所公式サイトから自分で電話番号を調べて確認する方法が安全です。この記事では、未成年者の携帯電話に他県の家庭裁判所から着信があった場合に考えられる理由と、詐欺を避けながら本物か確認する方法を解説します。

家庭裁判所から電話が来ても「犯罪をした」とは限らない

まず知っておきたいのは、家庭裁判所が少年事件だけを扱う裁判所ではないことです。家庭裁判所では、離婚や親子関係などの家事事件、相続、成年後見、少年事件など、家庭や身分関係に関する幅広い手続を扱っています。[参照:裁判所・裁判手続の種類]

そのため、家庭裁判所から本当に連絡があったとしても、「自分が犯罪をしたから電話された」と即断する必要はありません。本人が知らないところで親族関係の手続が進んでいたり、何らかの確認先として電話番号が伝えられていたりする可能性も考えられます。

さらに単純な電話番号の登録間違いや、別人の番号として伝えられている可能性もあります。着信だけでは、電話の目的も本物かどうかも判断できません。

「他県の家庭裁判所」から電話が来ること自体はあり得る

住んでいる都道府県とは異なる家庭裁判所から連絡が来たという点だけで、詐欺と判断することもできません。裁判所の管轄は「現在住んでいる場所だけ」ですべて決まるわけではなく、手続の種類や関係者の住所などによって異なります。

例えば親族に関する手続なら、自分ではほとんど交流のない親族が関係している可能性があります。また、自分では「その県には親戚がいない」と思っていても、それだけで家庭裁判所からの正規の連絡でないとは断定できません。

反対に「他県だから怪しい」と決めつけて無視し続けるのも、「裁判所と表示されたから本物」と信用するのも適切ではありません。裁判所とは別の方法で連絡先を調べ、本人側から確認することが最も確実です。

現在は「実在する裁判所の電話番号」が表示される詐欺にも注意

特に重要なのが、スマートフォンの着信画面に表示された番号だけでは本物と判断できないことです。最高裁判所は2025年、実在する裁判所の電話番号を悪用した不審な電話について注意喚起しました。[参照:裁判所・実在する裁判所の電話番号を悪用した不審な電話等に御注意ください]

裁判所が公表している事例では、東京地裁や大阪地裁などの職員を名乗ったり、「重要参考人になっている」などと言って解決金を要求したり、「守秘義務があるので誰にも相談しないように」と告げたりするケースがあります。

つまり、インターネットで着信番号を検索して「確かに○○家庭裁判所の番号だった」と分かったとしても、それだけでは100%安全とはいえません。電話番号表示を偽装する「スプーフィング」と呼ばれる手法などによって、発信元とは異なる番号が表示される場合があるためです。

裁判所は電話でお金を払えとは指示しない

本物か偽物かを判断する際に非常に重要なポイントがあります。最高裁判所は、裁判所から電話で解決金などの金銭を要求することはないと明確に注意喚起しています。[参照:裁判所・不審電話への注意喚起]

また、「このことを家族や警察に話すと問題になる」「守秘義務があるから誰にも相談してはいけない」などと言われた場合も強く警戒してください。裁判所は、事件当事者などに対して守秘義務などを理由に相談を禁止することはないと説明しています。

特に未成年者に対して「親には言わないで」「今すぐ振り込んで」「電子マネーを買って」「この口座へ送金して」などと要求してきた場合は、その指示に従わないでください。

自動音声で「番号を押してください」も要注意

裁判所を名乗る不審電話では、自動音声が利用されるケースもあります。最高裁判所は、裁判所では自動アナウンスによって裁判所への出頭を求めたり、氏名などの個人情報を確認したりする手続は行っていないと案内しています。[参照:裁判所・裁判所等を騙った不審な電話にご注意ください]

「裁判所から重要なお知らせがあります」「問い合わせは9番を押してください」などと自動音声が流れても、指示されたボタンを押さず電話を切るのが安全です。

その後、本当に裁判所からの連絡だった可能性が気になる場合は、着信履歴ではなく裁判所公式サイトから該当する裁判所の代表番号を確認し、自分から問い合わせます。

では本物の家庭裁判所が電話することはないのか

ここは誤解しやすいところです。「裁判所から電話が来ること自体がすべて詐欺」というわけではありません。家庭裁判所には各部署の電話番号があり、事件関係者などへの連絡で電話が使われることがあります。

例えば各家庭裁判所の公式サイトを見ると、家事受付、調停、審判、後見、少年事件など担当部署ごとにダイヤルイン番号が公開されています。裁判所から正規の電話連絡が行われる可能性そのものはあります。

したがって、「家庭裁判所なら必ず書面しか使わないから、電話は全部詐欺」という判断も正確ではありません。重要なのは、電話があったという事実ではなく、その発信者が本当に裁判所職員なのかを独立した方法で確認することです。

「重要な用件なら書面が届くのでは?」は半分正しい

裁判手続では、正式な呼出しなどが書面で行われる場面があります。例えば少年事件について、少年審判規則では調査または審判のための呼出状に本人の氏名、年齢、住所、出頭日時・場所などを記載し、呼出状を送達することが定められています。[参照:裁判所・少年審判規則]

一方で、裁判所の実務上の連絡がすべて書面だけで行われるわけではありません。既に進んでいる手続の確認などで電話連絡が使われる可能性があります。

したがって、「郵便が来ていないから電話は偽物」と断定することも、「2回電話が来たから重大事件だ」と考えることも適切ではありません。書面の有無とは別に発信元を確認する必要があります。

未成年なら一人で対応せず保護者に伝えてよい

未成年者の場合、身に覚えのない裁判所から電話が来ると特に怖く感じるかもしれません。しかし、相手から「誰にも言わないで」と言われていない段階でも、保護者など信頼できる大人に相談して問題ありません。

むしろ、裁判所を騙る詐欺では「家族には話すな」と孤立させようとするケースがあるため、一人で抱え込まないことが重要です。最高裁判所も、裁判所が守秘義務などと言って相談を禁ずることはないと明示しています。

例えば「○○県の○○家庭裁判所と表示された番号から昨日と今日の2回着信があった。心当たりがないので、本当に裁判所からなのか一緒に確認してほしい」と保護者へ伝えれば十分です。

着信拒否してしまった場合はどうする?

不審に感じて着信拒否したとしても、それだけで慌てる必要はありません。安全性を確認する前に知らない相手へ折り返さなかったこと自体は、不審電話対策として不自然な対応ではありません。

ただし、本物の裁判所から何らかの必要な連絡だった可能性もゼロではないため、着信拒否したまま長期間放置するより、自分から公式番号へ問い合わせて確認する方法がおすすめです。

この方法なら、不審な相手へ折り返す必要もなく、本物の裁判所へ直接確認できます。

最も安全な確認方法は「公式サイトから自分で電話する」こと

身に覚えのない家庭裁判所から着信があった場合は、次の手順で確認すると安全です。

  1. 着信履歴へそのまま折り返さない
  2. 留守番電話やSMSがあれば内容を保存する
  3. 着信日時と表示された電話番号をメモする
  4. 裁判所公式サイト「courts.go.jp」を自分で開く
  5. 「各地の裁判所」から電話を名乗った家庭裁判所を探す
  6. 公式サイト掲載の代表番号または担当部署へ自分から電話する
  7. 「この番号から私の携帯へ着信があったが、そちらからの連絡か確認したい」と伝える

裁判所の公式サイトでは全国の裁判所の所在地や電話番号を確認できます。[参照:裁判所・各地の裁判所]

ポイントは、相手から教えられた電話番号ではなく、自分自身で公式サイトから見つけた番号へ電話することです。これなら着信番号が偽装されていた場合でも、本物の裁判所へ確認できます。

問い合わせるときは何と言えばいい?

電話では難しい説明をする必要はありません。「○月○日の○時ごろと○時ごろに、こちらの家庭裁判所と思われる番号から私の携帯電話へ2回着信がありました。心当たりがないため、そちらから電話した記録があるか確認したいです」と伝えればよいでしょう。

担当部署が分からなければ、その旨も伝えます。電話番号だけで確認できない場合には、裁判所側から必要な確認事項について説明されます。

未成年で一人で問い合わせることが不安なら、保護者と一緒に電話する方法もあります。最初に「未成年なので保護者と一緒に確認しています」と伝えても構いません。

本当に裁判所から郵便が届いた場合は無視しない

電話とは別に、後日裁判所名義の郵便物が届いた場合は「どうせ詐欺だろう」と捨てたり放置したりしないでください。最高裁判所も、裁判所から郵便物が届いた場合には内容を確認し、不審な点があれば記載された番号が偽物でないか確認したうえで裁判所へ直接問い合わせるよう案内しています。[参照:裁判所・裁判所の手続を悪用した架空請求等にご注意ください]

詐欺では裁判所を装った偽の郵便物が送られることもある一方、実際の裁判手続を悪用するケースもあるため、「身に覚えがない=無視」で済ませないことが重要です。

郵便物に書かれている電話番号へすぐ電話するのではなく、裁判所公式サイトから同じ裁判所を検索し、掲載されている公式番号と照合するとより安全です。

電話で聞かれてもすぐ答えない方がよい情報

相手の身元を確認できていない段階では、氏名、住所、生年月日、学校名、家族構成、銀行口座、クレジットカード番号などを伝えないようにします。

相手から求められたこと 対応
氏名・住所・生年月日を教えて いったん電話を切り公式番号から確認
銀行口座へ振り込んで 応じない
電子マネーを購入して番号を教えて 応じない
家族や警察には言わないで 強く警戒し、家族や警察等へ相談
自動音声に従って番号を押して 操作せず電話を切る
SNS・ビデオ通話へ移動して 応じず公式窓口で確認
裁判所公式番号へ確認したい 自分で公式サイトから番号を調べる

最高裁判所は、裁判所職員を名乗る電話などによって金銭の支払いを求める情報が多数寄せられているとして注意を呼びかけています。[参照:裁判所・裁判所や裁判所職員を騙る詐欺に御注意ください]

裁判員制度を理由にした電話ならさらに注意

裁判所を名乗る詐欺では、裁判員制度を口実にする場合もあります。最高裁判所は、裁判員に選ばれたことを電話や電子メールで連絡することはないと明示しています。[参照:裁判所・裁判所を騙った不審な電話等にご注意ください]

そもそも裁判員は選挙権を有する人の中から選ばれる制度なので、一般的な未成年者へ突然電話して「裁判員に選ばれた」と伝えるような連絡には応じないでください。

「裁判員番号を他人に教えたので罰金が必要」などと金銭を要求する事例についても、裁判所が注意喚起しています。

詐欺の可能性が高いと感じたら警察にも相談できる

電話で金銭を要求された、脅された、個人情報を聞き出された、裁判所を名乗って「逮捕される」などと言われた場合は、本物かどうかを裁判所へ確認するとともに、警察への相談も検討してください。

緊急の事件・事故では110番、緊急性のない相談については警察相談専用電話「#9110」が利用できます。未成年の場合は保護者と一緒に相談すると状況を整理しやすくなります。

既に住所、生年月日、銀行情報、暗証番号などを伝えてしまった場合も、「怒られるかもしれない」と隠さず、できるだけ早く保護者や警察、必要に応じて金融機関へ相談することが重要です。

まとめ:他県の家庭裁判所からの電話は「無視」でも「信用」でもなく公式番号から確認する

行ったことのない他県の家庭裁判所から電話がかかってきても、それだけで犯罪に関係しているとは限りません。家庭裁判所は少年事件だけでなく、相続、親族関係、後見など幅広い手続を扱っています。また、電話番号の登録間違いなど別の理由も考えられます。

一方で、最高裁判所は実在する裁判所の電話番号を悪用した不審電話について実際に注意喚起しています。したがって「着信番号を検索したら本当に家庭裁判所だった」という事実だけで信用するのも危険です。[参照:裁判所・実在する裁判所の電話番号を悪用した不審な電話等に御注意ください]

また、「重要なことなら必ず書面だけで連絡する」と決めつけることもできません。正式な呼出状など書面で行われる手続がある一方、裁判所から電話連絡が行われる場面もあるためです。

身に覚えのない着信があった場合の最も安全な方法は、着信履歴へ直接折り返すのではなく、裁判所公式サイトから該当する家庭裁判所の電話番号を自分で調べ、「私の携帯へそちらから電話しましたか」と確認することです。未成年なら保護者など信頼できる大人にも相談して構いません。

着信拒否してしまっていても、公式番号へ自分から確認できます。反対に、電話で金銭を要求されたり、「家族に話すな」と言われたり、自動音声で個人情報やボタン操作を求められたりした場合は応じないでください。後日、本物らしい裁判所の書面が届いた場合も放置せず、公式サイトで連絡先を確認したうえで裁判所へ問い合わせることが、安全かつ確実な対処方法です。

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