交通事故の被害に遭った際、相手がその場から逃走すると、被害者や同乗者は大きな不安や怒りを感じます。特に負傷者がいる事故では、加害者がどのような処分を受けるのか、免許取消になるのか気になる方も多いでしょう。
しかし、交通事故の処分は「ひき逃げをしたから必ず免許取消になる」という単純なものではありません。行政処分、刑事処分、事故状況、負傷の程度、過去の違反歴などを総合的に判断して決まります。この記事では、ひき逃げ事故における処分の仕組みや、免許停止と免許取消の違いについて解説します。
交通事故後に逃走すると問われる可能性がある責任
交通事故を起こした運転者には、事故後に負傷者を救護し、警察へ報告する義務があります。これを一般的に救護義務や報告義務と呼びます。
事故を起こしたにもかかわらず、負傷者の確認や救護をせず現場から離れると、道路交通法上の救護義務違反、いわゆるひき逃げとして扱われる可能性があります。
例えば、相手車両との衝突後に一度停止したものの、負傷者の状態を確認せず立ち去った場合でも、状況によってはひき逃げと判断されることがあります。
救護義務違反の違反点数は35点だが必ず免許取消とは限らない
救護義務違反は非常に重い交通違反で、行政処分では35点の違反点数が加算される対象です。一般的には35点の場合、免許取消処分の対象となる点数です。
ただし、実際の行政処分は単純に点数だけで決まるわけではありません。警察による事故状況の確認や、運転者の行為がどのように評価されるかによって判断されます。
例えば、事故後すぐに戻った場合、救護の必要性を認識していたか、負傷者の状態、事故発生後の対応などによって扱いが変わる可能性があります。
刑事処分と免許処分は別々に判断される
交通事故を起こした場合、加害者には刑事処分と行政処分という別々の手続きがあります。
刑事処分では、過失運転致傷罪や救護義務違反などについて、検察官が起訴するか、不起訴にするかを判断します。一方、免許についての処分は公安委員会が行政処分として判断します。
そのため、警察官が「免停になる可能性がある」と話していたとしても、それは捜査段階での見込みであり、最終的な処分を確定させるものではありません。
負傷者がいる事故では処分判断に影響する要素が多い
事故によるけがの程度は、加害者の処分を判断するうえで重要な要素になります。軽傷なのか、治療期間が長い重傷なのかによって扱いが変わることがあります。
例えば、頸椎捻挫や腰部のけがだけでなく、手術が必要となるような重大な負傷者がいる場合、事故の重大性はより高く評価される可能性があります。
また、加害者の年齢、免許取得期間、過去の違反歴、事故後の対応なども判断材料になります。ただし、若いことや前科がないことだけで処分が決まるわけではありません。
警察が事情聴取を行う理由
人身事故になると、警察は事故当事者や同乗者から事情を聞き、事故状況を記録します。これは加害者を処罰するためだけではなく、事故原因や過失関係を明らかにするためです。
同乗者からの証言は、事故時の状況や加害者の対応を確認するうえで重要な証拠になる場合があります。
例えば、「相手が衝突後に停止したか」「負傷者を確認したか」「どの程度の時間で現場を離れたか」といった情報は、処分判断に影響する可能性があります。
被害者ができる対応と注意点
被害者側は、加害者の処分について希望を伝えることができます。警察や検察に対して、事故による被害状況や加害者への処罰感情を伝えることは可能です。
ただし、最終的な刑事処分や行政処分を決定するのは警察や検察、公安委員会などの機関であり、被害者の希望だけで処分内容が決まるわけではありません。
また、治療費や慰謝料などの損害賠償については、刑事処分とは別に進める必要があります。保険会社との対応や必要に応じた法律相談も検討するとよいでしょう。
まとめ
ひき逃げ事故では救護義務違反として35点の違反点数が加算される可能性があり、一般的には免許取消の対象となる重い違反です。しかし、実際の処分は事故状況や負傷の程度、加害者の対応などを踏まえて総合的に判断されます。
そのため、警察官が事情聴取の時点で「免停程度」と説明したとしても、最終的な処分が確定したわけではありません。被害者や同乗者は、事故状況やけがの内容を正確に伝え、適切な手続きを進めることが大切です。