SNSを通じて成人と高校生が知り合い、実際に会って性的関係を持つケースでは、「双方が合意していれば法律上問題ない」と単純に判断することはできません。特に高校3年生は17歳の場合と18歳の場合があり、この1歳の違いによって適用され得る法律・条例が大きく変わります。
また、刑法だけでなく、各都道府県の青少年健全育成条例、児童買春に関する法律、性的な画像・動画に関する法律なども関係します。SNSで知り合ったこと自体が直ちに犯罪になるわけではありませんが、年齢、行為場所、金銭等の対価、関係性、同意に至る経緯などを個別に確認する必要があります。
この記事では、2026年時点の制度を前提として、成人と高校生の性的関係について判断するときの重要なポイントを、法務省や警察などの公的情報を基に整理します。個別事件の犯罪成立を断定するものではなく、実際の事案では弁護士などへの確認が必要です。
最初に確認すべきなのは「高校3年生」ではなく実年齢
法律上は「高校3年生かどうか」だけで結論は決まりません。実際に何歳なのかが非常に重要です。高校3年生には17歳の人も18歳の人もいるためです。
例えば東京都青少年の健全な育成に関する条例では、「青少年」を18歳未満の者と定義しています。したがって、同じ高校3年生でも17歳と18歳では、この条例上の扱いが異なります。[東京都条例参照]
2022年4月から民法上の成年年齢は18歳になりましたが、「18歳になったらあらゆる性的行為について法律上何の問題もなくなる」という意味でもありません。相手の自由な意思に基づく同意があるか、金銭等の対価がないか、撮影行為がないかなど、別の法律上の問題は残ります。
刑法の性交同意年齢は現在16歳
2023年の刑法改正により、いわゆる性交同意年齢は13歳未満から16歳未満へ引き上げられました。法務省によると、13歳以上16歳未満の人については、相手が5歳以上年長である場合、一定の性的行為について年齢そのものを基礎とした処罰規定が適用されます。[法務省参照]
そのため、例えば成人と15歳のケースと、成人と17歳のケースを同じように考えることはできません。
一方、相手が16歳以上なら「本人が合意と言えば刑法上絶対に問題ない」というわけでもありません。暴行・脅迫だけでなく、アルコール、恐怖・驚愕、虐待、経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力などによって、相手が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態で性的行為が行われれば、不同意性交等罪などが成立し得ます。法務省が現在の性犯罪規定について詳しく説明しています。[法務省・性犯罪関係の法改正Q&A]
17歳の場合は都道府県の青少年健全育成条例が重要
成人と17歳のケースでは、刑法の性交同意年齢だけを見て「16歳以上だから問題ない」と判断するのは危険です。各都道府県には青少年の健全育成に関する条例があり、18歳未満との一定の性的行為を禁止・処罰している場合があります。
東京都を例にすると、条例第18条の6は「何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行ってはならない」と定めています。警視庁は、ここでいう「みだらな性交又は性交類似行為」について、青少年の心身の未成熟に乗じた不当な手段によるもののほか、青少年を単に自己の性的欲望を満たす対象として扱っているとしか認められないような性交等を含むと説明しています。[警視庁参照]
つまり、17歳本人が「同意した」と言っていることだけで、条例違反の可能性まで自動的に消えるわけではありません。実際にどの条例が適用されるか、どのような行為が処罰対象になるかは地域や具体的事情によって確認する必要があります。
18歳の高校3年生ならどうなる?
相手がすでに18歳であれば、少なくとも「18歳未満」を青少年として規制する条例については、その年齢要件から外れることになります。例えば東京都条例では青少年を18歳未満と定義しているため、18歳になった人はこの定義には入りません。
また、刑法上の性交同意年齢である16歳以上でもあります。そのため、成人同士の場合と同様に、双方の自由な意思に基づく性的関係で、ほかの犯罪を構成する事情もないのであれば、「高校生である」という身分だけを理由に直ちに犯罪になるとはいえません。
ただし、相手が18歳であっても、不同意性交等に該当する事情があれば当然別問題です。また、高校の校則、保護者とのトラブル、ホテル側の利用規約などは刑事責任とは別の問題なので、「犯罪にならない可能性があること」と「何の問題も生じないこと」は区別する必要があります。
金銭やプレゼントを条件にすると別の法律が問題になる
18歳未満の相手との性的行為では、金銭や財産上の利益が関係しているかどうかも重要です。児童買春・児童ポルノ禁止法では18歳未満を「児童」として扱うため、対償を供与し、または供与する約束をして性交等をする場合には児童買春の問題が生じます。
典型的には「ホテル代とは別に○万円渡すから会おう」といった金銭を対価とするケースです。単なる交際と児童買春では法的評価が大きく異なるため、「本人が了承していた」という説明だけでは解決しません。
また、裸や性的行為の写真・動画を撮影する行為についても別の犯罪が成立する可能性があります。法務省は、性的姿態等撮影罪について、一定の場合に16歳未満の者の性的姿態等を撮影する行為などを処罰対象として説明しています。さらに18歳未満の場合には児童ポルノに関する規制も問題となり得るため、性交そのものとは分けて考える必要があります。[法務省参照]
XなどSNSで知り合ったこと自体はどう考える?
XなどのSNSで知り合ったという事実だけで、その後の交際や面会が一律に犯罪になるわけではありません。しかし、SNSは未成年者が性犯罪などの被害に遭う入口になることもあるため、警察はインターネット上の違法・有害情報への対策や青少年保護活動を行っています。[警察庁参照]
さらに、16歳未満の者に対して、わいせつ目的で威迫、偽計、利益供与などの不当な手段を使って面会を要求する行為などについては、2023年の刑法改正で「面会要求等罪」が新設されています。13歳以上16歳未満の場合には、行為者が5歳以上年長であることなどの要件があります。[法務省参照]
したがって、「SNSで知り合ったから犯罪」「SNSではなく現実で知り合ったから合法」という分け方ではありません。年齢と具体的な誘い方、その後の行為を確認する必要があります。
警察を名乗るXアカウントから警告が来た場合はどうする?
警察や都道府県警察の公式SNSアカウントが情報発信を行うことはありますが、SNS上には警察を装った偽アカウントも存在します。警察庁自身も、警察庁を名乗るSNSのなりすましに注意するよう案内しています。[警察庁参照]
警察を名乗るアカウントからリプライやダイレクトメッセージが届いても、そのメッセージだけを根拠に本物と判断するのは避けるべきです。プロフィールに記載された電話番号やリンクをそのまま信用せず、該当する都道府県警察の公式サイトから公式アカウントや代表電話番号を確認する方法が安全です。
また、「住んでいる地域とは別の県警だから無関係」と決めつけるのも適切ではありません。SNS上の情報は全国から確認できますし、実際の行為場所や関係者の所在地などによって関係する警察が異なる場合があります。具体的な警告を受けているのであれば、投稿やメッセージを消して状況を隠そうとするのではなく、内容を保存したうえで、必要に応じて弁護士へ相談するのが安全です。
年齢別に整理するとどうなる?
| 相手の年齢 | 特に確認すべき法律 | 注意点 |
|---|---|---|
| 16歳未満 | 刑法など | 性交同意年齢に関する規定が重要。13歳以上16歳未満では5歳以上の年齢差などの要件も確認 |
| 16・17歳 | 刑法・各都道府県の青少年条例・児童買春児童ポルノ禁止法など | 「本人の同意」だけで合法とは判断できない |
| 18歳以上 | 刑法など | 18歳未満を対象とする規制からは原則外れるが、自由な同意がなければ別問題 |
このように、「成人男性+高校3年生」という情報だけでは結論を出せません。まず高校生本人が行為時に17歳だったのか18歳だったのかを確認し、そのうえで行為が行われた都道府県の条例や具体的事情を確認する必要があります。
まとめ:高校3年生との性交は「双方合意」だけでは判断できない
成人と高校3年生の性的関係が犯罪になるかどうかは、高校生という肩書きではなく、実年齢、年齢差、行為場所、自由な同意の有無、関係性、誘い方、金銭等の対価、撮影の有無などによって判断されます。
特に相手が17歳なら、刑法上の性交同意年齢である16歳を超えていても、各都道府県の青少年健全育成条例などが問題になる可能性があります。一方、すでに18歳の場合は18歳未満を対象とする青少年条例等の年齢要件から外れますが、不同意性交等をはじめとする一般の刑事法規は当然適用されます。
SNS上で警察を名乗るアカウントから具体的な警告を受けた場合は、なりすましの可能性も含めて公式サイトからアカウントを確認し、実際の捜査や事情聴取に関係する連絡であれば、自己判断で「合意だから大丈夫」と処理せず、刑事事件を扱う弁護士に具体的な事情を伝えて確認することが重要です。