通販の定期購入で「罰金・解約金」は合法?民間会社が請求できる条件と違約金を払う前の確認ポイント

通販の定期購入を途中でやめようとしたところ、「解約するには○円を支払ってください」「規定回数未満で解約する場合は違約金が必要です」と案内されることがあります。こうした請求を見ると、「罰金を科せるのは国や自治体だけではないのか」と疑問に感じるかもしれません。

ここで重要なのは、刑事上の「罰金」と、民間契約に基づく「違約金・解約料・割引差額の精算」は法律上まったく別のものだという点です。民間会社が犯罪への刑罰として罰金を科すことはできませんが、契約時に適切な条件を示して合意しているのであれば、途中解約に伴う一定の支払いを定めること自体は直ちに違法ではありません。

ただし、会社が好きな金額を自由に設定して請求できるわけでもありません。通信販売では特定商取引法による表示義務があり、消費者契約法によって過大な違約金が無効になる場合もあります。特に「初回だけ安く見せ、実際には4回購入が必須だった」「いつでも解約できるように見えたのに解約時に高額な費用を請求された」といった定期購入は、近年も国民生活センターが繰り返し注意喚起しているトラブルです。

民間企業が法律上の「罰金」を科すことはできない

まず言葉を整理すると、刑法上の「罰金」は刑罰の一種です。犯罪について裁判所などの公的な手続きにより科されるもので、通販会社が利用規約へ「罰金」と書くだけで刑罰を科せるものではありません。

一方、通販会社と購入者との間には売買契約があります。その契約で「最低4回の購入が条件」「それ以前に解約する場合は○円を支払う」と定めることは、刑罰ではなく民事上の契約条件として扱われます。

名称が「罰金」になっていても、実質的には解約金、違約金、キャンセル料、割引差額の精算などであることがあります。法律上の判断では名前よりも、その金銭がどのような契約上の根拠で請求されているのかが重要です。

4回購入が条件の定期コース自体が直ちに違法とは限らない

通販事業者が「この割引価格で購入するには4回の継続購入が必要」という商品を販売すること自体は、条件が適切に表示され、購入者がその内容を理解して申し込んでいるのであれば、直ちに違法とはいえません。

例えば通常価格5,000円の商品について、4回購入を条件として初回500円にする契約が明確に表示されており、4回分の支払総額や解約条件まで注文前に分かる状態なら、価格設定や継続条件は基本的に契約の問題になります。

問題になりやすいのは、広告では「初回500円」「お試し」だけを強調し、4回購入が必要なことを非常に分かりにくく表示するケースです。国民生活センターにも、注文後に初めて「4回購入が条件だった」と気づく相談が多数寄せられています。

[参照] 国民生活センター「通信販売での定期購入」

特定商取引法では最終確認画面で定期購入条件を明確に表示する必要がある

インターネット通販では、注文を確定する直前の「最終確認画面」が非常に重要です。

特定商取引法では、インターネット通販の最終確認画面に、商品の数量、販売価格、支払方法・時期、引渡し時期、解約に関する事項などを表示することが求められています。定期購入であれば、継続購入が条件であることや支払総額なども確認できる必要があります。

解約時に違約金・キャンセル料などの不利益が生じる場合には、その旨だけでなく、具体的な内容も分かりやすく表示する必要があります。

[参照] 消費者庁・特定商取引法ガイド「通信販売の申込み段階における表示」

解約金があるなら金額まで明確に表示する必要がある

消費者庁の特定商取引法ガイドでは、定期購入について解約期限がある場合にはその期限を、解約時に違約金その他の不利益が生じる場合にはその旨と内容を表示する必要があると説明されています。

例えば「途中解約には別途料金がかかります」という曖昧な表示だけではなく、キャンセル料があるなら具体的な額などを明確にすることが求められます。

そのため、事業者から突然4,440円などの支払いを求められた場合には、まず申込み時の最終確認画面に、その4,440円が発生する条件や金額が明確に表示されていたかを確認することが重要です。

[参照] 特定商取引法ガイド「通信販売広告について」

最終確認画面が誤解を招く表示なら契約を取り消せる可能性がある

2022年6月1日施行の改正特定商取引法により、通信販売の最終確認画面について規制が強化されました。

事業者が必要事項を表示しなかったり、定期購入ではないと誤認させるような表示を行ったりし、それによって消費者が誤認して申し込んだ場合には、特定商取引法15条の4に基づいて申込みの意思表示を取り消せる可能性があります。

例えば「1回限りの商品だと思わせる画面だったが、実際には4回購入必須だった」「いつでも無料で解約できるように表示されていたが、実際には途中解約料が必要だった」といったケースでは、最終確認画面の内容が重要になります。

[参照] 消費者庁「インターネット通販の定期購入トラブルには御注意を!」

実際に「4回縛り+解約料」の相談は多い

国民生活センターは2026年にも、注文途中で表示されたクーポンなどを利用した結果、本人が意図しないまま「4回購入必須」の定期コースになってしまった事例を紹介しています。

紹介されている相談では、1回限りの商品を購入したつもりだった消費者が、注文後の案内を操作したことで4回縛りの契約になり、初回で解約するには定価との差額を支払う必要があると言われています。

つまり「4回購入しないなら追加料金」というトラブルは珍しいものではありません。請求されたからすぐ支払うのではなく、どの画面でどの条件に同意したことになっているのかを確認することが大切です。

[参照] 国民生活センター「巧妙化する定期購入のトラブルにご注意」

「初回の割引分を返してください」という請求の場合もある

解約時に請求される金額は、すべて同じ性質ではありません。

例えば「4回購入することを条件に初回を大幅値引きしていたので、1回で解約するなら通常価格との差額を支払ってください」という仕組みがあります。この場合、事業者側は「罰金ではなく、割引条件を満たさなかったことによる差額精算」と説明することがあります。

このような条件であっても、注文前に明確に示されている必要があります。「初回980円」だけが目立ち、「初回で解約すると4,440円必要」という重要条件が事実上分からない表示になっていたのであれば、契約の有効性を検討する余地があります。

消費者契約法では過大な違約金が無効になることがある

契約時に違約金が表示されていた場合でも、どんな額でも有効になるわけではありません。

消費者契約法9条では、消費者が契約を解除したときに支払う損害賠償予定額や違約金について、同種の契約解除によって事業者に生じる「平均的な損害」を超える部分は無効とされています。

つまり、契約書に「解約したら10万円」と書いてあったとしても、事業者に通常生じる損害が1万円程度しかないのであれば、その条項がそのまま全額有効になるとは限りません。

[参照] 消費者庁「消費者契約法第9条」

4,440円が妥当かは金額だけでは判断できない

例えば定期購入を解約するために4,440円を求められた場合、それが高いか安いかという金額だけでは合法性を判断できません。

その4,440円が「通常価格と初回特別価格との差額」なのか、「契約違反に対する一律の違約金」なのか、「すでに発送された商品の代金」なのかによって法律上の評価は変わります。

まず販売会社へ「この4,440円は何の名目なのか」「どの契約条項に基づくのか」「注文時のどの画面に表示されていたのか」を確認するとよいでしょう。

「罰金」という表現だけで違法になるとは限らない

通販会社がメールなどで実際に「罰金」と呼んでいた場合、その表現は適切とは言いにくいものの、名称だけで支払義務の有無が決まるわけではありません。

契約実態が適法な解約料であれば、「罰金」という言葉を使っていたとしても民事上の解約金として評価される可能性があります。

反対に「キャンセル料」「違約金」という穏当な名称で書かれていても、平均的損害を大きく上回る不当な条項なら、消費者契約法によって無効になる可能性があります。

通販には原則クーリング・オフがない

通信販売についてよく誤解されるのがクーリング・オフです。訪問販売や電話勧誘販売などとは異なり、通常のインターネット通販には原則としてクーリング・オフ制度はありません。

したがって「注文して8日以内だから無条件解約できる」という仕組みではありません。返品・解約については、販売事業者が表示した特約や特定商取引法上のルールなどを確認します。

ただし、前述のとおり最終確認画面に法定表示がなかったり、誤認させる表示があったりした場合には、別途契約取消しを主張できる可能性があります。

[参照] 特定商取引法ガイド「通信販売広告Q&A」

まず確認すべきなのは広告ではなく「最終確認画面」

定期購入トラブルでは、SNS広告のスクリーンショットだけでは十分でない場合があります。

広告画面では「初回○円」と書かれていても、注文確定直前の最終確認画面に4回購入条件や総額、解約金が明確に表示されていた可能性があるからです。

消費者庁も、定期購入トラブルに備えて最終確認画面のスクリーンショットを保存するよう呼び掛けています。

[参照] 消費者庁「ネット通販での購入時には最終確認画面のスクリーンショットを保存しましょう」

スクリーンショットが残っていない場合の確認方法

注文時のスクリーンショットを保存していなかった場合でも、確認できるものはあります。

注文確認メール、契約内容を記載したメール、商品に同封された書類、マイページ、販売サイトの利用規約、広告履歴などを確認します。また現在の販売ページを保存しておくことも参考になります。

ただし販売ページが注文後に変更されている可能性もあるため、現在の表示が注文当時と同じだったとは限りません。その点は分けて考える必要があります。

振込先が銀行口座であること自体は問題の判断材料にならない

解約料を銀行振込するよう案内された場合、「特定の銀行口座へ振り込ませるのは怪しいのでは」と感じることがあります。

しかし銀行振込自体は一般的な支払手段です。どの金融機関の口座を使っているかだけで、請求が合法か違法かを判断することはできません。

重要なのは、請求している事業者が実在する販売会社と一致しているか、請求額に契約上の根拠があるか、振込案内が公式な連絡先から届いているかです。第三者を装った詐欺メールの可能性もあるため、メール内リンクや振込先だけを信用せず、公式サイト記載の連絡先から確認すると安心です。

銀行振込する前に販売会社へ確認したいこと

確認項目 確認する内容
契約コース名 本当に最低4回購入の契約だったか
総支払額 4回継続した場合の総額はいくらだったか
4,440円の名目 違約金・割引差額・商品代金など何なのか
表示場所 注文時のどこに金額が表示されていたか
解約条件 いつまで・どの方法なら解約できるか
解約後の状態 支払えば今後の商品発送が完全に停止するか

電話だけで済ませず、可能ならメールなど記録が残る方法でも回答を求めると、後で消費生活センターへ相談するときに役立ちます。

「支払わないと絶対解約できない」と言われても、そのまま従う前に確認する

事業者から「4,440円の入金を確認するまで定期便を解約しない」と言われても、その条件が適法かどうかは契約内容によります。

注文時に明確に合意した適法な解約条件なら支払義務が認められる可能性があります。一方、申込み時には表示されていなかった料金を後から突然設定することは問題になります。

解約条件そのものが不当に消費者の権利を制限する場合には、表示されているだけで当然有効になるとも限りません。消費者庁も、解約条件を表示したからといって民事上必ず有効になるわけではなく、消費者契約法などにより無効となる場合があると説明しています。

事業者へ解約を申し出た証拠は必ず残す

定期購入では、「期限内に解約連絡をしたのに電話がつながらず、次の商品が発送された」というトラブルもあります。

国民生活センターは、電話がつながらない場合には発信履歴やメールなど、解約しようとした証拠を残すよう案内しています。

電話だけでなく、問い合わせフォームやメールでも「○月○日から解約を申し出ている」と伝え、スクリーンショットを保存しておくとよいでしょう。

[参照] 国民生活センター「定期購入を解約できない場合」

納得できない場合は消費者ホットライン188へ相談する

契約条件を確認しても納得できない場合、販売会社と何度話しても解決しない場合には、消費生活センターへ相談できます。

局番なしの「188」へ電話すると、最寄りの消費生活センターなどにつながります。定期購入トラブルは相談件数が非常に多いため、同種事例を踏まえた助言を受けられる可能性があります。

相談時には、広告、最終確認画面、注文確認メール、請求メール、事業者とのやり取り、商品に同封された書面などをできるだけ用意しましょう。

[参照] 国民生活センター「全国の消費生活センター等」

定期購入トラブルで判断するポイントを整理

状況 考え方
4回購入条件が大きく明示されていた 契約条件として有効になる可能性が高い
支払総額も明示されていた 消費者が契約内容を認識できた重要な材料
途中解約料4,440円も明示されていた 請求根拠になり得る
初回価格だけ強調され4回縛りが分かりにくかった 特定商取引法上の問題を検討
最終確認画面に解約料がなかった 請求の根拠を事業者へ確認
誤認させる画面で申し込んだ 申込み取消しを主張できる可能性
違約金が平均的損害を大きく超える 超過部分が無効となる可能性

「民間会社だから違約金を請求できない」「契約に書いてあるから必ず全額払わなければならない」という両極端な理解は、どちらも正確ではありません。

まとめ:民間会社は刑罰として罰金を科せないが、適法な解約金を定めることはできる

通販会社の定期購入で請求される「罰金」と、公的機関が法律に基づいて科す刑事上の罰金は別物です。民間会社が犯罪への刑罰として罰金を科すことはできませんが、契約に基づく解約金・違約金・割引差額などを定めること自体は可能です。

そのため「4回購入が条件で、途中解約なら4,440円必要」という仕組みだけを見て、直ちに違法とは断定できません。4回購入が必要であること、4回分の総額、途中解約条件、4,440円という具体的な金額などが、注文時に分かりやすく表示されていたかが重要です。

インターネット通販では特定商取引法により、最終確認画面で販売価格や数量、支払方法だけでなく、定期購入や解約に関する重要事項を確認できるよう表示する必要があります。解約時にキャンセル料などの不利益がある場合には、その内容も明確に示す必要があります。

反対に「初回○円」だけが大きく表示され、4回継続が必要であることが分からなかった、注文途中のクーポン操作で知らないうちに4回縛りへ変更された、解約料が最終確認画面に表示されていなかった、といった場合には、特定商取引法上の問題が生じる可能性があります。誤認させる表示によって申し込んだ場合には契約を取り消せる可能性もあります。

さらに契約上違約金の記載があった場合でも、消費者契約法9条により、その事業者に生じる「平均的な損害」を超える部分は無効になる可能性があります。したがって、会社が規約へ金額を書くだけで無制限に好きな額を徴収できるわけではありません。

請求を受けた場合は、振り込む前に「その金額は何の名目か」「注文時のどの画面で合意したことになっているのか」「4回継続した場合の総額はいくらか」を販売会社へ確認し、注文確認メールやスクリーンショットなどを保存しておくとよいでしょう。

それでも納得できない場合は、消費者ホットライン188を通じて消費生活センターへ相談する方法があります。定期購入は国民生活センターが繰り返し注意喚起している分野なので、請求された金額だけで判断せず、申込み時の表示と実際の契約内容が一致しているかを確認することが最も重要です。

[参照] 消費者庁・特定商取引法ガイド「通信販売」

[参照] 消費者庁「インターネット通販の定期購入トラブルには御注意を!」

[参照] 国民生活センター「巧妙化する定期購入のトラブルにご注意」

[参照] 消費者庁「消費者契約法第9条」

[参照] 国民生活センター「全国の消費生活センター等」

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