未成年者が深夜に外出していて警察から声を掛けられ、いわゆる「補導」を受けることがあります。その場では注意だけで終わったように見えても、翌日になって警察から電話があり、「昨日の補導について確認したいことがある」と連絡されるケースもあります。
特に補導時に住所や保護者の連絡先を正確に伝えなかった場合は、本人の氏名・住所・保護者などを改めて確認するために警察から連絡される可能性があります。警察庁の少年警察活動に関する通達でも、保護者への連絡が必要と判断される場合には、少年の氏名・住所等を確実に特定するよう努めることが示されています。
この記事では、深夜徘徊で補導された後に警察から電話が来る理由、住所を誤って伝えた場合にどうなるのか、保護者へ連絡される可能性、学校への連絡、補導と逮捕・前科の違いなどを整理します。
そもそも「補導」とは逮捕とは違う
一般に「補導」と呼ばれるものには、警察が少年の非行防止や健全育成を目的として行う街頭補導があります。警察庁も、繁華街や公園などで喫煙や深夜はいかい等をしている少年に対し、指導・注意を行う街頭補導活動を実施していると説明しています。
深夜に外を歩いていたという理由だけで補導された場合、それだけで逮捕されたことになるわけではありません。また、通常の街頭補導そのものが刑事裁判の有罪判決を意味するものでもありません。
ただし補導時に別の犯罪や問題行為が確認された場合は、事情が変わることがあります。「補導だったから何をしても記録されない」と考えるのも正確ではありません。
深夜徘徊は少年の補導対象になることがある
警察では、少年の不良行為として深夜はいかいなどを把握した場合、状況に応じて注意・助言や保護者への連絡などを行います。
また各都道府県には青少年の健全育成に関する条例があり、多くの地域で午後11時前後から翌朝までを「深夜」と定め、保護者に対して青少年をみだりに外出させないよう求めています。
例えば東京都では、18歳未満を青少年とし、午後11時から翌朝4時までを深夜としています。地域によって対象年齢や深夜時間帯、細かな規定は異なるため、実際には居住地や補導された都道府県の条例を確認する必要があります。
[参照] 警視庁「東京都青少年の健全な育成に関する条例の概要」
補導の翌日に警察から電話が来ることはある
補導されたその場ですべての確認が終了するとは限りません。本人の情報や保護者の連絡先などについて追加確認が必要になれば、後日警察から連絡が来ることがあります。
特に補導時に「親の電話番号が分からない」と伝えていたり、住所について確認が取れなかったりした場合、担当部署が後から確認することは十分考えられます。
留守番電話に「昨日の補導について確認したいことがあります」と入っているのであれば、単に忘れ物の確認とは限らず、本人確認や住所、保護者などについて事情を確認したい可能性があります。
住所を嘘で伝えた場合はどうなる?
補導時に伝えた住所が実際の住所と違っていることが分かった場合、警察から「なぜ違う住所を伝えたのか」と確認される可能性があります。
警察庁が示している少年補導の運用では、注意・助言だけでは十分でないと判断した場合、氏名・住所等の確実な特定に努めたうえで保護者へ連絡することとされています。
したがって、住所を誤って伝えたからそのまま別人として処理されるとは限りません。後から本人情報との食い違いが判明すれば、正確な情報を確認される可能性があります。
今からさらに嘘を重ねるのは避けたほうがよい
一度違う住所を伝えてしまうと、「次に電話が来たら別の説明をすれば親へ連絡されずに済むのでは」と考えるかもしれません。しかし、さらに事実と異なる説明をすると確認事項が増え、かえって話が複雑になります。
警察から連絡が来た場合には、聞かれた事項について正確に答えるほうが結果的に対応を早く終えやすいでしょう。
例えば住所について尋ねられた場合は、「昨日は親に知られるのが怖くて違う住所を言ってしまいました。正しい住所はこちらです」のように事実を説明できます。
親へ電話される可能性はある
補導された少年について、警察が保護者への連絡を必要と判断した場合には、保護者へ事実が伝えられる可能性があります。
警察庁の通達では、注意や助言だけでは少年の非行防止その他の健全育成上十分ではないと認められる場合、保護者に対して不良行為の事実を連絡し、必要な監護・指導を促すとされています。
一方で、すべての補導について例外なく必ず保護者へ電話する、と一律に決められているわけでもありません。連絡の要否は少年の年齢、行為内容、時間、過去の状況、本人の態度などを踏まえて判断されます。
住所や親の電話番号を警察が調べることはある?
補導対象者の本人確認が必要であれば、警察が本人の氏名・住所などを確認することはあります。
警察庁の通達でも、保護者への連絡が必要なケースについて「氏名・住所等の確実な特定に努め」と明記されています。そのため、本人がその場で正しい住所を言わなかったから確認不能になる、という仕組みではありません。
具体的にどの情報源を使ってどこまで確認するかは個別の警察活動に関わるため一概には言えませんが、「嘘の住所を言えば親への連絡を防げる」と考えるのは適切ではありません。
電話に出なければ親への連絡を防げるとは限らない
警察から留守番電話が入った場合、「折り返さなければそのまま終わるのでは」と思うかもしれません。しかし、警察側が確認を必要としている場合は、再度連絡が来る可能性があります。
本人の住所・氏名や保護者の確認が必要な状況なら、電話に出ないことによって確認そのものが不要になるわけではありません。
むしろ自分から折り返して正確な事情を説明すれば、警察側が何を確認したいのか分かります。着信番号が本当に警察署の番号か不安な場合には、留守番電話の番号へそのままかけず、警察署の公式サイトに掲載された代表番号を自分で確認して問い合わせる方法があります。
知らない番号からの電話なら警察を名乗る詐欺にも注意
近年は警察官を名乗る特殊詐欺も発生しています。そのため「警察です」と電話が来たからといって、相手の指示どおり個人情報や金銭を渡すことは避ける必要があります。
実際に前日に補導されていたとしても、念のため警察署名・担当部署・担当者名を確認し、公式に公開されている警察署の電話番号へ掛け直すと安全です。
警察が電話で「口座へお金を振り込め」「暗証番号を教えろ」などと要求してきた場合は、別の詐欺を疑う必要があります。
学校にも連絡される可能性はある?
保護者への連絡と同様、補導されたら必ず学校へ連絡されるという一律のルールではありません。
警察庁の通達では、学校や職場で指導上の措置を促すことが特に必要であり、かつ有効だと認められる場合には、学校関係者や職場関係者への連絡についても配意するとされています。
つまり深夜徘徊1回だけで必ず学校へ通知されるとは言えませんが、状況次第では学校等へ連絡される可能性があります。
成人の友人や親族に保護してもらえば親への連絡は不要になる?
補導後に20歳以上の友人や親族の家へ行ったとしても、それだけで法律上の保護者が変更されるわけではありません。
警察が少年の安全確保や監護の必要性を考える際、成年者と一緒にいるという事情が考慮されることはあり得ますが、それによって保護者への連絡が当然不要になるとは限りません。
特に未成年者の場合、誰が実際の保護者なのかを確認される可能性があります。
深夜1時という時間帯は補導されても不自然ではない
多くの自治体では午後11時以降を「深夜」と定めています。例えば東京都では午後11時から午前4時、愛知県では午後11時から午前6時が深夜として規定されています。
そのため午前1時ごろに未成年者が友人と住宅街、公園、駅周辺などにいた場合、警察官から声を掛けられることは十分考えられます。
ただし条例は都道府県によって違うため、「全国どこでも23時を1分過ぎたら同じ対応」というわけではありません。
深夜徘徊だけなら前科になる?
一般的な街頭補導で深夜徘徊を注意されたというだけで、刑事裁判で有罪判決を受けた場合と同じ「前科」が付くわけではありません。
補導は、少年の非行防止や健全育成を目的とした警察活動として行われています。
ただし、その際に窃盗、暴行、薬物など別の犯罪行為が確認された場合には、補導とは別の刑事手続や少年事件として扱われる可能性があります。
補導された記録は残るのか
「前科にならないなら何も記録されない」という意味でもありません。
警察は少年警察活動の一環として補導に関する情報を取り扱っています。具体的な保存期間や利用方法は警察内部の規定や事案によって異なります。
そのため「補導された記録を完全に消す方法」などを考えるより、今後同じ状況を繰り返さないことが重要です。
住所を間違えて伝えたことで逮捕される?
単に深夜徘徊の補導時に、親に知られることが怖くて住所を違って伝えたという事情だけから、直ちに逮捕されると断定することはできません。
ただし警察官へ虚偽の情報を伝えることは、本人確認を困難にし、余計な確認作業を発生させます。状況や発言内容によって法律上の評価も変わり得るため、今後は正確な情報を伝えるべきです。
翌日に確認電話が入っているのであれば、これ以上事実と異なる説明を続けるより、正しい情報へ訂正するほうが安全です。
折り返す場合は何を話せばよい?
警察へ連絡するときに特別な言い訳を用意する必要はありません。
まず「昨日、○○付近で補導された者ですが、確認したいことがあるという留守番電話が入っていたので連絡しました」と伝えれば、担当者へつないでもらえるでしょう。
住所について聞かれた場合には、前日に違う住所を伝えたことを認め、正しい住所を伝えます。なぜそうしたのか聞かれたら「親に知られるのが怖く、咄嗟に嘘をついてしまった」と事実を説明すれば足ります。
反省していることを長々と説明する必要はない
警察へ折り返すとき、「ものすごく怒られるのでは」と考えて、長い謝罪文を用意する必要はありません。
確認事項へ正確に回答し、「昨日は怖くなって嘘を言ってしまいました。申し訳ありません」と簡潔に説明すれば、少なくとも事実関係は整理できます。
大切なのは「親への連絡を避けるためにどう説明すればよいか」ではなく、警察が確認したい情報へ正確に答えることです。
親への連絡を完全に止めてもらえる保証はない
本人が「親には言わないでください」と頼んだからといって、警察が必ずその希望に従うとは限りません。
保護者への連絡が少年の健全育成上必要と判断された場合には、本人の希望とは別に連絡が行われる可能性があります。
一方で、家庭事情などから親への連絡によって本人の安全が脅かされる事情がある場合は話が別です。そのような事情が本当にあるなら、単に「怒られるのが怖い」ではなく、その事情を警察官へ具体的に相談することが重要です。
親から暴力を受ける可能性がある場合は警察に伝える
保護者へ連絡されることについて、「叱られるから嫌だ」という不安と、「帰宅すると暴力や虐待を受ける危険がある」という問題は区別する必要があります。
もし親から殴られる、家から追い出される、生命・身体に危険があるなどの事情がある場合には、そのことを警察へ正直に伝えてください。
少年相談窓口や児童相談所など、安全確保につながる機関へ相談できる場合もあります。
補導後の対応は地域や事情によって異なる
「友達は同じことをしても親に連絡されなかった」「前回は注意だけだった」という経験談があっても、今回も同じ対応になるとは限りません。
補導された場所、年齢、時間帯、過去の補導歴、その場での状況、保護者と連絡が取れたかなどによって判断は変わります。
特に住所や連絡先が確認できなかった場合には、通常より追加確認が必要になる可能性があります。
友人のケースと自分のケースを比較しすぎない
インターネットのQ&Aでは「自分は親に連絡されなかった」「自分は翌日に電話された」とさまざまな体験談があります。
しかし少年補導は個別事情を踏まえて対応されるため、他人の経験から自分の結果を確定することはできません。
今回すでに警察から本人へ電話が来ているなら、その連絡内容を確認することが最も確実です。
どうしても不安なら少年相談窓口へ相談できる
警察には、少年本人や保護者からの相談を受け付ける窓口があります。
例えば警視庁のヤング・テレホン・コーナーでは、20歳未満の本人や家族、学校関係者などからの相談を24時間受け付けています。各都道府県警察にも少年相談窓口があります。
補導について不安が強く、担当警察署へ直接聞きにくい場合には、居住地域の少年相談窓口へ一般的な流れを相談する方法もあります。
補導後に確認しておきたいこと
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 翌日に警察から電話 | 本人情報や補導内容の追加確認の可能性がある |
| 住所を違って伝えた | 正しい住所を改めて確認される可能性がある |
| 親の番号を伝えなかった | 必要なら保護者情報を確認される可能性がある |
| 電話に出ない | 確認が必要なら再度連絡されることがある |
| 保護者への連絡 | 必要性を警察側が判断する |
| 学校への連絡 | 必ずではないが、必要と判断されればあり得る |
| 単なる深夜徘徊の補導 | それだけで前科になるわけではない |
特に重要なのは、「親へ知られない方法」を探すより、後から警察へ正しい情報を伝えて事実関係を整理することです。
今後は23時だけを基準にせず地域の条例も確認する
多くの自治体で午後11時以降が深夜とされていますが、終了時刻など細かな内容は地域によって異なります。
例えば東京都では午後11時~午前4時、愛知県では午後11時~午前6時という違いがあります。
未成年のうちは、自分が住んでいる都道府県の青少年条例を確認するとともに、夜間に外出する必要がある場合には保護者と相談しておくことが安全です。
まとめ:住所を誤って伝えていても、警察が必要と判断すれば本人確認や保護者への連絡はあり得る
深夜1時ごろに未成年者が外にいて補導され、その翌日に警察から「昨日の補導について確認したいことがある」と電話が来た場合、本人情報や補導時の状況などを追加確認したい可能性があります。
補導時に住所を事実と異なる内容で伝えていた場合には、正しい住所を確認されたり、なぜ情報が違っているのか質問されたりする可能性があります。警察庁の運用でも、保護者への連絡が必要な場合には少年の氏名・住所等を確実に特定するよう努めることとされています。
また保護者への連絡については、「補導されたら100%必ず電話される」「住所を教えなければ絶対に連絡されない」というどちらの理解も正確ではありません。警察が少年の非行防止や健全育成のために必要と判断すれば、保護者へ補導の事実を連絡する可能性があります。
電話を無視したり、さらに別の住所や事情を伝えたりしても、必要な確認そのものがなくなるとは限りません。すでに留守番電話があるなら、公式サイトで警察署の電話番号を確認したうえで折り返し、聞かれたことへ正確に答えるのが最もシンプルです。
住所については「親に知られることが怖くて昨日は違う住所を言ってしまいました」と事実を説明し、正しい住所へ訂正できます。これ以上話を複雑にしないことが大切です。
なお、通常の深夜徘徊に対する街頭補導だけで刑事上の前科が付くわけではありません。補導は少年の非行防止・健全育成を目的とした警察活動です。一方で補導について一定の情報が扱われることはあるため、今後同じ状況を繰り返さないことが重要です。
もし保護者へ連絡されることで単に叱られるという範囲ではなく、暴力や虐待など身の危険がある場合には、その事情は警察へ必ず伝えるべきです。必要に応じて少年相談窓口などへつないでもらえる場合があります。