楽天カードなどの支払いができず、近いうちに弁護士・司法書士へ任意整理を相談する予定の場合、「それまでに督促電話が来たら任意整理する予定だと伝えてよいのか」「勤務先へ電話されないか」と不安になることがあります。
結論からいうと、まだ専門家へ正式に依頼していない段階であれば、「任意整理が決まっています」「弁護士が対応します」などと事実と異なる説明をする必要はありません。一方で、「現在支払いが難しく、今週専門家へ債務整理の相談予定です」と事実を伝えること自体は可能です。ただし、それを伝えただけで法的に督促が止まるとは限りません。
督促を止めるうえで大きな意味を持つのは、一般に弁護士や司法書士へ正式に債務整理を依頼し、債権者へ受任通知が送られた段階です。それまでの数日間は、電話を完全に無視するより、必要に応じて短く状況を伝え、専門家との相談後に対応を確定させるほうがトラブルを避けやすいでしょう。この記事では、楽天カードの滞納から任意整理相談までの督促対応や、職場への電話について整理します。
任意整理を「検討中」と「正式に依頼済み」はまったく違う
最初に理解しておきたいのが、「任意整理を考えている」「法律相談を予約した」という状態と、「弁護士または司法書士へ任意整理を正式に依頼した」という状態の違いです。
法律相談を予約しただけなら、まだその専門家が代理人になったわけではありません。相談した結果、任意整理ではなく個人再生や自己破産が適していると判断されることもありますし、別の専門家へ依頼することになる場合もあります。
そのため督促電話で「もう任意整理します」「弁護士に依頼しています」と断定するのは、正式依頼前であれば避けたほうがよいでしょう。代わりに「現在支払いが困難で、○日に弁護士へ債務整理について相談する予定です」と、現在の事実だけを伝える方法があります。
相談前に「任意整理予定」と伝えても督促が止まるとは限らない
債権者側から見ると、本人が電話口で「任意整理を予定しています」と話しただけでは、本当に専門家へ依頼するのか、その専門家が誰なのか、いつ受任されるのかは確認できません。
そのため、相談予定を伝えたとしても、支払期限を過ぎている以上、督促電話やメール、書面などが続く可能性があります。担当者が事情を記録して一時的に対応を待つ場合も考えられますが、必ず止まる制度ではありません。
「任意整理を検討していると伝えても意味がない」という情報を見かけるのは、この点が理由です。伝えることに意味が全くないというより、それだけでは受任通知と同じ法的・実務的効果を期待できないと理解すると分かりやすいでしょう。
督促電話が来たらどう答えればいい?
正式依頼前に楽天カードなどから電話が来た場合、長時間事情を説明する必要はありません。本人確認をしたうえで、現在の状況を簡潔に伝えれば十分です。
例えば、「現在支払いが難しい状態です。今週○日に弁護士へ債務整理について相談する予定なので、相談後に今後の対応を確認します」といった内容です。相談日が決まっていないのであれば、「近日中に専門家へ相談予定です」と事実の範囲で伝えます。
逆に避けたいのは、支払える見込みがないのに「明日必ず払います」「○日には全額払います」と約束することです。専門家へ相談すると任意整理以外の方法を選ぶ可能性もあるため、相談前に無理な返済約束をしないほうがよいでしょう。
電話を完全に無視し続けるより一度対応したほうがよい場合がある
督促電話が怖いため、すべて着信拒否してしまいたくなることもあります。しかし、少なくとも専門家へ正式依頼するまでの間は、連絡を完全に無視し続けることが必ずしも得策とはいえません。
債権者は本人と連絡を取る必要があるため、登録した携帯電話で連絡が取れない状態が続けば、別の連絡先への連絡を検討する可能性があります。勤務先への連絡が心配なのであれば、むしろ本人の携帯電話への連絡に一度対応し、「この番号で連絡が取れる」「専門家へ相談予定である」と伝えておくことには一定の意味があります。
もちろん、毎回同じ説明を長時間繰り返す必要はありません。相談日まで数日なのであれば、「前回お伝えしたとおり○日に相談予定です」と簡潔に対応し、正式依頼後は専門家の指示に従います。
正式に任意整理を依頼すると「受任通知」が送られる
弁護士や司法書士へ債務整理を正式に依頼すると、通常は債権者へ「受任通知」と呼ばれる通知が送付されます。これは、専門家が本人から債務整理を受任したことを債権者へ知らせるものです。
法テラスは、弁護士や司法書士が任意整理・自己破産・個人再生などの依頼を受け、貸金業者へその旨を通知した場合、通常は貸金業者から本人への直接連絡が止まると案内しています。[参照:法テラス「債務整理を依頼すると貸金業者からの連絡が止まるのですか」]
貸金業法上も、貸金業者については、弁護士や一定の司法書士から債務処理を受任した旨の通知を受けた後、正当な理由なく本人へ支払請求を行うことが規制されています。[参照:金融庁「貸金業者向けの監督指針」]
楽天カードの場合も「相談予定」と「受任通知後」は分けて考える
楽天カードの請求にはカードショッピングとキャッシングなどがあり、債務の種類によって適用される法制度も異なります。そのため、「楽天カードなら受任通知を出した瞬間に、すべての連絡が法律上絶対禁止になる」と一律に説明するのは正確ではありません。
ただし、実際の債務整理では、弁護士等が受任通知を送った後は、債権者との連絡窓口が専門家へ移り、本人への直接督促が止まるのが一般的です。ショッピング残高、キャッシング残高、分割・リボ払いなど何が含まれているかを相談時に正確に伝えましょう。
楽天カードは支払日に引き落としができなかった場合について、再振替の対象金融機関では原則として翌日以降に再度口座振替を行う場合があり、それ以外では指定口座への振込手続などを案内しています。[参照:楽天カード「お問い合わせ・お支払い日に間に合わなかった場合」]
任意整理予定なら再振替用のお金を入れるべき?
ここは自己判断しないほうがよい部分です。数日後に専門家へ相談する予定で、複数の債務を整理しようとしている場合、特定の債権者だけへ支払うことが今後の手続との関係で問題になるケースもあります。
特に任意整理ではなく、相談の結果として自己破産や個人再生を選ぶ可能性があるなら、債権者間の公平性なども考える必要があります。口座に入金する前に、可能であれば相談予定の弁護士・司法書士へ「次の引き落としや再振替をどうすべきか」を確認してください。
また、生活費まで使って無理に返済したり、別のカードや消費者金融から借りて楽天カードへ返済したりすることは避けるべきです。借金返済のための新規借入れを続けると債務状況がさらに悪化します。
職場に督促電話が来る可能性は?
勤務先への電話を最も心配する人は少なくありません。貸金業者による貸付債権の取立てについては、貸金業法で取立方法が規制されています。
金融庁は、正当な理由がないのに債務者の勤務先など居宅以外の場所へ電話をかけることは規制対象になると案内しています。金融庁の相談事例でも、「債務者と連絡が取れないなどの理由もなく勤務先へ督促電話をすることは法律で禁じられている」と説明されています。[参照:金融庁「金融サービス利用者相談室」]
ただし、これは貸金業法が適用される貸付けについてのルールです。クレジットカードのショッピング代金についてまで全く同じ条文がそのまま適用されるとは限りません。また、本人と長期間まったく連絡が取れないなどの事情がある場合には、連絡先確認などのため勤務先への連絡が問題になるケースも考えられます。
「明日にも職場へ電話される」と過度に恐れる必要はない
1回支払いが遅れただけで、直ちに職場へ電話して同僚へ借金の内容を知らせるような対応が通常の督促方法というわけではありません。まず登録された本人の携帯電話、メール、SMS、郵便などを通じて連絡が行われるのが一般的です。
さらに、第三者へ借金の存在を不必要に明らかにすることにはプライバシー上の問題があります。仮に勤務先へ連絡する必要が生じた場合でも、通常は第三者へ「楽天カードを滞納している」「借金を払っていない」などと詳細を伝えることまで正当化されるわけではありません。
職場への連絡が特に不安なら、本人の携帯電話にかかってきた連絡へ一度対応し、「連絡はこの携帯電話へお願いします」と伝える方法があります。正式に専門家へ依頼した後は、受任通知の発送時期も確認しておくとよいでしょう。
勤務先への電話が絶対にないとは断言できない
一方、「任意整理を考えていれば勤務先には絶対に連絡されない」と断定することもできません。本人の携帯電話や自宅への連絡に長期間応答がない、連絡先が変更されているなど、本人への連絡が困難な状況になれば事情は変わります。
楽天カードの会員規約上も、氏名、住所、勤務先、連絡先、メールアドレスなどは届出事項として扱われています。楽天カードは個人情報として勤務先・勤務先電話番号なども取り扱うことを規約で明示しています。[参照:楽天カード「カード会員規約」]
そのため、職場連絡が怖いからと携帯電話を完全に無視し続けるより、相談までの短期間は本人連絡先で状況を伝え、できるだけ早く専門家へ正式相談するほうが現実的です。
電話で勤務先へ連絡しないようお願いしてもいい?
督促電話に対応した際、「勤務先への電話は困るので、連絡はこの携帯電話へお願いします」と申し出ることはできます。相手側に本人へ連絡可能な電話番号が明確に伝わることにもなります。
ただし、その一言によって将来のいかなる状況でも勤務先への連絡が法的に完全禁止されると保証されるものではありません。重要なのは、本人と連絡が取れる状態を維持しておくことです。
電話を受けた日時、相手の部署や担当者名、伝えた内容などを簡単にメモしておけば、後から専門家へ説明するときにも役立ちます。
任意整理を依頼するまでにやってはいけないこと
専門家へ相談するまでの期間が数日程度なら、新たな問題を増やさないことが重要です。
- 返済のために別の消費者金融やカードから新たに借りる
- 支払えない期日を「必ず払う」と約束する
- 「すでに弁護士へ依頼済み」など事実と異なる説明をする
- 督促に驚いて生活費をすべて返済へ回す
- 督促の電話・郵便・SMSをすべて削除して記録を残さない
- 専門家へ債務の一部を隠す
特に相談時には、楽天カードだけでなく、ほかのカード、銀行カードローン、消費者金融、後払い、奨学金などを含め、現在の債務をできる限りすべて申告してください。
「楽天だけ任意整理したい」という希望があっても、家計やほかの債務額によっては別の方法が適している場合があります。手続を決めるのは全体の状況を確認してからです。
相談に持っていくとよい情報
弁護士・司法書士との相談をスムーズにするため、楽天カードの利用明細や請求額だけでなく、現在の家計状況も整理しておきましょう。
| 項目 | 確認しておきたい内容 |
|---|---|
| 楽天カード残高 | ショッピング・リボ・分割・キャッシングの内訳 |
| 今回の未払い | 支払日・請求金額・再振替予定 |
| その他の借金 | 会社名・残高・毎月返済額 |
| 収入 | 手取り月収・賞与 |
| 生活費 | 家賃・食費・光熱費・通信費など |
| 督促状況 | 電話・SMS・メール・郵便の有無 |
| 希望 | 任意整理希望、職場への連絡が不安など |
特に「職場への電話が非常に心配」という事情は相談時に伝えておきましょう。正式受任となった場合、いつ受任通知を送るのか、発送まで本人が督促電話へどう対応すればよいかを具体的に確認できます。
任意整理をすると楽天カードは原則利用できなくなると考える
楽天カードを任意整理の対象にする場合、そのカードをそのまま使い続けることを前提に考えるべきではありません。支払いを延滞している段階でもカードの利用が停止されることがあります。
楽天カード自身も、支払日に引き落としが確認できていない場合にはカードを利用できない場合があると案内しています。[参照:楽天カード「カードが使えない原因と解決方法」]
公共料金、携帯電話、サブスクリプションなどを楽天カード払いにしている場合は、カードが使えなくなる前提で、生活に必要な支払い方法を口座振替や別の決済手段へ変更する準備もしておきましょう。
督促電話を受けてもその場で任意整理の条件交渉をする必要はない
専門家へ相談する予定があるなら、督促担当者との電話で自分から「元金を○万円まで減らしてほしい」「利息を全部免除してください」と任意整理の交渉を始める必要はありません。
任意整理を依頼する場合は、通常、取引内容や債務額を確認したうえで弁護士・司法書士が債権者と交渉します。本人が相談直前に別の約束をしてしまうと、専門家が状況を把握するための説明が増えることがあります。
正式依頼までの督促対応は、「現在払えない」「専門家へ相談予定」「相談後に対応する」という事実確認にとどめ、具体的な債務整理方針は相談後に決めるほうが整理しやすいでしょう。
受任通知が届くまで数日かかることもある
相談日に正式依頼が決まったとしても、その場で全債権者に即時通知が到達するとは限りません。契約手続、債権者情報の確認、通知作成・発送などがあるため、事務所によってタイミングは異なります。
そのため正式依頼時には、「受任通知はいつ発送されますか」「届くまで楽天カードから電話が来たら何と答えればよいですか」と聞いておきましょう。
通知発送後に電話が来た場合も、自分で詳細な交渉をせず、「○○法律事務所へ債務整理を依頼しています。担当者へ連絡してください」と伝え、依頼した事務所へ着信があったことを報告するのが一般的です。
督促が不適切だと感じた場合の相談先
貸金業者による貸付債権について、正当な理由なく勤務先へ繰り返し電話する、午後9時から午前8時まで督促する、威圧的な取立てを行うなどの行為には規制があります。
金融庁は、債務者と連絡が取れないなどの理由もないのに勤務先へ督促電話を行うことは禁じられていると案内しており、不適切な取立てが続く場合には登録先の財務局や都道府県などへの相談を案内しています。[参照:金融庁「金融サービス利用者相談室」]
クレジット契約全般については、日本クレジット協会にも消費者相談窓口があります。[参照:日本クレジット協会「お問い合わせ・相談窓口」]
まとめ|相談前は事実だけ伝え、正式依頼後は受任通知で対応を切り替える
楽天カードの支払いを滞納し、数日後に任意整理の相談を予定している場合、督促電話が来たからといって「任意整理が確定しています」と言う必要はありません。まだ正式依頼前なら、「現在支払いが困難で、○日に弁護士・司法書士へ債務整理を相談する予定です」と事実だけを簡潔に伝えるのが分かりやすい対応です。
相談予定であることを伝えただけでは、督促を法的に止める効果があるとは限りません。大きな転機になるのは、専門家へ正式に依頼し、債権者へ受任通知が送られた段階です。法テラスも、弁護士や司法書士が債務整理を受任して貸金業者へ通知した場合、通常は本人への直接連絡が止まると案内しています。[参照:法テラス]
職場への電話については、貸金業者による貸付債権の取立てでは、正当な理由なく勤務先へ電話する行為が貸金業法で規制されています。ただしカードショッピングなど債務の種類による違いもあるため、「絶対に職場には連絡されない」とは断定できません。本人の携帯電話で連絡が取れる状態を保ち、必要なら「連絡はこの携帯番号へお願いします」と伝えておくとよいでしょう。
相談が今週中など目前なのであれば、督促への対応で無理な支払約束をしたり、別の借金で返済したりするより、現在の債務額・利用明細・収入・生活費・督促状況を整理して専門家へ持参することが重要です。そして正式依頼が決まったら、受任通知の発送時期と、それまでの電話対応を担当者へ確認しておけば、今後の流れがかなり明確になります。