交通事故で自分の過失100%でも保険金はもらえる?57日通院・専業主婦の人身傷害と休業損害の計算方法を解説

交通事故で自分の過失が100%だった場合でも、自分が加入している自動車保険の契約内容によっては、ケガについて保険金を受け取れることがあります。特に確認したいのが人身傷害保険、搭乗者傷害保険、自損事故保険です。また、専業主婦(家事従事者)は会社から給与を受け取っていなくても、人身傷害保険などの算定で家事労働への支障が休業損害として評価されることがあります。ただし、「57日通院した」という情報だけでは最終的な受取額は計算できません。57日が実際に病院へ通った日数なのか、事故から治療終了までの期間なのか、加入している補償の種類、治療費、家事への支障などによって金額が大きく変わるためです。この記事では、過失100%の事故で自分のケガに使える保険と、専業主婦の保険金を考える際のポイントを整理します。

過失100%なら相手からの慰謝料は原則期待できない

まず区別したいのが、「相手から受け取る損害賠償金」と「自分の保険から受け取る保険金」です。自分に100%の過失があり、相手側に責任がない事故では、原則として相手へ自分のケガの損害賠償を請求することはできません。

日本損害保険協会も、相手がいる事故であっても相手側に責任がなく、自身の過失割合が100%である場合には、相手方の自賠責保険から保険金を受け取れないと説明しています。[参照]

例えば自分が赤信号を見落として適切に走行していた車へ衝突し、相手に過失が認められないケースでは、自分の治療費や慰謝料を相手側の自賠責・対人賠償保険から受け取るという通常の被害事故とは扱いが異なります。

過失100%でも「人身傷害保険」があれば自分のケガを補償できる

そこで重要になるのが、自分の自動車保険に人身傷害保険が付いているかどうかです。

人身傷害保険は、保険金額を限度として、約款に定められた基準・計算方法で算定した治療費、休業損害、精神的損害などを補償する保険です。日本損害保険協会は、過失割合による減額をせず、自分の過失部分を含めて補償を受けられると説明しています。[参照]

つまり「事故は100%自分が悪い=自分のケガについて一切保険金が出ない」とは限りません。人身傷害を契約しており、その事故が補償対象なら、100%過失でも保険金を受け取れる可能性があります。

専業主婦でも休業損害が認められることがある

専業主婦の場合に特に気になるのが休業損害です。「仕事をしておらず給与も0円だから休業損害も0円」と考えがちですが、必ずしもそうではありません。

家族のために炊事、洗濯、掃除、買い物、育児などを日常的に行っている家事従事者については、事故のケガによって家事ができなくなったこと自体が経済的な損害として評価される場合があります。

参考として、自賠責保険の傷害に関する支払基準では、休業損害について家事従事者を含むと明記され、原則1日6,100円とされています。[参照]ただし、過失100%の本人が相手の自賠責からこの金額を受け取れるという意味ではありません。人身傷害保険を使う場合には、その契約の約款・支払基準に基づいて家事従事者の休業損害が計算されます。

「57日通院した」だけでは保険金額を確定できない

保険金を計算する際に注意したいのが、「57日通院」という言葉の意味です。

例えば事故日から治療終了まで57日間だったケースと、その期間中に実際に57回病院へ通ったケースでは意味がまったく違います。保険会社へ確認するときは、次の情報を整理すると金額を把握しやすくなります。

  • 事故から治療終了までの総期間
  • 実際に病院・整形外科などへ通院した日数
  • 入院日数
  • ケガの内容
  • 治療費
  • 家事ができなかった期間・程度
  • 人身傷害保険の有無
  • 搭乗者傷害保険の有無
  • 自損事故保険の有無

したがって「57日×○円」という掛け算だけで、受け取れる総額を確定することはできません。

参考:自賠責基準なら傷害慰謝料は1日4,300円

交通事故の慰謝料について検索すると「1日4,300円」という数字をよく見かけます。これは自賠責保険における傷害慰謝料の支払基準です。

国土交通省によると、自賠責の傷害慰謝料は1日4,300円で、対象日数は被害者の傷害の状態や実治療日数などを勘案し、治療期間の範囲内で決定されます。傷害による損害については治療費、休業損害、慰謝料などを合わせて被害者1人につき120万円が自賠責の限度額です。[参照]

ただし、自分の過失100%で相手が無過失なら、相手の自賠責からこの基準で慰謝料を受け取れるわけではありません。人身傷害保険を利用する場合の精神的損害は、加入している保険会社の約款・算定基準で計算されます。4,300円を単純に57日へ掛ければ必ず受取額が出る、という理解は避けましょう。

仮に57日すべてが実通院日でも「57×4,300円」で確定ではない

単純な参考計算として57×4,300円を計算すると245,100円になります。しかし、この24万5,100円をそのまま「もらえる慰謝料」と考えることはできません。

これはあくまで4,300円を57日分掛けただけの数字です。事故の過失が100%ならそもそも相手方自賠責からの請求が成立しない場合がありますし、自分の人身傷害保険では別の基準が使われます。

逆に、人身傷害では精神的損害だけでなく、対象となる治療費や休業損害なども損害額に含まれるため、「慰謝料相当額だけ」が最終的な保険金額でもありません。

専業主婦の休業損害も「57日×6,100円」で自動計算されるわけではない

自賠責の参考基準で57×6,100円を計算すると347,700円です。しかし、これについても「専業主婦で57日通院したから34万7,700円もらえる」と断定することはできません。

休業損害で重要なのは、単なる通院回数ではなく、ケガによって実際に家事労働へどの程度の支障が生じたかです。例えば骨折で家事がほぼできず家族に代わってもらったケースと、軽傷で通院日以外は通常どおり家事ができていたケースでは評価が異なり得ます。

さらに人身傷害保険では自賠責の6,100円をそのまま使うとは限りません。各社の約款に定められた家事従事者の休業損害算定方法によって決まるため、保険会社へ算定内訳を確認することが重要です。

人身傷害なら治療費・休業損害・精神的損害などをまとめて算定する

人身傷害保険は「通院1回につき○円」という単純な定額保険ではありません。実際に生じた損害を約款所定の基準で計算する実損払いが基本です。

日本損害保険協会では、人身傷害について治療費、休業損害などの損害額を保険金額の範囲で支払う保険と説明しています。[参照]

そのため治療費をすでに保険会社が病院へ直接支払っている場合には、その治療費も人身傷害として支払われた損害の一部であることがあります。「最後に自分の銀行口座へ振り込まれる金額」と「事故について保険会社が負担した総額」は一致しないことがあります。

搭乗者傷害保険が付いていれば人身傷害とは別に受け取れる場合がある

もう一つ確認したいのが搭乗者傷害保険です。

搭乗者傷害保険は、契約車に乗車中の人が事故で死傷した場合に、契約であらかじめ定められた金額を支払う保険です。日本損害保険協会によれば、商品によって実際の入院・通院日数に応じる「日数払い」と、ケガの部位・症状によって決める「部位・症状別払い」などがあります。[参照]

搭乗者傷害は実際の損害額を補う人身傷害とは性質が異なり、人身傷害の対象事故であっても、それとは別に支払われる場合があります。[参照]

自損事故保険が付いているケースも確認する

人身傷害を契約していない場合でも、自損事故保険が付帯している契約があります。

自損事故保険は、電柱への衝突などの単独事故や、相手側が完全無過失で自賠責から補償を受けられない事故などで、運転者等が死傷した場合に一定の保険金を支払うものです。[参照]

ただし現在の自動車保険では、人身傷害保険の中に自損事故の補償を組み込んでいる商品もあります。人身傷害と自損事故保険の両方から同じ損害について二重に受け取れるとは限らないため、契約内容を確認しましょう。

「100%自分が悪い事故」でも保険金が出る代表的なパターン

例えば、運転操作を誤ってガードレールへ衝突し、むち打ちや打撲で約2か月治療したとします。相手がいないため、自分のケガについて相手から損害賠償を受けることはできません。

しかし人身傷害保険に加入していれば、約款に基づいて治療費、休業損害、精神的損害などが算定され、保険金額の範囲で補償される可能性があります。専業主婦であれば、事故によって家事に支障が生じた部分について家事従事者として休業損害の算定対象となる可能性もあります。

さらに搭乗者傷害保険を契約していれば、契約条件に応じた定額の医療保険金等が別途支払われる可能性があります。このように、同じ「57日通院」でも契約している保険によって受取額は大きく変わります。

保険会社から「保険金が出ます」と言われたら補償名を確認する

最も手っ取り早いのは、担当者に「何という補償から支払われる保険金ですか」と聞くことです。

例えば「人身傷害です」と言われた場合と、「搭乗者傷害です」と言われた場合では計算方法が違います。「自損事故保険です」という場合も別の定額基準が使われます。

次に「専業主婦ですが、家事従事者として休業損害は算定されていますか」「精神的損害はいくらですか」「治療費を含む総損害額と、私の口座へ振り込まれる金額を教えてください」と確認すると、受取額の内訳がかなり明確になります。

保険会社から計算書が届いたら見るべき項目

人身傷害の支払額が提示された場合は、合計額だけを見るのではなく内訳を確認しましょう。

  • 治療費
  • 通院交通費などの治療関係費
  • 休業損害・家事従事者の休業損害
  • 精神的損害
  • 後遺障害が残った場合の損害
  • すでに保険会社が支払済みの金額
  • 最終的に本人へ支払われる金額

特に専業主婦の場合は、休業損害が0円になっているときに「専業主婦なので対象外」と自己判断せず、家事従事者としての算定が行われたかを保険会社へ確認する価値があります。

まとめ:57日通院・専業主婦でも金額は契約内容を見ないと計算できない

事故の過失が自分100%でも、自分の人身傷害保険、搭乗者傷害保険、自損事故保険などから保険金を受け取れる可能性があります。特に人身傷害保険は過失割合にかかわらず、約款所定の基準で算定した損害を保険金額の範囲で補償する保険です。[参照]

また専業主婦だから休業損害が必ず0円になるわけではありません。家事従事者の家事労働への支障も休業損害として評価されることがあり、自賠責の支払基準でも家事従事者を休業損害の対象に含めています。[参照]

ただし、「57日通院したから○○万円」と通院日数だけで正確な金額を計算することはできません。自賠責の4,300円や休業損害6,100円を57日へ単純に掛けた金額が、そのまま過失100%の事故で受け取れるわけでもありません。

正確な概算を出すためには、まず保険証券や契約内容から人身傷害・搭乗者傷害・自損事故保険のどれから支払われるのかを確認します。そのうえで、治療期間、実通院日数、入院の有無、ケガの内容、家事への支障期間が分かれば、受取額をかなり具体的に絞り込めます。

保険会社からすでに「保険金が出る」と案内されているのであれば、担当者へ「補償名」「家事従事者としての休業損害」「精神的損害」「最終振込予定額」の4点を確認するのが最短です。過失100%という言葉だけで保険金を諦める必要はなく、自分自身のために契約している補償を確認することが重要です。

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