募集設立における設立時取締役は定款で定められる?会社法88条と選任方法を解説

株式会社を募集設立する場合、設立時取締役をどのように決めることができるのかは、会社法を学ぶ上で重要なポイントです。特に、創立総会で選任する方法が原則とされている一方で、定款で設立時取締役を定めることができるのかについては、実務や資格試験の学習でも疑問になりやすい部分です。本記事では、募集設立における設立時取締役の選任方法と、定款による定めの可否について分かりやすく解説します。

募集設立における設立時取締役の基本的な決め方

株式会社の設立方法には、発起設立と募集設立があります。発起設立では、発起人が設立時発行株式をすべて引き受けるため、設立時取締役は発起人によって選任されます。

一方、募集設立では、発起人以外の者からも株式を引き受ける人を募集します。そのため、会社設立後の株主となる予定者にも、役員を選ぶ機会を与える必要があります。

その趣旨から、会社法88条では、募集設立における設立時取締役は創立総会の決議によって選任することが原則とされています。

会社法88条が創立総会での選任を求める理由

募集設立では、発起人だけで会社の経営陣を決めてしまうと、出資する株主の意思が反映されません。そのため、株式を引き受けた者が参加する創立総会において、設立時取締役を選任する仕組みになっています。

例えば、発起人が設立時取締役として自分の知人だけを予定していたとしても、募集された株式を引き受けた株主側が、その人物を適切でないと判断する可能性があります。創立総会による選任制度は、このような株主保護の役割を持っています。

つまり、会社法88条の規定は単なる手続きではなく、会社に出資する者の意思を設立段階から反映させるための制度です。

定款で設立時取締役を定めることは可能なのか

募集設立の場合、会社法88条では創立総会による選任が規定されています。しかし、実務上や一部の解釈では、定款によって設立時取締役を定めることも可能とされています。

その理由として、募集設立において株式を引き受ける者は、定款の内容を確認した上で株式の引受けを行うため、あらかじめ設立時取締役が定款に記載されている場合には、その内容を了承して出資したと考えることができます。

ただし、会社法88条の文言だけを見ると創立総会による選任が明確に規定されているため、学説上は議論があります。試験や実務では、どの立場の説明なのかを確認することが重要です。

定款による定めが認められると考えられる根拠

定款で設立時取締役を定める考え方では、定款自治の原則が根拠になります。会社法では、法律に反しない範囲で会社内部の事項を定款によって定めることが認められています。

また、募集設立では株式申込人が定款を確認して出資判断を行うため、設立時取締役についても事前に明らかにされていれば、株主となる者の利益を害するものではないと考えられます。

例えば、発起人が事業計画や経営体制を明確にした上で募集を行い、定款に設立時取締役を記載している場合、出資者はその条件を理解して参加できます。

実務や試験で注意すべきポイント

会社法の学習では、条文上の原則と、解釈によって認められている例外的な考え方を区別することが大切です。会社法88条だけを見ると、募集設立の設立時取締役は創立総会で選任するという理解になります。

一方で、実務上の解説では、定款で設立時取締役を定めることが可能と説明される場合があります。そのため、問題文や参考書がどの立場を前提としているかを確認する必要があります。

資格試験などでは、単純に結論だけを覚えるのではなく、「なぜ創立総会で選任するのか」「なぜ定款による定めが議論されるのか」という制度趣旨まで理解すると応用問題にも対応しやすくなります。

まとめ

募集設立における設立時取締役は、会社法88条上は創立総会で選任されることが基本です。これは、募集に応じた株主に役員選任の機会を与えるためです。

一方で、定款に設立時取締役を定めることができるという考え方もあり、これは定款自治や株主が定款内容を確認して出資する点を根拠としています。

したがって、設立時取締役の決定方法について理解する際は、「条文上の原則」と「解釈上認められる可能性がある方法」を分けて整理することが重要です。

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