交通事故の相手が自賠責保険のみ加入していた場合、自賠責保険で支払われる金額だけでは損害を十分に補えないことがあります。さらに加害者本人が亡くなった場合、誰に請求すればよいのか、訴訟をしても本当に支払われるのか不安になる方も少なくありません。この記事では、自賠責保険のみの相手との事故で不足分を請求する方法や、加害者死亡後の相続人への請求、裁判による回収の可能性について解説します。
自賠責保険だけでは損害額を補えない場合がある
自賠責保険は、交通事故による被害者救済を目的とした最低限の補償制度です。そのため、治療費や慰謝料、休業損害などが一定額まで補償されますが、実際の損害額すべてをカバーできるとは限りません。
例えば、長期間の通院や後遺障害が残った場合、自賠責保険から支払われる金額だけでは不足することがあります。その不足分については、加害者本人へ直接請求することになります。
相手が任意保険に加入していれば保険会社が対応するケースが多いですが、自賠責保険のみの場合は、加害者本人や相続人との交渉が必要になることがあります。
加害者本人が亡くなった場合は相続人へ請求できる
交通事故の加害者が亡くなった場合でも、事故によって発生した損害賠償義務がすぐになくなるわけではありません。
相続が行われた場合、相続人は原則として亡くなった方の財産だけでなく、一定の範囲で債務も引き継ぎます。そのため、適切な手続きを行えば、相続人に対して損害賠償請求を行うことが可能です。
例えば、加害者が所有していた土地や建物などの財産を相続している場合、その財産状況によっては賠償金を回収できる可能性があります。
相続人が支払いに応じない場合の対応
相続人との話し合いで解決できない場合、裁判によって損害賠償請求を行う方法があります。裁判では、事故状況、過失割合、治療内容、損害額などを証拠に基づいて判断します。
すでに弁護士が対応している場合は、相手側との交渉経過や提出資料を踏まえて、訴訟による解決を進めることになります。
裁判を起こしたからといって必ず相手が自主的に支払うとは限りませんが、判決で支払い義務が確定すれば、強制執行という手段を取ることができます。
判決後に支払いがない場合は強制執行が可能
裁判で勝訴しても相手が支払いを拒否する場合、財産を差し押さえる強制執行の手続きを利用できます。
強制執行では、相手の預貯金、不動産、給与など一定の財産を対象として回収を図ることができます。ただし、財産の種類や状況によって回収できる範囲は異なります。
例えば、相手が土地や住宅を所有している場合でも、その不動産の名義や住宅ローンの有無などによって、実際に回収できる金額は変わります。
訴訟を進める前に確認しておきたいポイント
裁判を行う場合は、事故に関する証拠を整理しておくことが重要です。交通事故証明書、診断書、治療記録、通院履歴、示談交渉の記録などは重要な資料になります。
また、相手の財産状況についても確認できる範囲で調査しておくことが大切です。判決を得ても相手に財産がなければ、回収まで時間がかかる場合があります。
弁護士に依頼している場合は、相手の資産状況や訴訟後の回収可能性についても相談しながら進めるとよいでしょう。
まとめ
自賠責保険のみ加入の相手との交通事故では、自賠責から支払われる金額だけでは不足することがあり、その差額を加害者側へ請求する必要があります。
加害者本人が亡くなった場合でも、相続人が財産を引き継いでいる場合には、相続人へ損害賠償請求を行える可能性があります。
訴訟によって支払い義務が認められれば、状況に応じて強制執行による回収も可能です。土地や住宅などの財産がある場合は、弁護士と相談しながら適切な手続きを進めることが重要です。