事故で障害や後遺症を負い「生きる希望がない」と感じたときに知ってほしいこと|痛み・仕事・生活の支援先を解説

交通事故などによって身体の一部を失ったり、強い後遺症や慢性的な痛みが残ったりすると、それまで当たり前だった生活が一変することがあります。仕事ができなくなった、自由に歩けなくなった、将来が想像できなくなったという状況が重なれば、心まで追い詰められてしまうことがあります。

特に、切断後の痛みやしびれなど身体的な苦痛が続いている場合、生活や仕事の問題だけを切り離して考えるのは簡単ではありません。身体の治療、痛みへの対応、こころのケア、生活・就労支援を別々の問題とせず、複数の専門家につないでいくことが重要です。

この記事では、事故による障害や後遺症によって生きる希望を失いそうになったとき、どのような支援につながることができるのかを整理します。なお、今まさに自分を傷つけてしまいそうなほど切迫している場合は、一人で抱えたままにせず、119番など緊急の助けを利用してください。

「死にたい」と思うほど苦しいときは、人生の結論より先に安全を確保する

「なぜ生き残ったのだろう」「この状態が一生続くなら死んだほうがいい」と考えるほど追い詰められているとき、人生について重大な結論を出す必要はありません。まず必要なのは、今の危機を一人で乗り切ろうとしないことです。

自殺そのものについて「罪かどうか」という問いは、法律、宗教、倫理など、どの意味での「罪」を指すかによって話が変わります。しかし、強い痛みや絶望の最中にいる人にとって優先すべきなのは、その議論よりも安全を確保し、苦痛を少しでも減らす方法を探すことです。

具体的には、自分を傷つけるために使えそうな物から距離を置き、可能であれば家族・友人など信頼できる人に「今、一人でいるのが危ないくらいつらい」と伝えてください。自分で安全を保てないほど切迫している場合には119番を利用する選択肢もあります。

厚生労働省は「死にたい」「消えたい」「生きることに疲れた」といった気持ちを相談できる窓口として、24時間365日対応の「#いのちSOS(0120-061-338)」や、24時間対応の「よりそいホットライン(0120-279-338)」などを案内しています。電話で話すことが難しい人向けにはSNS・チャット相談も紹介されています。[参照:厚生労働省「相談先一覧」]

事故後に「何の希望もない」と感じる背景には複数の問題が重なっている

大きな事故の後に苦しくなる理由は、身体の障害だけとは限りません。「痛み」「移動の制限」「仕事を失う不安」「収入の問題」「以前の自分との比較」「将来への不安」などが同時に発生することがあります。

例えば、それまで身体を動かす仕事をしていた人が足に大きな障害を負えば、「今までの仕事ができない」ことから「自分にはもうできる仕事がない」という考えにつながることがあります。しかし、この2つは同じ意味ではありません。以前と同じ仕事への復帰が難しくても、職業訓練や職業リハビリテーション、仕事内容への配慮などによって別の働き方を探せる場合があります。

また、事故前には普通にできていたことができなくなる経験そのものが大きな喪失です。そのため、事故後の精神的な苦痛について精神科・心療内科や心理職などに相談することは、身体の治療とは別の問題ではありません。眠れない、食欲がない、事故を繰り返し思い出す、強い罪悪感や絶望感が続く、「死にたい」という考えが繰り返し浮かぶ場合には、早めに医療機関へ相談することが大切です。

切断後の強い痛みは「我慢するしかない」と決めつけない

手足を切断した後には、残っている部分の痛みだけでなく、失った手足がまだ存在しているように感じたり、その部分に痛みを感じたりすることがあります。痛みの原因や状態は人によって異なるため、単に「後遺症だから一生耐えるもの」と自己判断するのではなく、現在の痛みについて主治医へ具体的に伝えることが重要です。

例えば「右足が痛い」という説明だけでなく、いつ痛むのか、何分・何時間続くのか、痛みの強さ、睡眠への影響、歩行できなくなる頻度、薬を飲んだときの変化などを記録して受診時に伝える方法があります。痛みの診療について、主治医から専門診療科への紹介を検討してもらう方法もあります。

慢性的な痛みがあると、外出や睡眠が難しくなり、その結果として気分がさらに落ち込むという悪循環が起きることがあります。そのため「身体の痛み」と「こころの苦痛」の両方を医療者に伝えることが大切です。

身体を使う仕事ができなくなっても、仕事の可能性がゼロになるわけではない

事故前まで肉体労働を中心に働いてきた場合、「特別な資格もパソコンのスキルもないから、もう働けない」と感じることがあります。しかし、障害のある人を対象とした就労支援には、単に求人を紹介するだけではない仕組みがあります。

厚生労働省によると、ハローワークでは障害の種類や程度に応じた職業相談・職業紹介や職場定着支援などが行われています。また、地域障害者職業センターでは職業評価、職業指導、職業準備訓練、職場適応援助などの専門的な職業リハビリテーションが行われています。[参照:厚生労働省「障害者の方への施策」]

例えば、立ち仕事や重量物を扱う仕事が難しくなった場合でも、座って行える業務、事務補助、電話・受付、PCを利用する仕事など、身体の状態に合わせて職種を検討する余地があります。必要なら職業訓練から始めることも選択肢になります。事故直後から「一生の仕事」を決める必要はなく、身体の状態を確認しながら段階的に考えていくことができます。

「仕事」「お金」「痛み」「心」を一人で全部解決しようとしない

大きな障害を負った後に厄介なのは、問題が一つではないことです。医療については医師、リハビリについてはリハビリテーションの専門職、就労についてはハローワークや地域障害者職業センター、生活については自治体の福祉窓口など、それぞれ相談できる専門家や制度があります。

どこから相談すればよいのか分からない場合、厚生労働省が案内する「支援情報検索サイト」では、悩み別・方法別・地域別に相談窓口を探すことができます。[参照:厚生労働省「相談先一覧」]

相談するときには、うまく説明する必要もありません。「事故で障害が残り、痛みもあって、仕事もできる気がせず、死にたいと思うことがある」と、そのまま伝えるだけでも重要な情報になります。特に「死にたい」という気持ちは伏せずに医師や相談員へ伝えてください。

将来全部ではなく「今日を安全に終える」ことから考えてよい

重い障害や慢性的な痛みを抱えた直後に、「これが一生続く」と考えると、何十年分もの苦しみを一度に背負っているように感じることがあります。しかし、治療、リハビリ、義肢や補助具、生活環境、利用できる制度、働き方などは時間とともに変化する可能性があります。

そのため、非常につらい時期には「これからどう生きるか」を今すぐ完成させる必要はありません。「今日、安全に過ごす」「次の診察で痛みについて相談する」「一つだけ支援窓口に連絡する」といった小さな単位に分けることができます。

また、電話で話すこと自体が難しい場合には、厚生労働省がSNSやチャットによる相談先も案内しています。無料・匿名で利用できる24時間365日のチャット相談なども掲載されています。[参照:厚生労働省「SNS相談」]

まとめ|事故後の人生を一人で今すぐ決めなくていい

事故による切断や後遺症は、身体だけでなく仕事、収入、人間関係、自己イメージ、将来への見通しまで大きく変えることがあります。「生きる意味が分からない」と感じるほど追い詰められている場合には、精神論だけで乗り越えようとするのではなく、痛みの治療、こころのケア、生活支援、職業リハビリテーションを組み合わせていくことが重要です。

特に自分を傷つける可能性があるほど「死にたい」という気持ちが強い場合には、一人にならず、身近な人、医療機関、119番、または相談窓口につながってください。厚生労働省が案内している「#いのちSOS」は0120-061-338(24時間365日)、「よりそいホットライン」は0120-279-338(24時間対応)です。

今後の仕事や人生について答えが出ていなくても、まずは安全を確保して、身体の痛みと心の苦しさを専門家へ伝えるところから始められます。人生全体の答えを今日出す必要はありません。

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