貸したお金が返ってこないときの法的な請求方法|借用書・LINEがある場合の少額訴訟・支払督促・強制執行を解説

友人や元同僚、知人にお金を貸したものの、返済期限を過ぎても返してもらえないというトラブルは珍しくありません。相手が連絡には応じるものの、「お金がないから払えない」と言い続けている場合、話し合いだけでは解決しないこともあります。

このような場合、借用書、銀行振込の記録、LINE・メールなど、お金を貸したことや返済の約束を確認できる資料があれば、民事上の手続きを利用して返還を求めることが考えられます。特に15万円程度の貸金であれば、通常訴訟だけでなく、支払督促や少額訴訟も選択肢になります。

重要なのは、「相手がお金を持っていない」と「返済義務がない」は別の問題だという点です。この記事では、個人間で貸したお金が返ってこない場合に利用できる法的手続きと、それぞれの違い、判決後の強制執行まで順番に解説します。

貸したお金は法的に返還請求できる

個人間であっても、返す約束でお金を渡したのであれば、基本的には金銭消費貸借として返還を求めることができます。会社や金融機関から借りた場合だけが「借金」になるわけではありません。

例えば、AさんがBさんに15万円を貸し、「3か月後に15万円を返す」という約束をしていたのであれば、返済期限を過ぎた後にAさんがBさんへ返還を請求することができます。Bさんに現在十分なお金がないという事情だけで、当然に返済義務そのものが消えるわけではありません。

一方、裁判になった場合には「本当に貸したのか」「贈与だったのではないか」「返済期限はいつだったのか」などが争われる可能性があります。そのため、まず証拠を整理しておくことが重要です。

借用書とLINE履歴は重要な証拠になる

貸金を請求する際に重要なのが、お金を渡した事実と、相手に返還義務があることを示す資料です。借用書が存在する場合は有力な資料になります。

さらに、銀行振込の履歴、LINE、メール、SMSなども内容によって証拠になり得ます。例えばLINEに「借りた15万円は来月返す」「今はお金がないからもう少し待ってほしい」といったやり取りが残っていれば、相手自身が借金の存在を認めていたことを示す資料になり得ます。

証拠は削除・紛失に備え、スクリーンショットだけでなく可能な範囲で会話全体や日時、相手のアカウントを確認できる状態で保存しておくとよいでしょう。借用書の原本、振込明細、返済を求めた記録などもまとめて保管します。

まず内容証明郵便で返済を請求する方法がある

裁判手続きを始める前の方法として、相手に書面で返済を求めることが考えられます。その際によく利用されるのが内容証明郵便です。

内容証明郵便そのものに、相手の財産を差し押さえたり強制的に支払わせたりする効力があるわけではありません。ただし、「いつ、どのような内容の文書を送ったのか」を証明しやすいため、正式に返済を請求した記録を残す手段として利用されています。

例えば、「貸付金15万円について、○年○月○日までに指定口座へ支払ってください」と期限を定めて請求します。相手がそれでも支払わなければ、支払督促や訴訟など次の手続きを検討することになります。

15万円の貸金なら「支払督促」という選択肢がある

支払督促は、金銭などの支払いを求める場合に利用できる裁判所の手続きです。裁判所の案内では、貸金についても支払督促を利用できます。通常の訴訟とは異なり、まずは書類を中心に手続きが進む点が特徴です。

債務者に支払督促が送達され、一定期間内に異議が出されなければ、債権者は次の段階として仮執行宣言の申立てを行うことができます。一方、相手が適法に異議を申し立てれば、通常の訴訟手続きへ移行することがあります。

そのため、相手が借金の存在自体をほぼ争っておらず、単に支払いをしないケースでは検討しやすい制度です。手続きや最新の申立手数料については、裁判所の支払督促に関する公式案内[参照]で確認できます。

60万円以下なら少額訴訟も検討できる

15万円の返還請求であれば、少額訴訟も有力な選択肢です。裁判所によると、少額訴訟は60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用でき、原則として1回の審理で解決を図る制度です。

貸金についても少額訴訟を利用できます。借用書、振込記録、LINEなどの証拠を整理し、貸した金額、返済期限、未払いであることなどを主張・立証していくことになります。裁判所では貸金用の少額訴訟の訴状書式と記載例も公開されています。

ただし、少額訴訟を申し立てれば必ず1回で終わるわけではありません。相手方が通常訴訟への移行を求める場合など、通常の訴訟として進むこともあります。また、請求が認められても、裁判所が分割払いなどを命じる場合があります。制度の詳細と貸金用書式は裁判所「少額訴訟で使う書式」[参照]で確認できます。

裁判で勝っても自動的にお金が戻るとは限らない

貸金トラブルで特に理解しておきたいのが、「請求する権利を裁判で認めてもらうこと」と「実際に15万円を回収すること」は別の段階だという点です。

例えば、裁判で「被告は原告に15万円を支払え」という内容の判決が確定しても、相手が自主的に支払わなければ、それだけで相手の銀行口座から自動的に15万円が移動してくるわけではありません。

相手が判決などに従わない場合には、債務名義など必要な条件を整えたうえで、強制執行を検討します。裁判所も、判決の内容を相手が履行しない場合には、判決内容を実現するため強制執行を申し立てることができると案内しています。

強制執行では預金や給与などが対象になることがある

強制執行では、条件を満たせば相手の財産を差し押さえて債権を回収する方法があります。代表的な対象には銀行預金や給与などがあります。ただし、給与には差押禁止の範囲があり、全額を自由に差し押さえられるわけではありません。

また、ここで現実的な問題になるのが相手の財産です。相手に差し押さえられる財産がまったくなければ、判決を取得してもすぐには回収できない場合があります。

つまり、「一銭もない」と言われたから請求できないわけではありませんが、法的に請求できることと、現時点で回収可能な財産があることは分けて考える必要があります。回収可能性まで考えて、手続きにかかる時間や費用とのバランスを検討することが大切です。

「お金がない」と言われた場合に確認したいポイント

相手が「お金がない」と主張していても、それだけで法的手続きを諦める必要はありません。一方で、15万円を回収するために非常に大きな費用をかけてしまえば、経済的には合理的でなくなる可能性があります。

そのため、①証拠の強さ、②相手が借金を認めているか、③相手に給与や預金など回収可能な財産がありそうか、④手続きに必要な費用と時間を整理して判断するとよいでしょう。

例えば、相手が会社員として勤務しているケースと、無職で預金も財産もほとんどないケースでは、同じ15万円の債権でも実際の回収可能性は変わります。必要に応じて弁護士や司法書士などの法律専門家へ相談することも選択肢です。

貸金には消滅時効があるため放置しない

「そのうち返してくれるだろう」と何年間も放置することにも注意が必要です。貸金債権には消滅時効があるためです。

2020年4月1日施行の改正民法では、債権について原則として「債権者が権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」という時効期間が設けられています。ただし、契約時期や具体的な事情によって適用されるルールや起算点が異なる可能性があります。

時効について自己判断で「まだ大丈夫」と考えるのは避けたほうが安全です。長期間返済されていない場合には、早めに専門家へ相談することをおすすめします。制度については法務省「民法(債権関係)の改正」資料[参照]も確認できます。

15万円を請求する場合の手続きを整理

借用書やLINEなどがあり、相手と連絡も取れるものの返済されないケースでは、状況に応じて段階的に対応できます。

方法 主な特徴
書面・内容証明による請求 返済期限を明確にして正式に請求する
支払督促 金銭の支払いを求める裁判所の手続き。相手が異議を出すと訴訟へ移行する場合がある
少額訴訟 60万円以下の金銭請求に利用でき、原則1回の審理で解決を図る
通常訴訟 貸金の存在などについて本格的な争いがある場合にも利用される
強制執行 判決などを得ても支払われない場合に、一定の要件のもと財産の差押えなどを行う

15万円という金額だけを考えれば少額訴訟の対象範囲ですが、どの手続きが最適かは相手の対応や証拠、財産状況によって異なります。現在の裁判手続きの手数料については裁判所「手数料」[参照]で最新情報を確認できます。

まとめ|借用書やLINEがあるなら証拠を保存し、回収まで見据えて手続きを選ぶ

個人間で貸したお金であっても、返済の約束があり返済期限を過ぎているのであれば、法的な返還請求を検討できます。借用書、振込履歴、LINEなどが残っている場合には、それらを整理・保存しておくことが非常に重要です。

15万円の貸金であれば、内容証明による請求のほか、支払督促、60万円以下の金銭請求を対象とする少額訴訟、通常訴訟などの方法があります。そして判決などを得ても支払われなければ、条件を満たしたうえで強制執行を検討することになります。

「相手がお金を持っていない」という主張だけで借金そのものがなくなるわけではありません。ただし、相手に差し押さえられる財産がなければ、法的に請求が認められても直ちに全額回収できない場合があります。証拠、請求額、相手の資力、費用、消滅時効などを総合的に考え、必要であれば弁護士・司法書士などの専門家や裁判所の手続案内を利用しながら進めることが大切です。

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