月極駐車場の契約変更や引っ越しなどで、車を普段置いておく駐車場が変わることがあります。このとき注意したいのが、警察への自動車の保管場所に関する手続きです。単に駐車場の契約先を変えただけだから何もしなくてよい、とは限りません。
特に普通自動車では、住所や所有者などを変えずに保管場所だけを変更した場合、原則として保管場所の変更届出が必要です。一方、引っ越しによって自動車の使用の本拠の位置まで変わる場合には、単純な変更届ではなく保管場所証明申請が必要になるケースがあります。ここでは、駐車場を変更した場合の手続きと、届出をしないままにするリスクを整理します。
駐車場を変更すると保管場所の届出が必要になることがある
警察庁は、登録自動車について保管場所の位置のみを変更したときには、警察署長に対して自動車の保管場所届出を行う必要があると案内しています。つまり、住んでいる場所や車の所有者はそのままで、契約している月極駐車場だけを別の場所へ変更したケースなどが典型例です。
たとえば、自宅近くのA駐車場を解約し、300メートル離れたB駐車場を新しく契約して、以後B駐車場を車の通常の保管場所として利用する場合です。このような場合には、単なる民間駐車場同士の契約変更だけではなく、車の保管場所についての手続きも確認する必要があります。
なお、自動車の使用の本拠の位置によっては届出が不要となる地域もあります。そのため、自分の地域が対象になるか判断できない場合は、保管場所を管轄する警察署へ確認するのが確実です。[参照:警察庁「自動車の保管場所届出」]
「駐車場だけ変更」と「引っ越し」では手続きが異なる
ここで混同しやすいのが、保管場所だけを変更する場合と、住所・使用の本拠まで変更する場合の違いです。登録自動車で所有者や住所などに変更がなく、車庫だけを変更した場合には保管場所の変更届出が基本となります。
一方、引っ越しなどによって自動車の使用の本拠の位置も変更になる場合、登録自動車については保管場所届出ではなく、保管場所証明申請が必要になる場合があります。警察庁も、所有者の変更や住所変更によって使用の本拠の位置も変わる場合は、保管場所届出ではなく保管場所証明申請が必要であると説明しています。
そのため、「駐車場を変えた」という事実だけで手続きを決めるのではなく、自宅・事業所などの使用の本拠も変わったのか、それとも車庫だけが変わったのかを最初に整理することが重要です。[参照:警察庁「自動車の保管場所証明申請」]
新しい駐車場にも保管場所としての条件がある
どこでも自由に車庫として届け出られるわけではありません。警察庁によると、自動車の保管場所にはいくつかの要件があります。代表的なのは、道路上ではないこと、自動車の使用の本拠の位置から2キロメートルを超えないこと、車全体を収容できて道路から支障なく出入りできること、そして保有者がその場所を使用する権原を持っていることです。
たとえば、自宅からかなり離れた格安の月極駐車場を契約したとしても、使用の本拠からの距離などの要件を満たさなければ、自動車の保管場所として認められない可能性があります。
また、他人が所有する月極駐車場を利用する場合には、その場所を自分が使用できることを示す書類も必要になります。警察庁では、駐車場賃貸借契約書の写しや保管場所使用承諾証明書などを例として挙げています。
駐車場の変更届ではどのような書類が必要?
保管場所の変更届出では、基本となる自動車保管場所届出書に加え、その駐車場を使用できることを示す書類、所在図、配置図などを準備します。具体的な必要書類は保管場所の所有関係などによって変わります。
自分が所有する土地や建物を車庫として利用する場合には、保管場所使用権原疎明書面、いわゆる自認書を利用します。他人の土地を借りている場合には、駐車場賃貸借契約書の写しや保管場所使用承諾証明書などが利用できます。
届出先は、原則として新しい保管場所の位置を管轄する警察署です。警察庁によれば保管場所届出自体の届出手数料はありません。また、対象となる手続きについてはe-Gov電子申請を利用できる場合もあります。[参照:警察庁「自動車の保管場所届出」]
変更届を出さなくても「バレなければ大丈夫」と考えるのは危険
保管場所の届出について、「実際に確認される機会があるのか」「届出をしなくても分からないのではないか」と考える人もいるかもしれません。しかし、法令上必要とされている手続きについては、発覚するかどうかを基準に判断するべきではありません。
車に関する情報は、住所変更、名義変更、車検、売却・買い替え、事故や警察への届出など、さまざまな場面で確認される可能性があります。また、旧駐車場をすでに解約しているのに、登録上の保管場所に関する手続きを放置していれば、実際の保管状況との食い違いが長期間残ることになります。
さらに、自動車の保管場所に関する法律には届出義務や罰則に関する規定があります。「見つからなければ問題ない」という発想ではなく、必要な届出に該当するのであれば早めに手続きを済ませるのが安全です。
変更から時間がたってしまった場合はどうする?
本来必要な変更手続きを忘れていて、後から気付くこともあります。その場合、さらに放置するのではなく、新しい保管場所を管轄する警察署に事情を伝えて手続き方法を確認するのが現実的です。
たとえば「数か月前に月極駐車場を変更したが、保管場所の変更届が必要だと知らなかった」という場合には、現在の車検証や駐車場契約書など手元の情報を準備したうえで警察署へ相談すると、必要となる手続きや書類を確認しやすくなります。
また、軽自動車は普通自動車と制度が一部異なり、使用の本拠の位置によって届出の要否も変わります。普通車なのか軽自動車なのか、駐車場だけの変更なのか住所変更も伴うのかによって必要な対応が異なるため、判断に迷う場合は自己判断で放置しないことが大切です。
まとめ:駐車場を変えたら保管場所の手続きも確認しよう
車の駐車場を変更した場合、単に月極駐車場の契約を切り替えるだけで手続きがすべて終わるとは限りません。登録自動車では、住所や所有者などを変更せず保管場所だけを変更した場合にも、原則として保管場所の変更届出が必要です。
一方、引っ越しなどで自動車の使用の本拠まで変わった場合には、保管場所証明申請など別の手続きが必要になることがあります。また、地域や車種によって制度の適用が異なるケースもあります。
「届出をしなくても分からないか」という観点ではなく、現在の車の使用の本拠と実際の保管場所を整理し、必要な手続きを確認することが重要です。迷った場合には、新しい保管場所を管轄する警察署へ問い合わせれば、自分のケースで必要な手続きを確認できます。