既存キャラクターをフェルトで手作りしてプレゼントするのは著作権侵害?自作グッズ・二次創作の注意点を解説

ポケモンやちいかわなど、好きなキャラクターをモチーフにフェルトのキーホルダーやマスコットを手作りしたくなることがあります。自分で楽しむだけでなく、完成した作品を友人にプレゼントしたいと考える人もいるでしょう。

ここで気になるのが著作権です。特に「販売しなければ自由に作ってよい」「お金を取らなければ著作権侵害にならない」という理解は必ずしも正確ではありません。著作権では、営利・非営利だけではなく、何を作り、誰がどの範囲で利用し、公開や配布をするのかなどを分けて考える必要があります。

この記事では、日本の著作権法と文化庁が公表している情報をもとに、既存キャラクターの自作グッズ、私的使用、友人へのプレゼント、販売、SNSへの投稿などの違いを整理します。なお、個別の作品が実際に著作権侵害となるかどうかは具体的事情によって異なるため、以下は一般的な考え方として確認してください。

キャラクターをフェルトで再現すると著作権の問題が生じることがある

漫画・アニメ・ゲームなどに登場するキャラクターについては、単なる「キャラクターというアイデア」ではなく、具体的に描かれたイラストなどの創作的な表現が著作権によって保護される場合があります。文化庁も、キャラクターの具体的なイラストなどについて著作権が発生すると考えられることを説明しています。

そのため、公式イラストを参考にして、顔・体形・模様などを再現したフェルトマスコットを制作する場合、内容によっては著作物の「複製」や「翻案」に関係する可能性があります。紙にコピーする行為だけが複製ではない点には注意が必要です。

例えば、公式イラストを見ながら、同じ外見になるようフェルトを切って縫い合わせてキーホルダーを制作するケースです。素材が紙からフェルトに変わったからといって、著作権について必ず自由になるわけではありません。

一方で、著作権法には一定の条件で権利者の許諾なしに著作物を利用できる例外も設けられています。そこで重要になるのが「私的使用」です。文化庁の著作権に関する解説は[参照]から確認できます。

自分で楽しむために作る場合は「私的使用」が重要になる

著作権法第30条では、著作物について「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」において使用することを目的とする場合、一定の例外を除き、使用する本人が複製できることを定めています。

つまり、既存キャラクターを使ったものを制作した瞬間、どのような場合でも直ちに違法になる、という単純な仕組みではありません。文化庁も二次創作について、ガイドラインがない場合でも「個人的に楽しむ範囲」での二次創作について説明する一方、SNSなどへの公開は私的利用の範囲外になることに注意を促しています。

例えば、自宅で趣味としてキャラクターのフェルトマスコットを1個作り、自分の部屋に飾ったり自分のバッグにつけたりして楽しむケースは、販売目的で大量に制作するケースとは大きく事情が異なります。

ただし、「自分で作ったものだから何をしても自由」という意味ではありません。完成後に販売、配布、インターネット公開などをすると、制作時とは別の著作権上の問題が生じる可能性があります。著作権法第30条の条文についてはe-Gov法令検索[参照]で確認できます。

友人へ無料でプレゼントする場合はどう考える?

友人へのプレゼントは少し判断が難しくなります。私的使用として認められる範囲は本人だけに限定されるとは限らず、著作権情報センター(CRIC)は「自分自身や家族、ごく親しい少人数の友人など限られた範囲内」で使用する目的の場合を私的使用の説明例として挙げています。

したがって、非常に親しい友人1人に趣味として手作りしたものを渡すケースと、不特定多数の人へ何十個も無料配布するケースを同じように考えることは適切ではありません。「無料だから必ず合法」ではなく、利用する人の関係性や人数、制作目的、配布方法なども重要になります。

例えば、親しい友人の誕生日にフェルト作品を1個制作して個人的に渡す場合は、イベント会場で知らない人100人へ同じキャラクターグッズを無料配布する場合とは性質が大きく異なります。後者について「お金を受け取っていないから私的使用」と判断するのは危険です。

また、「家庭内その他これに準ずる限られた範囲」が具体的にどこまで含まれるかは、人数だけで機械的に決まるものではありません。友人へのプレゼントなら何人まで必ず大丈夫、といった明確な人数基準が法律に書かれているわけでもないため、境界的な利用については慎重に判断する必要があります。私的使用についての一般的な説明は著作権情報センター[参照]でも確認できます。

「販売しなければ大丈夫」とは限らない理由

著作権を考える際によくある誤解が「利益を出さなければ著作権侵害にはならない」というものです。実際には、非営利であることだけで著作物を自由に利用できるわけではありません。

例えば、キャラクターを再現したキーホルダーを大量に制作し、イベント参加者へ無料配布したり、不特定多数へ郵送したりする場合です。「販売価格0円」であっても、それだけを理由に私的使用になるわけではありません。

文化庁も、二次創作をインターネットで公開する場合には、原則として権利者の許可が必要になることを説明しています。また、ファン活動として事実上黙認されているケースがあったとしても、黙認と正式な許諾は同じではありません。

そのため、判断するときには「お金を取るか」だけではなく、私的な範囲なのか、不特定・多数の人に広げるのか、インターネットで公開するのか、権利者のガイドラインで認められているのかという視点を持つことが大切です。

SNSに完成品の写真を投稿するときにも注意が必要

自宅で楽しむための制作と、完成した二次創作物をSNSへ掲載することは分けて考える必要があります。著作権法上の私的使用の例外は、あらゆる利用行為を自由にする規定ではありません。

文化庁は、SNSへの公開について私的利用の範囲外となり、公衆送信権などを侵害する可能性があると説明しています。そのため、「作ることが許される範囲だったのだから、InstagramやXなどへ自由に写真を掲載できる」とは限りません。

もっとも、作品によっては権利者がファンアートや二次創作について公式ガイドラインを公開し、一定条件でSNSへの投稿などを認めている場合があります。その場合はガイドラインの対象作品、利用できる範囲、営利利用の可否、禁止事項などを確認することが重要です。

二次創作に関する文化庁の基本的な説明では、まず権利者が定めたルールやガイドラインを確認することが推奨されています。公式ルールが存在する場合には、一般論だけで判断せず、そのルールを優先して確認するとよいでしょう。

販売・大量配布・受注制作は特に慎重な確認が必要

フリマアプリ、ハンドメイド販売サイト、イベントなどで既存キャラクターを再現した自作グッズを販売する場合、単純な私的使用とは異なります。権利者の許諾や公式ガイドラインによって認められていない利用であれば、著作権などの問題になる可能性があります。

また、「材料費だけ」「利益はほぼゼロ」「知人から頼まれて作っただけ」といった事情があっても、それだけで著作権上自由に利用できるとは限りません。非営利なら無条件に許可不要というルールではないためです。

例えば、SNSで「好きなキャラクターをフェルトで作ります」と募集して注文を受け、代金と引き換えに制作するようなケースは、自宅で自分用に1個作るケースとは明確に性質が異なります。

特定作品のグッズを販売・頒布したい場合は、その作品について公式の二次創作・商品化ガイドラインがないかを確認し、必要なら権利者へ許諾を求めるのが安全です。文化庁による他人の著作物を利用するときの基本的な確認方法は[参照]で公開されています。

自作キャラクターグッズを作る前のチェックポイント

既存キャラクターを題材に手芸を楽しむ場合は、制作から公開・配布までをひとまとめに考えず、それぞれの行為を分けて確認すると理解しやすくなります。

利用方法 確認したいポイント
自分だけで楽しむ 私的使用の範囲に該当するか
家族・ごく親しい少人数に渡す 家庭内その他これに準ずる限られた範囲といえるか
多数へ無料配布する 無料でも私的使用とは限らないため要注意
SNSに写真を投稿する 公衆送信や二次創作ガイドラインを確認
販売・受注制作する 権利者の許諾・ガイドラインを特に慎重に確認

さらに、キャラクターによって権利者や公式ルールは異なります。同じ「アニメやゲームのキャラクター」であっても、ある作品で認められている利用方法が別の作品でも認められるとは限りません。

迷った場合には、まず公式サイトの利用規約や二次創作ガイドラインを確認します。それでも判断できず、販売など権利上のリスクが大きい利用を予定している場合は、著作権に詳しい弁護士など専門家への相談も選択肢になります。

まとめ:自分用・友人へのプレゼント・販売では著作権上の考え方が異なる

既存キャラクターをフェルトで再現する場合、キャラクターの具体的な表現には著作権が認められる可能性があるため、「手作りだから著作権とは無関係」というわけではありません。一方、著作権法には個人的・家庭内などの限られた範囲で利用するための私的使用という例外があります。

そのため、自分で楽しむために1個作る行為、親しい少人数の範囲でプレゼントする行為、不特定多数へ配布する行為、SNSへ公開する行為、販売する行為は、それぞれ分けて考えることが重要です。特に「無料なら全部OK」「作った時点ですべてアウト」という二択で理解しないことがポイントです。

最も安全なのは、作品ごとの公式ガイドラインを確認し、その範囲内でファン活動を楽しむことです。著作権のルールや公式ガイドラインは変更されることもあるため、実際に制作・公開・頒布するときには最新情報を確認しましょう。

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