生活保護だと弁護士に冷たくされる?法テラスの自己破産で厳しく質問される理由と対処法

法テラスを利用して自己破産を依頼した際、担当弁護士から厳しい口調で質問されたり、細かな経歴まで確認されたりすると、「生活保護だから軽く扱われているのでは」「費用の安い依頼だから面倒がられているのでは」と感じることがあります。

しかし、生活保護受給者だから弁護士が素っ気なく対応するのが一般的、という制度上の根拠はありません。法テラスの民事法律扶助は、経済的に余裕がない人が法的サービスを利用できるようにするための公的制度です。

一方、自己破産では財産・債務・クレジットカード・借入れの経緯などを正確に裁判所へ申告する必要があります。弁護士がこの部分を非常に厳しく確認することには、手続上の重要な理由があります。特に2回目の自己破産では、前回の免責時期を含め、より慎重な確認が必要になることがあります。

生活保護だから「お金にならない客」と扱われるとは限らない

法テラスの民事法律扶助では、一定の資力基準などを満たす人について弁護士・司法書士費用などを法テラスが立て替える仕組みがあります。生活保護受給者については、事件進行中の立替金の償還が猶予される場合があり、事件終了後には条件を満たせば償還免除を申請できる場合もあります。[参照:法テラス 民事法律扶助業務]

つまり、法テラス案件は「弁護士が無償で善意だけで仕事をしている」という仕組みではありません。利用者と受任する弁護士等、法テラスとの間で援助に関する契約を結んで事件を進めます。

したがって、担当者の態度が厳しいことから直ちに「生活保護だから」「報酬が少ないから」と理由を特定することはできません。弁護士によって話し方や説明の丁寧さに個人差があることと、制度上の扱いは分けて考える必要があります。

クレジットカードの申告漏れに弁護士が厳しくなる理由

自己破産で特に重要なのが、債権者・借入れ・財産などについて正確な情報を申告することです。裁判所も、わざと債権者を正しく申告しなかったり、財産を隠したり、破産管財人の調査に虚偽の回答をしたりする行為が免責に影響する場合があると説明しています。[参照:大阪地方裁判所 破産・免責に関するQ&A]

そのため弁護士から「ほかにカードはありませんか」「借入先は本当にこれですべてですか」「忘れている財産はありませんか」と繰り返し確認されることがあります。これは依頼者を犯罪者扱いしているというより、申立書に重大な漏れを残したまま裁判所へ提出することを防ぐ意味があります。

例えば使っていないクレジットカードだったため本人が重要ではないと思って伝え忘れたケースでも、弁護士側には単なる失念なのか、ほかにも申告されていない情報があるのか分かりません。そのため「今の段階ですべて教えてください」という強い確認になることがあります。

「これ以上隠したら辞任する」と言われる意味

弁護士から「これ以上隠していたら辞任する」と言われると非常に強い表現に聞こえます。しかし自己破産手続では、依頼者から正確な情報を得られなければ、弁護士が適切な申立書を作成すること自体が難しくなります。

裁判所の案内でも、破産・免責申立書等へ虚偽の事実を記載することや、裁判所・破産管財人の調査に協力しないことなどが問題となり得ることが説明されています。[参照:裁判所 破産手続のあらまし・申立書記入要領]

もちろん、単純な記憶違いや伝え忘れと、意図的な財産・債務の隠蔽は同じではありません。忘れていた情報に気付いた場合は、後からでも速やかに担当弁護士へ伝えることが重要です。「言ったら怒られるから黙っておこう」という対応のほうが、結果的には問題を大きくする可能性があります。

2回目の自己破産では前回の免責時期も重要

2回目の自己破産だから、それだけで手続ができなくなるわけではありません。ただし、過去の免責からどれくらい期間が経過しているかは重要です。

裁判所の破産手続に関する案内では、免責の申立て前7年以内に免責を受けたことがある場合などが免責不許可事由として説明されています。ただし、免責不許可事由が存在すれば必ず免責されないという意味ではなく、事情によって裁判所が裁量で免責を許可する場合もあります。[参照:大阪地方裁判所]

そのため2回目の場合、前回の破産時期、今回再び債務を負った経緯、生活状況などについて、初回以上に細かく事情を確認される可能性があります。厳しい質問のすべてを「生活保護だから」と結び付けるのは適切ではありません。

なぜ自己破産なのに学歴まで聞かれるのか

自己破産と学歴は一見すると無関係に思えます。しかし、裁判所へ提出する破産関係書類では経歴を記載する場合があります。実際に裁判所が公開している破産事件用の陳述書の例には「最終学歴」や、その後の職歴、現在の職業などを記載する欄があります。[参照:鳥取地方裁判所 破産・免責申立事件の陳述書]

裁判所によって使用する書式や運用には違いがありますが、学歴や職歴を質問されたことだけをもって「自己破産と無関係な個人情報を興味本位で聞かれた」とは限りません。破産に至る生活・就労・収入の経過を整理するために必要な質問である可能性があります。

理由が分からず不安な質問については、「これは申立書に必要な情報でしょうか」と確認して構いません。質問の目的が分かるだけでも、取り調べを受けているような感覚は軽減しやすくなります。

生活保護受給者にも法テラスの支援制度が用意されている

生活保護を受けている人は、法テラスの制度から排除される存在ではありません。むしろ民事法律扶助では、生活保護受給者について立替金の償還猶予や、事件終了後の償還免除の仕組みが用意されています。

法テラスによると、生活保護受給者は事件終結まで立替金償還の猶予を受けられる場合があります。また事件終了後も生活保護を受給しているなど一定の条件を満たせば、申請によって償還免除を受けられる場合があります。なお、生活保護を受けていれば自動的に必ず免除される制度ではありません。[参照:法テラス 民事法律扶助手続の流れ]

したがって「生活保護だから弁護士へ相談する資格がない」「お金を払えないから我慢しなければならない」と考える必要はありません。一方で、法テラスを利用している場合でも、破産手続に必要な資料提出や事実確認には協力する必要があります。

弁護士の口調が怖くて十分に話せない場合の対処法

厳しい確認が必要なことと、依頼者が恐怖を感じて何も話せなくなることは別問題です。必要な質問であっても、萎縮して重要事項を伝えられなくなれば自己破産手続にも悪影響を及ぼしかねません。

口頭で話すことが難しい場合には、事前に伝える内容を紙へ整理する方法があります。例えば「現在持っているカード」「過去に利用した金融会社」「銀行口座」「保険」「所有物」「過去の破産時期」「今回借金が増えた経緯」などを一覧にして渡せば、言い忘れを減らせます。

また担当弁護士へ「強い口調で質問されると緊張して回答を忘れてしまうので、確認事項を一つずつ聞いてほしい」「重要事項は書面でも確認したい」と具体的に伝える方法もあります。必要に応じて家族等の同席が可能か相談することも考えられます。

どうしても信頼関係を築けない場合は法テラスへの相談も検討する

単に説明が厳しいというだけで直ちに担当変更できるとは限りません。また自己破産の途中で弁護士を変更すると、手続が遅れる可能性もあります。そのため、まずは担当弁護士に「質問には正直に答えたいが、強い口調だと萎縮してしまう」と伝えて改善できるか確認するのが現実的です。

それでも意思疎通が成立しない、説明を求めても必要な説明がないなど、手続を進めるうえで深刻な問題がある場合には、利用している法テラスの地方事務所へ相談する方法があります。[参照:法テラス]

ただし、担当弁護士から債権者・財産・カード・借入れなどについて厳しく確認されること自体は、自己破産という手続の性質上あり得ます。「厳しい質問をされたこと」と「生活保護を理由に差別的な扱いを受けたこと」は分けて考える必要があります。

まとめ:生活保護だから冷たいとは限らず、自己破産では厳しい事実確認が必要

生活保護受給者だから弁護士が素っ気なく対応するのが普通、あるいは「お金にならない客」として扱われるのが当然ということはありません。法テラスには経済的に余裕のない人が法的支援を受けるための民事法律扶助制度があり、生活保護受給者についても償還猶予・免除の仕組みがあります。

一方、自己破産では債権者、クレジットカード、財産、借入れの経緯などについて正確な申告が極めて重要です。2回目の破産なら過去の免責時期なども確認する必要があります。また学歴・職歴についても、裁判所へ提出する陳述書等で経歴を確認する場合があるため、必ずしも無関係な質問とはいえません。

大切なのは、怒られることを恐れて情報を隠さないことです。伝え忘れに気付いたら速やかに訂正し、口頭で説明しにくければ一覧表やメモを利用します。そのうえで担当者の口調によって必要なコミュニケーション自体が困難になっている場合には、その事情を弁護士へ伝え、それでも改善しない場合は利用している法テラスへ相談するのが現実的な対応です。

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