彼女・恋人に貸したお金が返ってこないと詐欺になる?被害届と7万円を取り戻すための法的手続きを解説

恋人や友人から「給料日に必ず返す」「旅行代を一時的に貸してほしい」などと言われてお金を渡したものの、返済日を過ぎても返してもらえず、最終的にLINEまで無視されるようになるケースがあります。

このような場合に重要なのは、返済されないことと詐欺罪が成立することは同じではないという点です。一方で、恋人同士で借用書を作っていなかったとしても、貸したお金の返還を民事上請求できないとは限りません。

返済を求めるのであれば、感情的な連絡を繰り返すより、LINE、送金記録、返済日の約束などの証拠を保存し、催告から支払督促・少額訴訟などへ段階的に進めることが重要です。

貸した7万円が返ってこないだけでは直ちに詐欺罪とはならない

金銭を貸した相手が約束の日までに返済しなかったとしても、それだけで直ちに刑事事件の詐欺になるわけではありません。単純な貸金の未返済であれば、基本的には貸した側と借りた側との民事上の金銭トラブルとして返還を求めることになります。

詐欺として問題になるのは、単に後から返済できなくなった場合ではなく、金銭を受け取る際の欺罔行為など刑法上の詐欺の要件を満たす場合です。そのため「返すと言ったのに返さない」という結果だけから、最初から返す意思がなかったと断定することはできません。

例えば、本当に返済する予定だったものの給料日前後に別の支払いが重なって返せなくなったケースと、最初から返済する意思や能力について虚偽の説明をして金銭を交付させたケースでは、法的な評価が異なり得ます。詐欺に当たる具体的な事情があると考える場合は、保存した証拠を持参して警察や弁護士へ相談することになります。

「返す」と何度もLINEしている記録は重要な証拠になる

借用書を作っていなくても、それだけで貸金契約が無効になるわけではありません。法テラスも、金銭消費貸借契約は書面を作成していなくても成立し得ると案内しています。[参照:法テラス 債務・貸付]

ただし裁判などで返済を求める場合には、「お金を渡したこと」と「贈与ではなく返してもらう約束だったこと」を証明できる資料が重要になります。

例えば「7万円貸して」「8月25日に必ず返す」「今日返す約束だったお金」「29日の20時までには振り込む」といったやり取りが残っているなら、貸金や返済約束を説明する資料になり得ます。銀行振込や電子決済で渡している場合は、その送金履歴も保存しておきます。

LINEは相手がメッセージを削除したり、アカウントを利用できなくなったりする可能性もあるため、トーク画面だけに残しておかずスクリーンショット等で保存し、可能なら日時や前後関係が分かる形で保全しておくとよいでしょう。

まず「返済期限を決めた催告」を行う

返済期限を過ぎて何度も約束が破られている場合、「いつ返してくれる?」という連絡を延々と続けるより、請求内容を整理して明確な期限を設ける方法があります。

例えば、貸付日、貸した金額、当初の返済約束日、現在の未返済額を整理したうえで、「未返済の7万円について○月○日までに指定口座へ返済してください」という形で請求します。相手の住所が分かる場合には、必要に応じて内容証明郵便による催告も検討できます。

法テラスも、貸したお金が返ってこない場合の方法として、内容証明郵便などによる催告を挙げています。それでも応じない場合には、支払督促、民事調停、民事訴訟、少額訴訟などの法的手続きを利用する方法があります。[参照:法テラス 貸しているお金を返してもらえない場合]

7万円なら少額訴訟という選択肢がある

請求額が7万円程度で相手が任意に支払わない場合、裁判所を利用する方法として少額訴訟が候補になります。少額訴訟は60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる手続きです。

裁判所では「貸金」用の少額訴訟の訴状書式と記載例も公開されています。[参照:裁判所 少額訴訟で使う書式]

少額訴訟を利用する場合にも、相手の氏名や住所、貸付額、貸付日、返済期限などを整理する必要があります。LINEのやり取り、振込記録、返済を約束したメッセージなどは証拠として整理しておきます。

なお、少額訴訟を起こせば自動的に現金が戻ってくるわけではありません。判決等を得ても相手が支払わない場合には、財産を差し押さえる強制執行が別途必要になることがあります。

支払督促を利用する方法もある

相手が借りた事実や金額そのものは争わないと思われる場合には、簡易裁判所の「支払督促」も選択肢です。貸金などの金銭請求に利用される手続きで、裁判所はオンラインによる申立ての仕組みも案内しています。[参照:裁判所 督促手続オンラインシステム]

支払督促では、相手から適法な異議が出ると訴訟手続へ移行します。そのため、相手が「借りていない」「プレゼントとしてもらった」などと全面的に争う可能性が高い場合には、その後の訴訟も見据えて証拠を準備しておく必要があります。

7万円という金額では弁護士へ全面的に依頼すると費用とのバランスが問題になることもあるため、自分で利用できる裁判所の手続きについて窓口で案内を受けたり、法テラス等へ相談したりする方法があります。

相手の住所が分からない場合は早めに相談する

本名、生年月日、銀行口座、最寄り駅、通っていると思われる大学の最寄り駅などを知っていても、民事手続きを進める際には相手方を正確に特定し、裁判所から必要な書類を送達できる住所が問題になります。

「最寄り駅を知っている」だけでは住所そのものではありません。また、大学へ押しかけたり、友人や家族へ借金の事実を広めたり、SNSへ氏名・口座・学校などを公開したりする行為は、新たなトラブルを生む可能性があります。

住所が分からず法的手続きをどう進めればよいか困っている場合には、弁護士・司法書士等へ相談して適法な方法を確認するのが安全です。法テラスでは法的トラブルに関する窓口案内も行っています。[参照:法テラス]

警察へ相談するなら「返してくれない」以外の事情も整理する

詐欺の疑いがあるとして警察へ相談すること自体は可能です。ただし「7万円を貸したが返済期限を過ぎても返してくれない」という事実だけでは、民事上の債務不履行なのか、最初から欺いて金銭を得た刑事事件なのかを区別できません。

相談するのであれば、貸付前から現在までのLINEを時系列で保存し、金銭を要求された理由、返済すると説明された内容、実際の送金記録、その後の返済約束、連絡が取れなくなった経緯などを整理します。貸付時の説明そのものに虚偽があったことを示す具体的資料があれば、それも持参します。

警察への相談と、貸した7万円を取り戻すための民事上の請求は別の問題として考えることが重要です。警察へ相談しただけで貸金が自動的に回収されるわけではないため、返還請求については催告・支払督促・少額訴訟なども並行して検討します。

これ以上追加でお金を渡さないことも重要

返済が遅れている状況で、「返済するためにあと1万円必要」「振込手数料が必要」「カードの支払いを済ませれば返せる」などと追加の送金を求められても、安易に応じないことが大切です。

すでに返済期限を何度も延期しているのであれば、新たにお金を渡すより現在の債務額を確定させます。また、プレゼントとして買った物と「後で返す」という約束で立て替えた金銭は法的な性質が異なり得るため、一緒にせず整理したほうが分かりやすくなります。

例えば美容院代やサンダル代について「買ってあげた」のか「立て替えただけで後日返す約束だった」のかが曖昧なら、旅行代として明確に「7万円を貸し、○日に返す」と約束した部分とは分けて証拠を整理します。

まとめ:未返済だけで詐欺とは断定できないが、貸金として請求できる可能性がある

恋人へ貸したお金が返済期限を過ぎ、LINEを無視されているとしても、それだけで詐欺罪が成立すると断定することはできません。詐欺として扱われるには、金銭を受け取った時点の説明や意思を含め、刑事上の要件を満たす事情が必要になります。

一方、借用書がなくても貸金契約が直ちに無効になるわけではありません。「7万円貸してほしい」「8月25日に返す」「返す約束だったお金」「○日までに振り込む」といったLINEと送金記録が残っているなら、削除せず証拠として保存しておくことが重要です。

返済されない場合は、期限を明示した催告を行い、それでも支払われなければ支払督促や少額訴訟などを検討できます。詐欺の疑いを示す具体的事情がある場合には証拠を整理して警察へ相談し、貸金回収については裁判所や法テラス、弁護士・司法書士等へ相談するというように、刑事と民事を分けて進めるのが現実的です。

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