PayPayで「会う約束」を理由にお金を受け取り会わなかったら詐欺?未成年・援助交際が絡む場合の法的リスクと対処法

SNSなどで知り合った相手から「会うこと」を条件にPayPayでお金を受け取り、その後会わなかった場合、単なる約束破りだけで終わるとは限りません。最初から会う意思がないのに、会う意思があるように装って相手に送金させたのであれば、金額が数千円程度でも詐欺に当たる可能性が問題になります。

さらに、やり取りの内容がいわゆる援助交際で、受け取った側が18歳未満だった場合には、送金した側についても児童買春・児童ポルノ禁止法や各都道府県の青少年保護育成条例などが問題になる可能性があります。つまり、「相手も違法なことをしようとしていたから警察には行けない」「PayPayなら身元が分からない」と単純に考えるのは危険です。

この記事では、PayPayによる少額送金と詐欺の関係、相手が警察へ相談した場合に考えられること、未成年の場合の扱い、そしてトラブルを拡大させないために取るべき対応を整理します。

会う約束でPayPayを受け取り会わなかったら詐欺になる?

ポイントになるのは、単に「結果的に会えなかった」のか、最初から会うつもりがないのに相手を信じ込ませ、お金を送らせたのかという違いです。刑法上の詐欺では、人を欺いて財物を交付させるなどの行為が問題になります。

例えば、本当に会う予定だったものの、怖くなって直前にやめたというケースと、最初から会うつもりがなく「3000円送ってくれたら会う」などと伝え、送金された直後に連絡を絶つケースでは事情が異なります。後者では、最初から金銭を受け取るために相手をだましたのではないかという点が問題になり得ます。

一方で、チャットの一部分だけを見て直ちに詐欺罪が成立すると断定できるものでもありません。実際の判断では、送金前後のメッセージ、送金目的、約束の内容、会う意思があったか、送金後に何をしたかなど具体的な事情が重要になります。

3000円程度の少額なら警察は動かない?

金額が少ないことと、犯罪が成立するかどうかは別問題です。「3000円なら事件にならない」という一律の基準があるわけではありません。被害を訴える側が警察へ相談したり、被害申告をしたりすること自体は可能です。

もちろん、相談したら必ず逮捕されるという意味でもありません。警察がどのように対応するかは、証拠や当事者の年齢、行為の内容、継続性など個別の事情によって異なります。そのため「少額だから絶対に大丈夫」「通報されたら必ず逮捕」という両極端な説明は正確ではありません。

また、同様の方法で複数人から繰り返し送金を受けていた場合には、一度だけのトラブルとは見られ方が変わる可能性があります。金額だけを基準にリスクを判断するべきではありません。

PayPayで受け取れば身元は分からないのか

PayPayによる個人間送金は、捜査機関から完全に追跡不能な匿名送金サービスではありません。PayPayは、捜査機関などから法令に基づく情報開示要請を受けた場合の対応について公式に説明しています。

PayPayが公表している対象情報には、アカウントの本人確認情報、銀行口座情報、サービス利用履歴などが含まれます。また「個人間送金機能を悪用した詐欺」についても、情報開示要請に対応する場合がある事例として明記されています。[参照] PayPay「捜査機関等からの情報開示要請への対応」

したがって、表示名を本名以外にしている、SNSのアカウントを削除した、相手をブロックした、といった事情だけで「警察にも特定できない」と考えることはできません。逃げたり証拠を消したりする方向ではなく、問題をこれ以上大きくしない対応を考えることが重要です。

相手はPayPay上から取引を報告することもできる

PayPayには、「送る・受け取る」を利用した取引について、詐欺などの疑いがある場合に報告する機能があります。公式ヘルプによると、条件を満たす過去の取引についてアプリから報告できます。[参照] PayPay「詐欺等の疑いがある送る・受け取るを利用した取引を報告したい」

PayPayは2026年8月にも「送る・受け取る」機能を利用した詐欺やトラブルについて注意喚起しており、SNS上だけでつながった相手との取引を避けるよう案内しています。[参照] PayPay「PayPayアカウントの不正利用や詐欺にご注意ください」

なお、自分の意思でPayPay残高を送った取引は、PayPayの補償制度では原則として対象外と案内されています。しかし、補償されないことと、警察への相談や犯罪の成否は別問題です。「自分から送ったお金だから被害申告できない」とは限りません。

相手が援助交際目的だった場合はどうなる?

ここは非常に重要です。送金した成人側が、18歳未満の相手との性的な行為を目的として金銭を提供する約束をしていた場合には、成人側にも重大な法的問題が生じる可能性があります。児童買春・児童ポルノ禁止法では、「児童」は18歳未満とされています。

ただし、相手側に問題となる行為があった可能性があるからといって、自分側の行為が自動的に合法になるわけではありません。一つの出来事の中で、それぞれの当事者について別々の法的問題が検討されることがあります。

例えば「相手は未成年者との性的行為を目的としていたのだから、自分が最初から会う気もなくお金だけ受け取っても問題ない」という理屈にはなりません。逆に、未成年者側も相手から脅されたり、性的画像を要求されたり、実際に会うよう迫られたりしているのであれば、一人で解決しようとせず大人や公的機関に相談することが重要です。

未成年なら詐欺をしても処罰されない?

「未成年」というだけで何をしても刑事上の問題にならないわけではありません。特に年齢によって法律上の扱いが異なります。

警察庁の用語では、犯罪行為をした14歳以上20歳未満の者を「犯罪少年」、刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の者を「触法少年」としています。つまり、14歳以上の未成年者については犯罪少年として少年事件の手続が問題になる可能性があります。14歳未満についても、何も対応されないという意味ではありません。[参照] 警察庁「警察白書・凡例」

したがって「未成年だから捕まらない」「18歳未満なら警察は相手の成人だけを調べる」と決めつけることはできません。正確な扱いは本人の年齢や具体的な行為によって変わります。

逃げる・アカウントを消す・証拠を消すのは解決策にならない

トラブルになると、SNSを削除したり、相手をブロックしたり、PayPayのアカウントを消したりすれば終わると考えてしまいがちです。しかし、これは安全な解決方法とはいえません。

特に警察への相談を心配している状況で、チャット履歴などを意図的に消して「分からないようにする」方向へ動くことは勧められません。自分に有利な事情を示すメッセージまで失う可能性があります。

SNSのやり取り、PayPayの送受金履歴、相手から届いたメッセージなどは消さずに保存しておくのが基本です。性的な画像など違法性が疑われるデータについては、むやみに転送・共有せず、警察や弁護士など専門家の指示を受けるのが安全です。

すでにお金を受け取ってしまった場合の対応

最初に考えたいのは、さらに金銭を要求したり、同じ行為を繰り返したりしないことです。問題が起きた後に「あと5000円払えば会う」「警察に言ったら秘密をばらす」などと要求を重ねれば、別の深刻な法的問題につながる可能性があります。

金銭の返還を検討する場合も、相手が成人で性的な目的を持って接触してきたケースでは、未成年者が一人で相手と直接会って現金を返すべきではありません。相手に住所や学校など新たな個人情報を渡すことも避けたほうが安全です。

保護者など信頼できる大人に事情を話し、必要に応じて警察や弁護士へ相談したうえで対応方法を決めるのが安全です。相手から「家まで行く」「学校にばらす」「写真を公開する」などと脅されている場合には、要求に応じ続けるのではなく、そのメッセージを保存して警察へ相談することが重要です。

未成年者が相談できる場所

家族に話しにくい事情がある場合でも、相談先はあります。法テラスには未成年者向けの案内があり、お金、家族、学校など周囲に話しにくい問題について相談窓口を案内しています。必要な場合には弁護士を探すための支援も受けられます。[参照] 法テラス「未成年の方」

相手から脅迫されている、会うことを強要されている、性的な画像を要求されている、自宅や学校へ行くと言われているなど、身の危険を感じる状況なら警察への相談も選択肢になります。今まさに危険が迫っている緊急時には110番、それ以外の警察相談では警察相談専用電話「#9110」が利用できます。

重要なのは「どうすれば捕まらずに逃げられるか」ではなく、これ以上問題を増やさず、安全を確保しながら適切に解決することです。特に未成年者と成人との性的なやり取りが絡むケースは、当事者同士だけで解決しようとすると別のトラブルへ発展するおそれがあります。

まとめ|PayPayの少額送金でも「逃げれば大丈夫」とは考えない

会う意思が最初からないのに「会うからお金を送って」などと相手を信じ込ませてPayPay残高を受け取った場合、少額であっても詐欺に当たる可能性が問題になります。3000円だから犯罪にならない、未成年だから何も起きない、という一律のルールはありません。

また、PayPayは捜査機関等から法令に基づく情報開示要請を受けた場合の対応を公表しており、個人間送金を悪用した詐欺も例示しています。そのため、ブロックやアカウント削除だけで追跡不能になると考えるべきではありません。

一方、送金した成人が18歳未満の相手との性的行為を目的としていた場合には、成人側にも別の法的問題が生じる可能性があります。どちらか一方に問題があるから、もう一方の行為が自動的に合法になるという関係ではありません。

すでにトラブルになっているなら、追加の金銭要求や証拠削除、相手との直接対面は避け、メッセージや送金履歴を保存し、信頼できる大人・警察・弁護士などへ相談することが現実的な対応です。未成年者の場合には、問題を一人で抱え込まず、安全確保を最優先に進めることが大切です。

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