SHEINなどで、自分の好きな写真をもとにオリジナルのダイヤモンドアートを作れる商品を見ると、「Google画像検索で見つけた写真を使っても大丈夫なのか」と疑問に思うことがあります。TikTokやInstagramでは、芸能人、アニメキャラクター、イラストなどを使った作品も見かけるため、一般的に許されているように感じるかもしれません。
しかし、Google画像検索に表示されている写真やイラストは、自由素材とは限りません。Googleは画像を探すための検索サービスであり、検索結果に表示されたからといって著作権がなくなったり、自由に加工・複製できるようになったりするわけではありません。
一方で、日本の著作権法には「私的使用のための複製」という例外もあるため、自宅で個人的に楽しむ場合と、業者へ画像を送って制作してもらう場合、完成品をTikTokへ投稿する場合、販売する場合では法律上の考え方が異なります。本記事では、この違いをできるだけ分かりやすく整理します。
Googleで拾った画像=著作権フリーではない
最初に押さえておきたいのは、「Googleに出てきた画像」と「自由に使える画像」はまったく別だということです。
写真を撮影した人やイラストを描いた人などには、創作された時点で原則として著作権が発生します。ウェブサイトやSNSで公開されている画像も、著作権者が第三者へ自由な利用を認めているとは限りません。
例えばプロカメラマンが撮影した芸能人の写真をニュースサイトが掲載していて、その画像がGoogle画像検索に表示されたとしても、「Googleから拾ったから自由に使える」ということにはなりません。画像の利用条件は元サイトや権利者によって決まります。
ダイヤモンドアート化も「画像を使った利用」になる
写真やイラストをダイヤモンドアートへ変換する場合、元画像をそのまま紙へ印刷しているわけではないため、「コピーではないのでは」と感じるかもしれません。
しかし著作権法の対象は完全に同一のコピーだけではありません。他人の著作物を複製したり、元作品の創作的な特徴を残したまま別の表現方法へ加工したりすれば、複製権や翻案権などが問題になることがあります。
文化庁も、他人の著作物を原作として加工する場合には、原則として原作者の了解が必要になると説明しています。また二次創作についても、原作品の「二次的著作物」に当たる場合には原則として複製権・翻案権の観点から権利者の許諾が必要としています。[参照:文化庁「ここが知りたい著作権」]
したがって、写真を小さなマスに分割して色番号へ変換し、ビーズで再現するから著作権とは無関係になる、と一律には考えられません。
自分一人で楽しむなら「私的使用」の例外がある
日本の著作権法第30条には、「私的使用のための複製」という例外があります。個人的に、または家庭内その他これに準ずる限られた範囲で利用する目的なら、一定の場合を除き、著作物を権利者の許諾なく複製できる場合があります。
文化庁も、家庭内など限られた範囲で仕事以外の目的に使い、使用する本人が複製する場合には、私的使用のための複製が認められると説明しています。インターネット上の著作物を個人的な用途でダウンロード・プリントアウトすることも、一定の条件ではこの例外の対象になります。[参照:文化庁「著作者の権利の制限」]
そのため、適法に公開されている画像を自宅で自分だけが鑑賞する目的で複製する場合には、著作権法上の私的使用が成立する余地があります。
ただしSHEINなどの業者へ画像を送る場合は単純ではない
ここがダイヤモンドアートのオーダーで特に注意したい部分です。自宅のプリンターで自分自身がコピーする場合と、画像データを外部の事業者へアップロードし、その事業者が画像を加工・印刷して商品を製造する場合では状況が異なります。
文化庁の解説では、私的使用の場合でも、使用者の指示に従って作業する者に複製作業を頼める場合があると説明されています。しかし、どのような第三者への依頼まで「本人の手足」として許されるかは、サービスの内容や複製方法などによって個別に判断される問題です。営利事業者へ画像ファイルを送り、その事業者側で画像処理・複製・製品化してもらうケースについて、「個人的に飾るだけだから必ず適法」と断定するのは安全ではありません。
外部のカスタム制作サービスを利用する場合は、自分に利用権限がある写真を使うのが最も確実です。
「自分用だから何でもOK」という意味ではない
私的使用の例外にも条件があります。例えば違法にインターネットへアップロードされた著作物だと知りながらダウンロードする行為については、一定の場合に私的使用の例外から除外される仕組みがあります。
また、私的使用が認められるのは主に「複製」などについての例外です。完成した作品を不特定多数へ公開する行為まで、私的使用として当然に許されるわけではありません。
文化庁も、私的使用のための複製はインターネットでの公衆送信などには適用されず、そうした利用には原則として権利者の許諾が必要になると説明しています。[参照:文化庁「著作権侵害対策ハンドブック」]
TikTokでみんなが投稿していても「合法」の証明にはならない
「TikTokを見ると同じことをしている人がたくさんいる」という点も、著作権を考える際には注意が必要です。
SNS上に作品が残っているからといって、権利者から許可を得ているのか、権利者が黙認しているのか、まだ見つかっていないだけなのかは外部から判断できません。また公式ガイドラインによってファンアート投稿が認められているケースもあります。
したがって、「他の人もやっている=権利者から許可されている」ではありません。交通違反をしている人が複数いるから法律上許されるわけではないのと同じで、他人の投稿数から適法性を判断することはできません。
完成したダイヤモンドアートをTikTokへ載せる場合は別問題
仮に自宅で個人的に楽しむ範囲では私的使用として認められるケースでも、完成品を撮影してTikTok、Instagram、X、YouTubeなどへ投稿すれば、利用範囲が変わります。
例えば著作権で保護されているアニメイラストをほぼそのまま再現したダイヤモンドアートを撮影し、誰でも閲覧できるSNSへ公開する行為については、私的使用だけを根拠に正当化することはできません。
文化庁も、作品の二次創作をSNSへ投稿する場合は権利者のガイドラインを確認するよう案内しています。公式が「非営利のファンアート投稿は可能」などのルールを設定している場合には、その範囲を守ることが重要です。[参照:文化庁「ここが知りたい著作権」]
芸能人・アイドルの写真なら肖像権なども関係する
Google画像検索で見つけた芸能人やアイドルの写真では、写真そのものの著作権だけを考えればよいとは限りません。
写真には撮影者の著作権があり、さらに写っている人物について肖像権や、利用方法によってはパブリシティ権などが問題になることがあります。特に商品として販売したり、広告目的に使ったりする場合には注意が必要です。
文化庁も、他人が写っている写真については肖像権などを侵害する場合があると案内しています。[参照:文化庁「他人の肖像や著作物は含まれていませんか?」]
アニメ・漫画・ゲームキャラクターも自由素材ではない
アニメの公式画像、漫画のコマ、ゲームのキャラクターイラストなども通常は著作物です。「ファンだから」「自宅に飾るためだから」というだけで、あらゆる利用が自由になるわけではありません。
ただし、作品によっては権利者が二次創作ガイドラインを公表し、「個人による非営利のファンアート」などを一定範囲で認めていることがあります。
キャラクター画像を使いたい場合には、作品名や会社名と一緒に「二次創作ガイドライン」「ファンアートガイドライン」などを検索し、公式ルールを確認するのが安全です。
ダイヤモンドアートにして販売するのはさらにリスクが高い
自宅に1枚飾る場合と、完成したダイヤモンドアートをメルカリ、フリマ、イベントなどで販売する場合では大きく事情が異なります。
販売は通常、個人的・家庭内の私的使用ではありません。権利者の許可なく人気キャラクターや他人の写真・イラストを複製・加工して商品化すれば、著作権侵害などを指摘される可能性が高まります。
「自分で何時間もかけてビーズを貼ったから自分の作品」というだけでは、元画像の権利が消えるわけではありません。文化庁も、二次的著作物になった場合でも、原作品の創作的部分については原作品の著作権者が権利を有すると説明しています。[参照:文化庁「著作権に関するよくあるご質問」]
色やサイズを変えれば著作権を回避できる?
元写真を正方形にトリミングしたり、画質を落としたり、色数を少なくしたりしても、それだけで必ず別作品になるわけではありません。
著作権侵害になるかどうかは、元作品の創作的な表現が利用されているかなどを個別に判断します。「30%変更すればOK」「色を変えればOK」といった法律上の一律な基準はありません。
ダイヤモンドアートは元画像を見た人が元作品を認識できる程度に再現することを目的とすることが多いため、「ビーズに変換したから原作品と無関係」と考えるのは避けた方がよいでしょう。
安全にダイヤモンドアートを作るならどんな画像を選ぶ?
著作権トラブルをできるだけ避けたい場合には、権利関係が明確な画像を選びます。
| 使用する画像 | 著作権面の考え方 |
|---|---|
| 自分で撮影した風景・ペット | 原則として自分が写真の著作権者なので使いやすい |
| 自分で描いたオリジナルイラスト | 他作品を模倣していなければ使いやすい |
| 家族・友人が撮影した写真 | 撮影者の許可を取るのが安全 |
| 利用許諾を得た写真 | 許諾された条件の範囲なら利用可能 |
| パブリックドメイン作品 | 著作権保護期間などを確認したうえで利用 |
| ライセンス付き素材 | 加工・外部業者への入稿が許可されているか利用規約を確認 |
| Googleで見つけただけの画像 | 利用許諾があるとは限らないため、そのまま使用しない方が安全 |
| アニメ・ゲーム公式画像 | 権利者の二次創作ガイドラインなどを確認 |
特に自分で撮影したペット、風景、料理、花などの写真なら権利関係を整理しやすいため、カスタムダイヤモンドアートとの相性がよいでしょう。
自分で撮った写真でも人物や作品が写っていれば注意
「自分が撮影した写真なら100%自由」とも限りません。例えば友人の顔を大きく撮影した写真や、美術作品を真正面から撮影した写真では別の権利が関係する場合があります。
人物が写っている場合には肖像権やプライバシーへの配慮が必要です。また絵画やキャラクター商品など他人の著作物そのものを主役として撮影した場合、自分が写真の著作権を持っていても、被写体となった作品の著作権は別に存在します。
一方、街中を撮影した際に背景へポスターやキャラクターなどが小さく偶然写り込んだケースについては、著作権法上の「付随対象著作物」の例外が適用される場合があります。文化庁も、分離が困難で軽微な構成部分となる写り込みについて一定の利用を認める制度を解説しています。[参照:文化庁「いわゆる写り込み等に係る規定の整備について」]
フリー素材でも「加工して商品を作れる」とは限らない
「フリー画像」「無料素材」と書かれている写真なら何でもダイヤモンドアートへ使える、と考えるのも注意が必要です。
素材サイトによっては、個人利用は可能でもグッズ制作は禁止、加工は可能でも素材そのものを主役にした商品化は禁止、商用利用には有料ライセンスが必要、といった条件があります。
外部サービスへ画像をアップロードして製品を作る場合は、「個人利用可」だけでなく、加工、複製、グッズ制作、第三者サービスへの入稿などが利用規約上認められているかを確認するのが安全です。
著作権者の名前を書けば使っていいわけではない
よくある誤解として、「出典を書けば著作権侵害にならない」というものがあります。しかし、作者名やURLを記載するだけで、許可のない複製や商品化が自動的に合法になるわけではありません。
著作権法には「引用」という例外がありますが、報道・批評・研究などの目的で、引用部分と自分の著作物との主従関係などの条件を満たす必要があります。
お気に入りの画像そのものをダイヤモンドアートのメインとして再現する行為は、単に出典を記載したから「引用」になるというものではありません。
Google画像検索で「ライセンス」を確認する方法もある
Google画像検索は画像の権利を与えてくれるサービスではありませんが、利用可能な素材を探す入口として使うことはできます。
検索結果から元サイトへ移動し、Creative Commonsなどのライセンスや素材サイトの利用規約を確認します。「商用利用可」「加工可」といった条件が明確なものを選び、実際のライセンスページまで確認することが重要です。
画像検索画面だけを見て判断するのではなく、誰が権利者なのか、どのような条件で利用を許可しているのかまで確認してから使うようにします。
TikTokへ制作過程を投稿したい場合は元画像の権利も確認する
ダイヤモンドアートでは、制作途中から完成までをタイムラプス動画にしてTikTokへ投稿する楽しみ方もあります。
しかし元画像に他人の著作物が使われている場合、動画を投稿すると元作品の表現もインターネット上で公開されることになります。自宅で見るだけの場合とは著作権上の利用方法が変わります。
投稿したい場合は、自作画像、投稿まで許可された素材、または権利者のファンアートガイドラインでSNS公開が認められている作品などを選ぶとトラブルを避けやすくなります。
迷ったときの判断基準
画像をダイヤモンドアートへ使ってよいか分からない場合は、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- その画像を誰が撮影・制作したのか確認する
- 自分が著作権者なら、他人の肖像など別の権利を確認する
- 他人の作品なら利用規約や公式ガイドラインを確認する
- 自宅だけで楽しむのか、SNSへ公開するのか、販売するのかを分けて考える
- 業者へ画像データを送ることまで許された利用なのか確認する
- 分からなければ権利者へ許可を取るか、別の画像を選ぶ
「Googleにあった」「TikTokでみんな使っていた」という情報ではなく、画像ごとの権利関係を基準に判断するのがポイントです。
まとめ|Google画像をそのままSHEINのダイヤモンドアートに使うのは避けるのが安全
Google画像検索で見つけた写真やイラストには、多くの場合、撮影者・イラストレーター・出版社・制作会社などの著作権が存在します。Googleに表示されていることは、ダイヤモンドアートへ自由に加工・複製できる許可を意味しません。
日本の著作権法には、個人や家庭内で楽しむための「私的使用のための複製」という例外があります。そのため、自分だけで利用する一定の複製について許諾が不要になる場合はあります。[参照:文化庁「著作者の権利の制限」]
ただし、画像をSHEINなど外部の事業者へアップロードして加工・製造してもらう場合まで必ず私的使用として認められるとは断定できません。また完成作品や制作過程をTikTokなどへ公開すれば、単なる家庭内利用とは異なり、私的使用の例外だけではカバーできなくなります。
さらに芸能人の写真なら撮影者の著作権だけでなく肖像権等、アニメ・ゲームの画像なら原作品の著作権や公式の二次創作ガイドラインも確認する必要があります。販売目的なら私的使用ではないため、さらに慎重な権利処理が必要です。
安心してダイヤモンドアートを楽しむなら、自分で撮ったペットや風景の写真、自分で描いたオリジナルイラスト、権利者から許可を得た画像、加工・グッズ制作まで認められたライセンス素材を使う方法が確実です。「他の人もやっているから」ではなく、「自分にはこの画像をこの方法で利用する権利があるか」で判断するのが、著作権トラブルを避ける基本になります。