パパ活で受け取ったお金を「全部返せ」と言われたら返金義務はある?贈与・貸金・詐欺・訴訟の違いを解説

パパ活などで継続的に会っていた相手から銀行振込や現金でまとまった金銭を受け取り、関係を終わらせようとしたところ突然「今まで渡した金を返せ」「返さなければ手続きをする」と言われるトラブルがあります。

この場合、過去に受け取ったお金を返さなければ直ちに逮捕されるわけではありません。重要なのは、そのお金が返済を約束した貸金だったのか、返還不要の贈与だったのか、特定の条件を前提として渡されたお金だったのかという点です。

「自由に使っていい」「あげる」と言われて受け取ったお金なら贈与だったと主張できる事情になりますが、最終的な判断は送金時のメッセージ、会話、振込記録、関係性などを総合して行われます。100万円を超えるようなトラブルでは、相手とのメッセージを削除せず、早めに法律相談を利用することが重要です。

お金を受け取っただけで返金義務が発生するわけではない

民法549条では、贈与について、一方が財産を無償で与える意思を示し、相手が受け入れることで成立すると定めています。また、書面によらない贈与は原則として解除できますが、すでに履行が終わった部分については解除できないとされています。[e-Gov・民法549条、550条参照]

例えば「生活費に使って」「好きなものを買って」「これは返さなくていい」と言われ、実際に100万円を振り込まれたのであれば、返還不要の贈与だったことを示す事情になり得ます。後になって人間関係が悪化したという理由だけで、当然に過去の贈与すべてが貸金へ変わるわけではありません。

反対に、「一時的に貸す」「余裕ができたら返して」「○月までに返済」というやり取りが残っていれば、貸金だったと判断される可能性があります。銀行口座へ振り込まれたという事実だけでは、それが贈与なのか貸金なのかは決まりません。

「ホテルにも行ったからお礼として受け取った」という場合はどう考える?

男女間の金銭のやり取りでは、単純な贈与や貸金だけでなく、「会うこと」「交際を続けること」など何らかの事情と関連して金銭が渡されるケースがあります。この場合は、何のために金銭が渡されたのかを具体的に確認する必要があります。

例えば、会うたびに相手から自主的にお金を受け取り、「自由に使って」と言われていたケースと、「今後も○年間交際することを条件に100万円を渡す」と明確な条件が付けられていたケースでは法律上の評価が同じとは限りません。

また、性的関係に関連して交付された金銭については、民法708条の「不法原因給付」が問題になることもあります。同条は、不法な原因のために給付した者は原則としてその返還を請求できないとしていますが、実際に708条が適用されるかは当事者の合意内容や経緯によって変わるため、「パパ活のお金なら絶対に返さなくてよい」と一般化することはできません。[e-Gov・民法708条参照]

「自由に使って」と言われた証拠は必ず保存する

返金トラブルでは、双方の認識が真逆になることが珍しくありません。受け取った側は「あげると言われた」と考え、渡した側は「関係が続くことを前提に渡した」「貸しただけ」と主張することがあります。

そのため、LINEやSNSのDM、メールなどに「好きに使って」「プレゼント」「返さなくていい」「振り込んだよ」といった記録があれば削除しないことが重要です。相手から届いた「今までの130万円を返せ」というメッセージも保存しておきます。

ネット銀行の振込履歴についても、振込日、金額、振込人名が分かる画面を保存しましょう。メッセージアプリは相手が送信取消しやアカウント削除をする可能性もあるため、スクリーンショットだけでなく可能なら会話履歴自体も保存しておくと安心です。

返さないと「訴えられる」可能性はある

相手が本名を知っている場合、民事裁判などを起こすこと自体は可能です。例えば相手が「130万円は貸した金なので返還してほしい」と主張して貸金返還請求訴訟を起こすことは考えられます。

ただし、訴えを起こせることと、相手の主張が認められることは別です。裁判になれば、相手は何を根拠として返還を求めるのかを主張し、当事者双方の送金記録やメッセージなどを踏まえて判断されます。

例えば借用書がなく、返済期限も利息の約束もなく、メッセージには「好きに使って」と残っているのであれば、貸金という相手の主張に対する重要な反論材料になります。一方、「後で返すね」など自分から返済を認めた記録があれば事情は変わります。

返金しないだけで直ちに詐欺罪になり逮捕されるわけではない

金銭の返還をめぐる争いと、刑法上の詐欺罪は分けて考える必要があります。刑法246条の詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合などに成立する犯罪です。[e-Gov・刑法246条参照]

したがって、相手が自分の意思でお金を渡し、その後に人間関係が悪くなって返金を求めているだけなら、返金要求に応じなかったという事実だけで直ちに詐欺罪が成立するものではありません。

一方、最初から金銭をだまし取る目的で存在しない事情を作り上げ、「必ず返す」と嘘をついて借りたなど、お金を受け取る時点から相手を欺いていた事実があれば刑事問題となる可能性があります。贈与だったのか、欺いて受け取ったのかは具体的な証拠から判断されます。

今から「借りたお金でした」と認める文章を送らない

相手から強く返金を迫られると、「分かった、少しずつ返す」「借りた分について考える」と返信してしまうことがあります。しかし、実際には贈与だと認識していたのであれば、事実と異なる表現を安易に送るのは避けたほうがよいでしょう。

後に裁判になった場合、そうした文章が「本人も借金だと認めていた」という証拠として提出される可能性があります。相手を落ち着かせるつもりで書いただけでも、文面だけを見ると意味が変わってしまうことがあります。

返答する場合は感情的な言い争いを避け、「受け取ったお金については返済を約束した認識はありません。今後の連絡は記録が残る方法でお願いします」など、事実関係を不用意に変更しないことが大切です。高額の場合は返信前に弁護士へ相談する方法もあります。

「それなりの手続きをする」という言葉だけで脅迫とは限らない

「返さないなら法的手続きを取る」「裁判をする」という通知自体は、通常、それだけで違法な脅迫になるわけではありません。実際に返還請求をする権利があると考える人が、裁判などの手続きを予告することはあり得ます。

一方、「家族や職場に関係をばらす」「家まで行く」「危害を加える」などの発言が始まったり、拒否しているのに大量の電話や待ち伏せなどが続いたりする場合は別問題です。身の危険を感じる場合は証拠を保存して警察へ相談しましょう。

警察庁は、緊急ではない生活上の安全に関する相談を警察相談専用電話#9110で受け付けています。緊急に危害を受けるおそれがある場合は110番を利用します。[警察庁・相談窓口参照]

裁判所から書類が届いた場合だけは絶対に放置しない

相手本人から「訴える」とメッセージが届いた段階と、実際に裁判所から訴状や支払督促などが届いた段階は大きく異なります。裁判所から正式な書類が届いた場合は無視してはいけません。

例えば貸金返還請求の訴状を放置し、指定された期日にも対応しなければ、自分の言い分を十分に主張しないまま判決が出るリスクがあります。贈与だったことを示すメッセージが大量に残っていても、自動的に裁判所が調べてくれるわけではありません。

100万円を超える請求で実際に内容証明郵便や裁判所の書類が届いた場合は、自己判断で返答せず、資料一式を持って弁護士へ相談することをおすすめします。

130万円を贈与として受け取ったなら贈与税にも注意

返還義務とは別に注意したいのが税金です。仮に受け取った約130万円が法律上・税務上も贈与と扱われ、同じ暦年に受け取っている場合には、贈与税の問題が生じる可能性があります。

国税庁によると、暦年課税では1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額から基礎控除110万円を差し引き、残額があれば原則として贈与税を計算します。基礎控除は「相手1人につき110万円」ではなく、贈与を受けた人1人について年間110万円です。[国税庁・贈与税参照]

ただし、金銭が贈与ではなく何らかの対価として受け取ったものなら、税務上の扱いが変わる可能性があります。高額かつ継続的に受け取っている場合は、「パパ活だから非課税」と自己判断せず、税務署や税理士へ確認したほうが安全です。

まとめ|「返せ」と言われただけで130万円の返金義務や逮捕が確定するわけではない

パパ活などで受け取ったお金について後から全額返還を要求された場合、最初に確認すべきなのは金額ではなく、そのお金を受け取ったときに何が約束されていたかです。

「自由に使って」「あげる」などと説明され、返済の約束もなく既に金銭を受け取っているのであれば、民法上の贈与だったと主張できる可能性があります。一方、貸金だったことを示すメッセージや明確な返済約束があれば、返還義務が認められる可能性があります。

返金しないことだけで直ちに詐欺罪となって逮捕されるわけではありませんが、相手が民事訴訟を起こす可能性まで否定することはできません。銀行振込履歴、「自由に使って」と言われたメッセージ、会った日時、金銭を受け取った経緯、返金要求の文章をすべて保存しておきましょう。

相手から危害や暴露をほのめかす連絡、執拗な接触が続く場合には#9110や警察へ相談し、裁判所から書類が届いた場合は放置せず弁護士へ相談することが重要です。また、贈与として同一年に合計110万円を超えて受け取っている場合には、返金問題とは別に贈与税についても確認しておく必要があります。

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