自動音声の詐欺電話で番号ボタンを押してしまったら?起こり得ることと高齢者を守る対処法

自宅の固定電話などに突然電話がかかり、「荷物を預かっている」「電話が使えなくなる」「未納料金がある」などの自動音声が流れ、「詳しくは1番を押してください」と番号ボタンの操作を求められるケースがあります。

こうした自動音声を使った不審電話は実際に確認されており、番号を押すと人間のオペレーターにつながり、そこから個人情報や金銭をだまし取る話へ進む手口があります。

番号ボタンを一度押しただけで、通常は銀行口座から自動的にお金が引き出されたり、電話機の中の個人情報がすべて相手へ送信されたりするわけではありません。ただし、相手に「電話に応答し、案内に従って操作する番号」と認識される可能性は考えておくべきです。今後の不審電話に警戒し、個人情報や暗証番号などを伝えないことが重要です。

自動音声で番号を押すと何が起こるのか

自動音声電話で「1番を押してください」などと案内される場合、ボタン操作によって電話システムへ信号が送られます。正規のコールセンターでも、問い合わせ内容によって担当部署を選択するために使われている一般的な仕組みです。

詐欺電話では、この仕組みを悪用して、番号を押した人だけを犯人側のオペレーターへ接続する手口が確認されています。国民生活センターには、「2時間後に電話が使えなくなる」という自動音声で1番を押したところ、男性につながり、住所・氏名・生年月日を聞かれたという相談事例があります。[参照:国民生活センター]

警察庁も、自動音声で「2時間後からこの電話は使えなくなる」「使用する場合は1番を押してください」などと誘導する詐欺電話について注意を呼びかけています。[参照:警察庁 SOS47]

ボタンを押しただけなら直ちに金銭被害が発生するとは考えにくい

番号ボタンを押す行為と、銀行口座から送金する行為、クレジットカード情報を入力する行為、スマートフォンへアプリをインストールする行為などは別です。

そのため、電話に出て番号ボタンを1回押し、その後は氏名・住所・生年月日・口座情報・カード番号・暗証番号・認証コードなどを一切伝えず、そのまま通話が終了したのであれば、それだけで直ちに預金が盗まれたと考える必要はありません。

また、固定電話の番号ボタンを押しただけでスマートフォンのようにアプリがインストールされたり、電話帳や写真が相手へ送信されたりするわけでもありません。「ボタンを押してしまったから電話機を初期化しなければならない」と慌てる必要は通常ありません。

本当に注意したいのはボタンを押した「その後」

危険なのは、ボタン操作を入口として犯人との会話が始まることです。国民生活センターでは、自動音声からオペレーターにつながり、名前や生年月日などを聞き出された事例を公表しています。[参照:国民生活センター]

さらに警察庁が公表している実例では、自動音声で番号を押した後、「あなた名義の携帯電話が犯罪に使われている」などと言われ、警察官を名乗る人物へ話が引き継がれ、SNSやビデオ通話へ誘導されるケースも確認されています。

典型的には、自動音声→番号を押させる→オペレーター→トラブルを告げる→警察・金融機関などを名乗る人物へ誘導→個人情報や送金を要求というように、段階的に信用させることがあります。最初の自動音声だけで詐欺を完結させるとは限らない点が重要です。

「押した人の番号」として再び狙われる可能性も考えておく

番号を押した後に何も話さず切った場合でも、その電話番号が実際に使用されており、電話に出る人がいることは相手側のシステムで把握される可能性があります。ただし、番号を押したことで必ず「詐欺リストへ登録される」とまで断定することはできません。

現実的な対応としては、今後しばらく同様の不審電話が来る可能性を想定しておくとよいでしょう。警察庁も、自動発信機能などを利用して大量に電話をかけている実態がうかがわれるとしています。

「前回は郵便局だったから、次も郵便局を名乗る」とは限りません。電話会社、行政機関、警察、金融機関など別の組織を名乗る可能性もあります。以前の電話との関連性を装って信用させるケースにも注意が必要です。

郵便局や宅配業者を名乗っても、その場では信用しない

実在する企業・行政機関などの名称が自動音声に登場したからといって、本物とは限りません。発信者が名乗った組織と、本当にその電話を発信した組織は別問題です。

荷物について確認する必要がある場合には、相手から告げられた番号へ折り返すのではなく、いったん電話を切り、公式サイトや不在票などから自分で正規の問い合わせ先を確認します。

これは警察や金融機関を名乗る場合でも同じです。「確認のため」と言われても電話をつないだまま従う必要はありません。一度切り、自分で調べた公式番号へかけ直すことが安全確認の基本になります。

押してしまった後に確認したいこと

番号を押してしまった場合には、何を押したか以上に「その後、何を相手へ渡したか」を整理します。次の情報を伝えていなければ、少なくとも電話だけで金銭被害へ直結するリスクは大きく下がります。

  • 氏名・住所・生年月日
  • 銀行名・支店名・口座番号
  • クレジットカード番号・有効期限・セキュリティコード
  • 暗証番号やパスワード
  • SMSなどで届いた認証コード
  • インターネットバンキングのログイン情報
  • 資産額や預金額

もしこれらを伝えた場合は対応が変わります。カード情報ならカード会社、銀行情報やネットバンキング情報なら金融機関へ速やかに連絡し、不正利用の有無を確認してください。認証コードやパスワードまで渡した場合は特に迅速な対応が必要です。

高齢者の固定電話は「出ない仕組み」を作ると効果的

特殊詐欺対策では、「怪しい電話を見抜く」ことだけに頼らない方法が有効です。高齢者の場合、突然「荷物」「警察」「口座」「電話停止」などと言われれば、誰でも慌ててしまう可能性があります。

警察庁は、防犯機能付き電話の導入を対策として紹介しています。着信前に「この通話は防犯のため録音されます」と警告する機能、自動録音、非通知拒否、未登録番号への対策などがあります。自治体によっては導入補助制度が設けられている場合もあります。[参照:警察庁 防犯機能付き電話の導入]

家族内でも「自動音声で番号を押せと言われたら押さずに切る」「お金・口座・警察という言葉が出たら一度家族へ相談する」「知らない番号には無理に出ない」といった簡単なルールを決めておくと実践しやすくなります。

不安なら188または#9110へ相談できる

番号を押しただけで個人情報を伝えていない場合でも、不審な電話が繰り返しかかってくる、相手に何を伝えたか分からない、家族が一人で応対していたため詳細を把握できない、といった場合には公的な相談窓口を利用できます。

国民生活センターは、不審電話について消費者ホットライン188、警察への相談について警察相談専用電話#9110を案内しています。すでに送金してしまったなど緊急性の高い被害が発生している場合には、速やかに警察や金融機関へ連絡します。

また着信日時、表示された電話番号、自動音声の内容、押した番号、相手と話した内容などをメモしておくと相談しやすくなります。不審な番号へ確認目的で何度も折り返す必要はありません。

まとめ:ボタンを押しただけなら慌てず、その後の電話に警戒する

自動音声の不審電話で「1番を押してください」などと言われて番号ボタンを押した場合、一般的にはオペレーターへの接続や次の詐欺段階への振り分けに使われます。ボタンを一度押しただけで預金が自動的に引き出されたり、電話機内の個人情報がすべて盗まれたりするわけではありません。

番号を押した直後に通話を終了し、氏名、住所、口座、カード、暗証番号、認証コードなどを伝えていないのであれば、まずは慌てず今後の着信に警戒します。ただし、使用中の電話番号であることを相手側に認識された可能性は考え、同様の不審電話には応答しないことが大切です。

高齢者がいる家庭では、本人の注意だけに任せず、迷惑電話対策や自動録音、非通知拒否なども活用すると安心です。そして相手が郵便局、警察、行政機関、金融機関などを名乗っても、その電話の中では個人情報やお金に関する操作をせず、いったん切って公式の連絡先から確認する習慣を作ることが有効な対策になります。

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